ジオテクノロジーズ、NFTでコピー管理+位置情報付きアイコンを販売開始

ジオテクノロジーズ、位置情報付きNFTを販売
  • ジオテクノロジーズ、位置情報付きNFTを販売
  • ジオテクノロジーズの杉原博茂取締役社長CEO(7月8日、ジオテクノロジーズ経営戦略発表会)
  • M2Eアプリ「トリマ」で使われるスマホ画面イメージ
  • 地図上アイコンとして販売されるNFT「GT Building Collection」の例
  • トリマキャラクター「トリ丸」のNFT「TORIMARU Collection」
  • iPCにはビッグデータとして有効な資産が数多く保有されていた
  • 人が移動することで生まれるビッグデータを活用することで大きな利益につながる(7月8日、ジオテクノロジーズ経営戦略発表会)
  • 「ランドマークアイコン」「トリマのトリ丸」をNFT化して販売する(7月8日、ジオテクノロジーズ経営戦略発表会)

カーナビ向け地図ソフトを主力としてきたジオテクノロジーズは7月8日、記者会見を開催し、日本で初めて位置情報を持った「地図アイコンNFT」の販売を開始したと発表。合わせてM2Eアプリ「トリマ」の展開を北米やアジア圏などグローバルに拡大すると発表した。

◆iPCが前身のジオテクノロジーズ。新たなステップとしてNFT事業を推進

本論に入る前に、このジオテクノロジーズという会社について簡単に説明したい。同社の前身はカロッツェリアのカーナビの地図ソフトを提供する会社「インクリメントP(iPC)」だ。この名称なら知っている人も多いと思うが、様々な経緯を経て今年1月にジオテクノロージーズに社名を変更したばかりなのだ。

iPCが設立されたのは1994年。まさにカーナビが急成長する時期にパイオニアの完全子会社として誕生した。その後は、グーグルマップがない時代に、PC上で手軽に地図が見られるソフト「MapFan」をリリース。それまで地図と言えば紙地図で見るのが当たり前だった時代にPC上で地図が見られる便利さに感動したことを今も思い出す。2005年にはGoogleが「グーグルマップ」をスタートさせるが、iPCはその先駆けだったのだ。

そんな中でもiPCにとって、カーナビ用地図ソフトは収益源の大きな柱であることに今も変わらない。ケンウッドや三菱をはじめ、輸入車を中心とした純正カーナビにも採用されることで、その国内のカーナビ用地図ソフトのシェアは現時点でも全体の1/3を超えている。とはいえ、これがいつまでも収益の柱であり続けられる保証もない。そこでiPCは次なるステップに踏み出した。これが今回発表した事案につながる。

まず2020年10月にはポイ活アプリ「トリマ」の運営をスタートさせた。そのきっかけは、日本人に浸透しているポイント文化だったという。それをスマホなどモバイルを使う新たな“ポイ活体験”を目指して「トリマ」をリリースしたのだ。これは人が移動することでポイントが稼げるというもので、貯めたポイントはギフト券など様々な特典に交換することができる。多くの事業者が「トリマ」に参画し、すでにダウンロード数は1000万を超えるまでに成長しているという。

そうした事業を展開する中、2021年6月、パイオニアが投資ファンド「ポラリス・キャピタル・グループ」傘下の会社へiPCの全事業と関連資産のすべてを譲渡する。この時点でiPCはパイオニアとは完全に離れた独立会社となった。そして、2022年1月20日には社名を「ジオテクノロジーズ」に変更。従来のカーナビ向け地図ソフトを提供し続ける一方で、新たな事業展開も視野に活動をリスタートさせるに至っているのだ。

◆デジタル地図上のアイコンに、緯度経度の位置情報を付与してNFT化

前置きがかなり長くなったが、そのジオテクノロージーズが新たな柱としているのがNFT事業である。NFTとは「Non-Fungible Token(ノンファンジャブルトークン)」の頭文字を取ったもので、「偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ」のことを指す。これまでデジタルデータは改ざん・コピーされる可能性があったため、資産として認められることはなかった。

そんな状況を変化させたのがブロックチェーンだ。ここで展開されるデジタルデータは相互に監視し合うことで改ざんやコピーをしにくくし、コンテンツに資産性を持たせられるようにしたのだ。これにより、デジタルデータに唯一無二の価値を持たせることが可能となり、たとえば「この画像はオリジナルでコピーではない」 という証明書が付いたデータとして取り引きできるようになる。

中でもメリットが出そうなのがデジタルアート系で、ゲームやマンガ、デジタルジャケットといった限定版コンテンツなどだ。しかも、この監視には音楽の著作権を監視するJASRACのような特定の団体を必要としない。今回、ジオテクノロージーズが提供を開始した、位置情報を持った「地図アイコンNFT」はまさにそれに当てはまる。

具体的には、カーナビなどのデジタル地図上に表示される建造物やランドマークなどのアイコンに、緯度経度の位置情報を付与してNFT化した。これは日本で初めてのことで、その第一歩が地図資産や独自のサービスを活用したジオテクノロジーズNFTコレクションの、「GT Building Collection(ジーティービルディング コレクション)」と「TORIMARU Collection(トリマルコレクション)」の販売だ。

GT Building Collectionは、「唯一無二の地図データを、あなたに」というコンセプトの下で開発された NFTとなる。その第一弾が、日本各地の城をドット絵で表現した、世界で一つしかないアート作品だ。たとえば、お城を持つ自治体が観光客を呼び込む目的で城のNFTを販売すれば、その城まで出掛けないと手に入れられない世界唯一のNFTを求めて客がウェブ上で来訪することになる。

TORIMARU Collection は、M2E アプリ「トリマ」に登場する「トリ丸」をモチーフとした NFTだ。M2Eとは、「Move to Earn」の略で、移動することで何らか報酬を得ることを意味する。また、トリ丸が身に着けるファッションの一部は新規描き下ろしであり、今までアプリには登場していない新たな装いのトリ丸をNFTアートとして販売する。来訪者は世界に一体しかないトリ丸を購入することが可能になるのだ。

◆急拡大するポイ活アプリ「トリマ」を年内にもグローバル展開へ

そして、ジオテクノロージーズはこのポイ活アプリ「トリマ」をグローバル展開することを発表した。対象地域は北米や東南アジア、インドなどを想定。各地域での人の移動データを結ぶことで、新たな社会課題解決を目指す。今年の10月には、北米、タイなど含む複数カ国へにβ版を展開する予定で、12月には正式リリースを計画しているとのことだ。

今や否応なしに我々の生活はリアルとメタバースの狭間に置かれている。これまでメタバースとは言っても、雲をつかむような感覚でいたとは思うが、その仕組みを理解していち早くチャレンジした企業こそが世界の新たな潮流に乗れるのは間違いない。今後の展開にも注目していきたいと思う。


《会田肇》

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