角田裕毅がF1開幕を前に意気込み披露…「去年とは違う自分を見せられるよう、一戦、一戦を大事に努力」

自身2年目の開幕を前に意気込みを語ったF1ドライバー、角田裕毅(写真は2月のバルセロナテスト)
  • 自身2年目の開幕を前に意気込みを語ったF1ドライバー、角田裕毅(写真は2月のバルセロナテスト)
  • #22 角田裕毅/アルファタウリAT03(2月のバルセロナテスト)
  • #22 角田裕毅/アルファタウリAT03(2月のバルセロナテスト)
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  • #22 角田裕毅/アルファタウリAT03(2月のバルセロナテスト)
  • #22 角田裕毅/アルファタウリAT03(2月のバルセロナテスト)
  • 角田裕毅とピエール・ガスリー(2月のバルセロナテスト)
  • 2月、バルセロナテストでの合同取材セッションの一幕(壇上、右端が角田)

9日、F1ドライバーの角田裕毅が日本メディア向けのオンライン会見に臨み、開幕が近づく今シーズンに向けての決意等を語った。

◆シーズンオフ充実のトレーニングでフィジカル面をアップ

F1参戦2年目を迎えた角田裕毅(所属チームは昨季と同じくイタリア本拠の「アルファタウリ」)。今回のオンライン会見は、現地10日から始まる今季第2回プレシーズンテストの前日に実施された。もちろん本人は既にテスト地のバーレーン入りしており、そこからの日本向けオンライン会見実施というかたちである。

F1でのルーキーイヤー(2021年)を決勝最高4位、シリーズランキング14位という結果で戦い終えてのシーズンオフ、イタリア在住の角田は日本にも帰国したというが、入国に際しての隔離等の関係もあり、実質的に日本で動けた時間は1週間程度しかなかったそうだ。

母国でのわずかなオフタイム、「しばらくぶりにカニを食べることができました」と、嬉しそうに振り返る21歳の角田。シーズンが始まれば、次の帰国は秋の日本GPまで叶わない可能性もあるが、次回帰国時には「ラーメンを食べたいですね。(種類は問わず)最初に見つけたラーメン屋に入ろうと思います!」。

シーズンオフ全体の主な時間の使い方は、やはり「ほとんどフィジカル・トレーニングに費やしていましたね」とのこと。

「去年感じたフィジカル面の弱点を克服しておきたかったですし、フィジカル面全体のレベルアップもするためにトレーニングをしていました」。重点項目もやはり、「(高いGに耐えるための)首ですね」。レベルアップのほどは数字でも確認できているということで、「とてもいいシーズンオフになりました」と、成果への手応えを語っている。

◆「自分を信じること」の重要性を実感した1年目

F1で実際に1シーズン戦ってみての心境の変化もあった、と角田は話す。

「現実的な目標をもてるようになったというか、もっと目の前のことに集中して考えられるようになったというか……。今の自分がやるべきこと、自分が何をしたらパフォーマンスを上げられるか、目の前の課題、チームとしてやること、それらが今はクリアになっています。チームと一緒に戦っている自分を実感できるようにもなりました」

「去年(の初期)は状況を何もコントロールできていなかったなかで『目標は表彰台』と言っていたように思います。もちろん(レースをする以上、今年も)目標は表彰台なんですけど、その前にできるだけポイントを獲ること(10位以内入賞)が大事だと思いますし、今はまず開幕戦で自分が思うような走りができたらいいな、と考えています」

昨年は一時期、「クラッシュが続いて自分を見失いかけて、自信をもてなくなったりもしました」という角田。でも今なら、その頃の自分に「自分を信じること。この世界、過信は危険だけど、自信は重要だから」とアドバイスできるだけの経験値を得た。

「どんなシチュエーションでもそれ(自信)をもつことが重要だと気づきました。難しいんですけどね。それを保つためにはチームともっとコミュニケーションを取る必要もあると思います。あと、僕はインドア派なので、オフの時間にはもっと外の空気を吸ったりすることも大事かな、と考えたりしています」

