【スバル BRZ 新型試乗】子供がいる家庭でもスポーツカーを諦めなくていい…中村孝仁

2.4リットルのパワーユニットはとにかくトルクフル

アベレージドライバーでもワインディングを愉しめる

子供が二人いる家庭でもスポーツカーを諦めずに済む

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「二兎を追うもの一兎をも得ず」ということわざがある。二つのものを得ようとすると、どっちも取り逃がすという意味であるが、クルマ作りにも時として関係する。

スポーツカーのようなパーパスビルドのクルマの場合、もっとも重視すべきはその運動性能だったり、パフォーマンスだったりで、いずれにしても動的性能が最重視されて、機能性とか快適性なども追及するとろくなことはないという話なわけだが、新しいスバル『BRZ』の場合、必ずしもそうではないような気もする。

2.4リットルのパワーユニットはとにかくトルクフル

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BRZは先代と比較した時一番異なるのはそのエンジン性能だろう。排気量が2.4リットルに拡大されたパワーユニットはとにかくトルクフルで、回転を上げずにどんどんシフトアップしてもその繋がり感も良く、力不足などは感じさせないから案外、省燃費運転ができてしまったりもするし、一方で思いっきり踏んで高回転領域に持ち込んでもパワーの衰えなどはまるで感じさせず、気持ちイイ吹け上がり感と、同じく気持ちイイ「ボクサーサウンド」を楽しませてくれる。

6MTのトランスミッションは都市内で遅い交通の流れに乗って早めのシフトを繰り返した場合、あまり気持ちの良いシフトフィーリングではなかった。これが引っ張ってシフトをした場合はとてもスムーズなシフト感覚になるのだが、低速では少しトルクを持て余し気味になるということか。

アベレージドライバーでもワインディングを愉しめる

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それにしても目線が低い。最近はSUV全盛ですっかり目線の高いクルマに慣れきってしまっているので、この目線の低さははじめのうちは違和感があったのだが、その正確無比なステアリングと鋭いノーズの入り具合などに魅了されているうちに、この景色をすっかり楽しむことができた。

高速も含めて一般公道では超が付く安定志向の走りに終始し、アベレージドライバーであってもワインディングの愉しさを存分に味わえる設定だと思う。というわけで、少なくとも走りに関する動的質感や運動性能、さらにはトルクフルなエンジンのフィーリングなどは申し分ない。敢えて言えば、流石に乗り心地だけは相当に締め上げられたスポーツカーらしいものだったから、長距離の移動は音振双方で結構体に疲労感が残るものだった。

子供がいる家庭でもスポーツカーを諦めなくていい

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では冒頭の二兎を追うもの…の話である。

実はこのクルマでゴルフに行った。最初は果たしてキャディバックが入るのかと心配したが、そんなものは完全に杞憂。リアシート(そう、このクルマの乗車定員は4人である)を倒せば広大な(とまではいかないが)ラゲッジ空間が現れ、キャディバッグなどいとも簡単に二つ飲み込む。まあ、ゴルフがすべてじゃないが、例えば大きめのトートバッグだったり、冬場のコートだったりを置くスペースとして後席が使える。

実は3人乗車も敢行してみた。距離にして片道50kmほど。東京に近い神奈川県の端から逗子までの往復である。まあ、後席の住人は身長が150cmほどの女性だからということもあるだろうが、さほど苦しい思いはしなかったようである。というわけでいざという時は、後席の使用も可能であるから、子供が二人いる家庭であってもまだスポーツカーを諦めずに済むのは有難い。

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というわけで、このクルマはピュアなスポーツカーの走り、それに醍醐味と、そこそこの使い勝手を持ったマルチに使えるクルマであることが分かった。先代をサーキットで試乗した時は、案外テールハッピーな感触でリアのフワつき感を感じてしまったが、今度のモデルはどっしり構えた安定志向の印象が強く、オンロードで楽しめる印象が強い。

まさに二兎を追っても大丈夫な一台に仕上がっている印象である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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