【レクサス LX 新型試乗】『ランクル』との違いは「洗練」…内田俊一[オフロード編]

レクサス LX600
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レクサスは新型『LX』のプロトタイプを一部メディアに公開。わずかな時間だがオンロードと特設ステージでのオフロード試乗が出来たのでレポート。今回はオフロードでのインプレッションを紹介する。

まずは旧型に試乗、不安が顔に出る

レクサス LX(旧型)レクサス LX(旧型)

特設ステージは、オフロード疑似体験コーナーで、“オフロード”というグレードでテストした。そのステージには対角線上に高さを持たせることでタイヤを片輪ずつ浮かせ、その際の車両の傾きが30度くらいになるモーグルや、悪路の急坂を想定した階段状の小山を模したものなど、かなりクルマを酷使するようなシーンを作り出していた。

始めは旧型でスタート。まずはゆっくりとモーグルにトライ。まず片輪が浮き、そのまま進むとドスンと姿勢が変わる。その際、結構勢いよく姿勢が変化するので少々怖い思いをした。また、片輪が浮いていることから、接地しているタイヤにトルク配分するためにトラクションコントロールのアクチュエーターがゴッゴッゴと大きな音とともに介入するので不安をあおられる。これは階段の上り下りも同様だ。結構なショックとともに段差を超えるので、やはり緊張する。

実は後席に広報担当者が座っていたのだが、そのときの私の表情は結構こわばっていたそうだ。ただし、こういうシチュエーションでこういう動きをするということが分かれば、それほど不安を感じなくて済むかもしれない。十分なエンジントルクとしっかりしたボディ、そしてサスペンションが備わっているので、走破性という意味では難なくクリアできる性能は備えているといえる。

オフロードでも「洗練」を感じさせる

レクサス LX600レクサス LX600

そして新型に乗り換えると、何と洗練されていることか。まず、車高調整機能は先代にも備えられているのだが、一番下から一番上まで上げるのに旧型は新型から遅れることプラス20秒もかかっている。また車高はリアから上がるようになっている。これはフロントから上がるとヘッドライトが上向きになるため、周囲に眩しい思いをさせないようにという配慮だ。リアサスペンションストロークは先代がホイールハウスとタイヤの隙間がA4横サイズ程度でタイヤが浮くレベルから、新型ではA4縦サイズで浮くくらいまで伸ばされていた。

そのようなことを把握しながらモーグルに突入。先代と同じようにタイヤが浮いた後、姿勢変化が起き片側に倒れ込むのだが、その動きがゆっくりで、かつ接地するときのショックが柔らかく、サスペンションがしっかりと衝撃を吸収してくれるのだ。また、ステアリングがEPSとなったことで、取り回しや微妙な位置調整もやりやすくなった。前述のトラクションコントロールのアクチュエーターの音などもほとんど聞こえてこなくなったので、安心して取り回すことが可能になった。

レクサス LX600レクサス LX600

これは階段の上り下りでも同様。ほとんど真下が見えるような角度で降りるときに、アクセル、ブレーキの両ペダルとも触れずクルマ任せに出来るクロールコントロールを1km/hにセットたのだが、そのスムーズさは人間がコントロールするよりもはるかに上を行く制御が為されており、それは、同じシチュエーションをバックで登る際も同様だった。

そのほかにもクロールコントロールを入れたまま、速度を上げようとオーバーライドさせたときのスムーズさも先代よりもはるかに上回っており、サスペンションセッティングを含めてあらゆる点が洗練されたことが伺えた。そういった時、どうやら私はにやにやとしていたようで、先の広報担当者から随分と楽しそうでしたねといわれてしまった。

ランドクルーザーとの違いは

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もうひとつ感心したのは全ての機能が使いやすくなったことだ。例えばマルチスクリーンで前方の状況を映し出した際も、画面が非常にクリアになったことで見やすくなり、マルチテレインセレクトもオートでクルマ側が自動で路面を判断するので、ドライバーの負担が減るとともに、かなりの部分をクルマが検知しながら適切な状態を作り出していくので、フールプルーフでありながら非常に安全だと感じた。実は先代はいくつかのスイッチを組み合わせることで必要なモードを選択するパターンがあったが、今回はまずオートを選んでおけば間違いはなさそうだ。

では基本を同じくするトヨタ『ランドクルーザー』と何が違うのかという疑問がわいてくる。それは、例えば乗り心地だ。足が浮いたときから着地の衝撃、段差を超えるときのサスペンションの動き方、そしてステアリングインフォメーションに至るまで、あらゆる面が洗練されているのだ。レクサスの開発者は、オフロードでも上質な乗り心地を追求したとコメントしていたが、まさにその通りで、基本は一緒ではあるものの、実際に走らせると「これは別のクルマ」だとハッキリと言うことが出来る。

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■5つ星評価(オフロード)
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

内田俊一(うちだしゅんいち)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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