ダカールラリー優勝マシンが出来るまで

ホンダNXR(1989年)
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  • ダカラールラリー1986(1986年)
  • ダカラールラリー1988(1988年)
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  • HRCのNXR開発奮戦記[増補二訂版]

HRCのNXR開発奮戦記[増補二訂版]』
ホンダ パリ・ダカールラリーの挑戦 1986-1989
著者:西巻 裕
発行:グランプリ出版
定価:2640円
ISBN978-4-87687-389-0

人気のダカールラリーで2連覇中のホンダのラリー活動の原点となる挑戦の全容を、徹底取材したドキュメント。

ホンダワークスマシンの開発などを担当するHRC(ホンダ・レーシング)は、1986年のパリ・ダカールラリーへの参戦に向けて、水冷V型2気筒のプロトタイプ『NXR750』を開発。フランスホンダやイタリーホンダのライダーの奮戦により、1989年の活動終了まで4連覇という偉業を達成する。本書は、その様子をつぶさに取材した著者による、唯一無二の書である。

ダカールラリーといえば、日本ではお正月くらいにスタートする恒例のラリーレイドとしてつとに有名だ。2022年は1月2日にサウジアラビアのハイルをスタート。14日に同じくサウジアラビアのジェッダにゴールするスケジュールである。毎年多くのメーカーやプライベーターが参戦し、かつ、日本からも多くのエントラントが出走している。同時に、過酷さも半端ではなく、常に命と隣り合わせであり、WRCなどとは違った本格的な冒険旅行という側面もある。HRCは一時中断はあったものの2013年から再開し2020年には総合優勝を飾るなど、目覚ましい活躍を続けている。

もともとHCRはその名の通り、ホンダの系列会社のひとつで、年間2000台以上のレーサーを開発し販売する一方、様々なレースに参戦し、その技術を蓄積しながら若手エンジニアを育成するという会社でもある。その集団が開発した1台がこのNXR750でパリダカ(当時はパリをスタートしダカールにゴールしていたため、パリ・ダカールラリーと呼ばれていた)に4連勝するなど、優秀な成績を収めたマシンだ。

本書はその計画の発端から、開発、実践投入、そして優勝に至るまでを内部の視点で細かく語られたものである。ダカールラリーはもちろん、二輪車の企画、開発などに興味のある人にもお勧めの1冊だ。

本書は1989年刊行の同書の内容の再確認をして、新たに発見された当時の写真や資料、2013年から再参戦をしているダカールラリーの戦績等の追加を実施して刊行する、増補二訂版である。

HRCのNXR開発奮戦記[増補二訂版]HRCのNXR開発奮戦記[増補二訂版]
《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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