【ルノー ルーテシア 新型試乗】R.S.が無くてもヨシ、一気に3世代ぶん進化した…中村孝仁

とりあえずR.S.が無くても我慢できる

一気に3世代くらい進化したルーテシア

スポーティにふるまう原動力は定評あるハンドリング

ルノー ルーテシア 新型
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とりあえずR.S.が無くても我慢できる

ルノーといえば、R.S.(ルノースポール)を頂点に高性能モデルがラインナップされているイメージが強く、実際ルノー・ジャポンはそうした訴求をしてきた。しかし今回の『ルーテシア』、ヨーロッパのCO2排出量に対する厳しい制限からその排出量が多くなるR.S.はどうやら計画が無いらしい。

つまり、今回試乗したインテンステックパックはもしかすると最強のモデルになるかもしれない。勿論なんちゃってR.S.(失礼!)の「R.S.ライン」なるモデルはデビューするようだが、動力性能的には変わらないからだ。

それにしてもBセグメントのモデルで排気量1.3リットル(若干オーバーサイズ)。それでパワーが131ps、最大トルク240Nmだから、R.S.が無くても我慢できるだろう。パワーはともかく、トルクを見れば先代R.S.シャシースポールと同じなのだから。当然のことながらライバルのP車よりはだいぶ上だ。

一気に3世代くらい進化したルーテシア

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今回が第5世代となるルーテシア。だいぶというか、見た目こそそう大きくは変わらないが、中身は一気に前に進んだ。とりわけその質感の向上とADAS系の進化は、正直一気に3世代くらい前に行った感じがする。まあ裏を返せば今までが遅れていたともいえるのだが…。そんなわけだからずいぶんと立派で若々しく見えるクルマに変身した。

まず骨格が違う。新たに「CMF-B」と呼ばれる新しいプラットフォームが採用された。ルノー曰く、ルーテシアが最初に使っているそうだ。次にエンジンが違う。前述通り1.3リットルの新エンジンは、ニッサン製のブロックを使いルノーがチューンしているそうで、基本的にはメルセデスが本国で使う『Aクラス』用と同じエンジンだという。そしてトランスミッションも違う。先代まではゲトラク製乾式6速EDC。ルノー式のDCTの呼び方だが、今回は湿式の7速に変わった。

その違いについては後述するとして、大きく変わったのがADAS系装備の充実である。ついにACCが付いた。試乗車の「インテンス テックパック」の場合、さらにハイウェイトラフィックジャムアシスト、レーンセンタリングアシスト、360度カメラ、オートハイ/ロービームなどが装備され、そうでないモデルでもアダプティブエマージェンシーブレーキから、ブランドスポットワーニング、レーンデパーチャーワーニング、セーフティーディスタンスワーニングなど数多くの運転支援が標準装備となる。というわけでようやくライバルたちに追いついた。

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ただ、有り難いのはこれらをすべて装備した最も高いインテンス テックパックでも276万9000円という正札をつけていることだ。まあ、ナビゲーションはディーラーオプションだが、今やスマホをミラーリングできるから、ナビに困ることはない。というわけでこれ、結構頑張ったお値段なのではないかと思うわけである。

正直なところ、ライバルは国産のトヨタ『ヤリス』だったりホンダ『フィット』だったり、あるいは『マツダ2』などは完全に射程内だ。勿論P車も。

さて、内装も触れるところはほぼすべてソフトパッドで覆われた新しいインテリアは、大型の(と言っても装備されるディスプレイは7インチだそうだが)カラーディスプレイが付き、いわゆるコックピット風にドライバー側に湾曲したダッシュボード等々、かなりモダンで若々しい。

スポーティにふるまう原動力は定評あるハンドリング

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市街地から高速まで満遍なく走れたのだが、やはりパフォーマンスのレベルは相当なもので、高速の料金所などからガンと踏んでも、あるいはちょっとした追い越しにドンと踏んでもレスポンスよくかなりの加速力を示してくれる。

そしてスポーティにふるまう原動力は昔から定評のあるハンドリングだ。例によってロール剛性は十分に高く、右に左にステアリングを振って荷重移動させても、余計なおつりがくるわけでもなく、とにかく意のままに操れる愉しさがある。最も気に行ったのはそのブレーキタッチの良さだ。最後はタイヤに負うところが大きいのだろうが17インチのコンチネンタル・エココンタクトは動的にも音的にも文句なしだった。

今回はステアリングの重さや、エンジン制御などをモードで切り替えられる。で、ステアリングはコンフォート、レギュラー、スポーツの3段階に切り替えられるのだが 正直、スポーツでも少々軽すぎである。もう少しどしっとさせて欲しかった。軽量化の目的もあって今回はボンネットやフェンダーをアルミ製としているそうだ。だから、ぶつけないように!高いぞ…きっと。

湿式DCTもまだ完璧ではない

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最後にEDCの話をしよう。正直なところ、ツインクラッチのDCTで乾式のものに良いイメージを持ったことがない。まあ、ルノーのそれはこれまでそこそこ良い印象ではあったがやはり渋滞時などの躾けは良くなかった。今回は湿式となったことでだいぶ改善されているが、まあ完ぺきではない。

これを改善する方法としてISGを用いたMHEVにすると発進時はモーターアシストが付くので大幅に良くなるはずである。是非メーカーも検討して欲しいところだ。

それにしても挙げればきりがないほど今回のルーテシアはあれやこれやと変わった。間違いなく3世代分くらい進化している。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来43年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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