◆ポイントを多く獲る、自分らしく走る、そしてチームメイトに勝つ

今季型のマシンは、空力レギュレーションが大きく変わって最初のシーズンのマシンになる。オーバーテイクがしやすくなるようなコンセプト、具体的には前走車の背後につきにくかった特性を抑える方向の規則変革が為されたといわれている。

既に2月下旬には今季第1回のプレシーズンテストがスペイン・バルセロナで実施されたが、角田はそこで「去年よりは背後につきやすいな、と感じました」と話す。「レースはよりエキサイティングで見応えあるものになると思います。自分としても楽しみです」。

マシンの挙動の違いという意味では、車体面の変化以上に「タイヤが従来の13インチから18インチに変わったことの影響が大きいですね」とも。「高速コーナーでリヤが滑り出したときのコントロールは、従来よりやりやすくなっている。トラクションもちょっと上がったと思います」。

10日からの第2回プレシーズンテストは、開幕地バーレーン・インターナショナル・サーキットでの実施になる。「前のテストで見えてきた課題に対処するのはもちろんとして、できるだけ多くのデータを取り、そのあとの開幕戦までの時間で少しでもいい状態のクルマで実戦に臨めるようにしたい。(僚友のピエール)ガスリー選手と一緒にフィードバックをしていきたいですね」と、最終のプレシーズンテスト3日間を前にした当面の目標を角田は語る。

「テストなので、各チームが何をやっているかはわからないですし、自分たちがやるべきことをやっていくだけです。開幕戦の予選で(チームの序列が)明らかになると思うので、それまで一周、一周を大事にやっていきたいですね。そして今シーズンは(ルーキーだった去年と違って)目標がクリアですから、プロセスやリズムを大事にして、一戦、一戦リセットしながら、自分らしく走って、ポイントをできるだけ多く獲っていきたいです」

シーズンの戦い方にもしっかりしたプラン立てをしている角田。さらには、「もちろんチームメイトのガスリーを倒す」ということもシーズンの目標のひとつに挙げる。

F1においてチームメイトは、協力し合い、リスペクトし合いつつも、直接の比較対象として最大のライバルとなる存在でもある。角田はこれまでもガスリーに対する敬意と親しみ、感謝を語ってきているが、それはそれ、やはり倒すべき相手であることは変えようのない事実なのだ。

◆“もっと期待してもらえる状態”で、待望の鈴鹿へ

F1ドライバーの“選手団体”「GPDA」(Grand Prix Drivers’ Association)の会合では、「セバスチャン・ベッテル選手(アストンマーティン)がウクライナ情勢について『ドライバー全員でもっとメッセージを出していこう』と言ったりしていて、案を出したりもしているんです。ベッテル選手はそういう面でもリスペクトできる存在です」と、2010~13年王者の言動に感銘を受けているF1二年生の角田。今年は待望の母国戦、3年ぶり開催予定の日本GP(鈴鹿サーキット、10月9日決勝予定)を走ることに期待を膨らませてもいる。

「今年こそ行きたいな、という思いはすごく強いです。日本のファンのみなさんの前でF1マシンで走ることは夢でしたし、誰もができる経験ではないので、一周、一周、かみしめて走りたいです。それまでにもっと経験を積んで、結果も残して、いいパフォーマンスを発揮できる状態、日本のファンのみなさんにもっと期待してもらえる状態で臨めるようにしたいと思います」

「去年とは違った自分を見せられるよう、一戦、一戦を大事に努力していきます。応援よろしくお願いします」

参戦初年度は10位以内入賞7回にとどまった角田、今季はもっと安定的に入賞を重ねていきたいところだ。また、決勝最高位という面では初年度に4位というなかなかの結果を残しているのだから、それ以上のリザルト、日本勢4人目となる表彰台登壇も早期に(今季のうちに)期待したくなる(日本勢のF1決勝最高位は佐藤琢磨ら3人の3位)。

角田裕毅のさらなる飛躍に注目が集まる2022年のF1世界選手権は、3月18~20日のバーレーンGPで開幕する予定になっている。

《遠藤俊幸》

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