【日産 サクラ 買いました 2】補助金は購入資金にならない?グレード選定の決め手は

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発売から3週間で1万1000台の受注となるなど話題の軽EV、日産『サクラ』。200万円台から買えるEVというインパクトと、高い走行性能などが評価されているが、購入したユーザーはどのようなポイントをチェックしているのか。

実際にサクラの購入を決めた筆者によるレポートから、EV購入時の注意点や検討事項を紐解いていく。前回は、サクラ契約までに至った経緯をベースに、EV購入のポイントをまとめた。2回目はグレード選定に参考になる情報を整理したい。

高速道路で楽をしたいので「サクラ」全部入りを選択

人とくるまのテクノロジー展でも人気だった日産サクラ人とくるまのテクノロジー展でも人気だった日産サクラ

実車を確認したあと、ディーラーに戻りそのまま契約することにした。バッテリー20kWh、航続距離180kmというのは、家族が使う分には自宅充電でまったく心配はない。取材で、静岡・群馬・栃木・茨城あたりのメーカーの工場、研究所、テストコース、公認サーキットなど、日帰り往復200~250kmくらいの移動で使うことがあるので、若干の不安はあった。だが、バッテリーに冷媒を使った温度管理システムが搭載されているというので、急速充電がそれなりの効率で期待できるはずだ。

選択したグレードは「G」という本体価格が294万0300円のもの。プロパイロットなど、ほぼ全部入りのグレードだが、セカンドカーや足として使うならプロパイロットやSOSコールは不要かもしれない。その場合、本体価格239万9100円の「X」グレードがいいだろう。さらにナビもスマホでよい、ディスプレイオーディオでよいという人は「S」(本体価格233万3100円)に最小限のオプションを選ぶ形でもよい。

セカンドカーや普段の足として使うなら、あえて「S」にするのは悪くない選択だ。もともと乗り心地など軽自動車とは思えない車両だ。オーディオやナビはスマホでよいというならむしろ「S」かもしれない。あとは快適装備へのこだわりと予算で「X」か「G」の折り合いをつけることになる。

日産 サクラ日産 サクラ

基本的なADAS機能は、どのメーカーもほとんどの車種で標準装備化している。内外装もいかにも営業車のビニールレザーは減っている。サクラの「S」もビジネス仕様のグレードだが、シートはトリコットだ。ナビやオーディオはスマホやタブレットのアプリで十分と考えれば、廉価グレードだからといって「やすかろう・悪かろう」は成立しない時代だ。

自分は、仕事やちょっとした旅行でも使うつもり(軽でもEVなら高速道路の移動も苦にならない)なので、プロパイロットを搭載したGを選んだ。

補助金は購入資金にならないと思ったほうがよい

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EVや電動車を購入する場合、補助金も重要な要素といえる。EVなどに適用されるCEV補助金は車種ごとに設定されており、サクラ、三菱『eKクロスEV』はともに55万円だ。補助金は、自治体の予算で支給される分もある。EVやPHEV、あるいは家庭用の蓄電池やV2H(車両からの給電装置)などが対象となる。詳細はディーラー担当者が教えてくれるので、問い合わせるとよい。

筆者の場合、6月に入った時点で神奈川県のEV補助金の受付は終わっていた。CEV補助金のみの適用となった。2022年度の補助金は5月から受付が始まったが、PHEVも対象となっている。その前に発売されていた『アウトランダーPHEV』が好調だったため、6月末をまたず、県が確保した2000台の予算枠を消費してしまったらしい。

EVの購入において、補助金の適用があるということでメディアなどでは「実質〇〇万円」のような表現が使われる。じつはこれは要注意だ。少し調べればわかることだし、ディーラーも説明するはずだが、CEV補助金は購入時の割引される金額、購入前に支給される金額ではない。購入後にしかるべき書類とともに申請し、承認されてから入金がされる。支給が確定すれば1、2週間で振り込まれるが、申請してから支給確定までは書類審査の期間は読みにくい。申請の混雑状況や予算の執行状況などによっても変わる。当該年度の枠に収まらなかった場合、翌年の申請に回される場合もある。

つまり補助金があるからといって購入資金が少なくなるということはない。分割やリースなどを組む場合でも、補助金を当てにしたプランは組むべきでない。また、支給を受けた場合、車両は3年から4年の保有が義務付けられ、それ以前にクルマを買い替えたり売ったりした場合、補助金の返還が必要となる。また、EVのリースやサブスクではCEV補助金は事業者が受け取る前提で、価格やプランが設定されることがほとんどだ。

足として使う車はリセールバリューで選ぶ必要はない

日産 サクラのバッテリー日産 サクラのバッテリー

EV購入でよく指摘される問題に、バッテリーの劣化や下取り価格がある。これも誤解や誤認が少なくない。まずバッテリーの劣化だが、近年のEVのバッテリーで実用に支障をきたす劣化はないと思ってよい。もちろん製品の個体差など「はずれ」はあるだろうが、それはエンジンでも同様だ。メーカー保証があるので通常の10年前後の保有サイクルでのバッテリー交換は、大きなリスクや負担になるものではない。10年の経年劣化はエンジン車でも同様だ。

400万円で新車で買った『リーフ』が中古で40万円で買える、といった話も聞く。確かに5年くらい前までは中古EVの値段は安い傾向があった。しかし、程度のいい中古EVは安く買えて狙い目ということであえて購入するユーザーが増えている。ここ数年はガソリンの値上がりなどから、買いやすくなった中古EVを狙う人もでてきている。40kWhのリーフ、60kWhの『リーフe+』は、現在中古でも200万円以下のものは少ない。

テスラは中古車市場も値段が落ちないことで有名だった。ここにきてテスラが新車価格を上げてきたが、中古車価格、下取り価格も上昇し、『モデル3』、『モデルX』は、安値で購入した人はそれを上回るほどの値段だという。6月に日本でも『モデルY』の販売が開始されたが、モデル3やXの下取り査定がよいので、モデルYの注文ラッシュに拍車をかけている。

バッテリー劣化やEVの下取り価格が安いという問題は過去のものかもしれなが、サクラの中古車市場がどうなるかは別問題である。ただ、筆者の場合、いままで5年以内に下取りに出して代替わりさせたことはない。クルマの買い方として、買うときは多少無理してもよい装備で購入して長く乗るスタイルだ。通常、特殊な人気車種以外5年も乗ると下取りは相当下がる。買うときも売るときも下取り価格を気にしてクルマを選ぶことはない。

次回は、EVならではのオプション装備や、メンテナンスについて解説する。(続く)

《中尾真二》

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