【ホンダF1 2020】“Jet”の協力もあり、高地が得意な傾向…PU開発を統べる浅木氏「今年は平地でもメルセデスPUに追いつく」

2019年ブラジルGP、レッドブルRB15・ホンダのM.フェルスタッペン(手前)は優勝を飾る。
  • 2019年ブラジルGP、レッドブルRB15・ホンダのM.フェルスタッペン(手前)は優勝を飾る。
  • HondaJet Elite(2019年8月6日付のプレスリリース添付写真)
  • ホンダ陣営のエース、レッドブルのマックス・フェルスタッペン(2月の合同テストにて)。
  • 2020年型のレッドブルRB16・ホンダ(2月の合同テストにて)。
  • 2020年型のアルファタウリAT01・ホンダ(2月の合同テストにて)。
  • ホンダF1の首脳、(左から)浅木氏と山本氏(写真は2019年日本GP)。

23日、今季開幕を前に意欲や展望を語ったホンダF1のパワーユニット(PU)開発総責任者・浅木泰昭氏。ビジネスジェット機「HondaJet」の技術も活用するホンダF1には高地得意の傾向があると示唆し、「今年は平地でもメルセデスPUに追いつく」との具体的目標にも言及した。

レッドブルとともに3勝し、トロロッソ(今年からアルファタウリに名称変更)も2度の表彰台を得るなど躍進した昨季の戦いを振り返るなかで、浅木氏は次のような自己分析もしていたと語った。

「調子がいいのはだいたい、標高が高いところ。HondaJetの技術を使わせてもらっているおかげもあり、ターボ、コンプレッサーの効率が良いということで、標高が高いところでは結構いけていると感じていました。ただ、標高が低いところではまだ負けているかな、と。それが私なりの分析でした」

メルセデスのPUに追いつく、という目標を掲げて戦い、シーズン終盤のブラジルGPではレッドブル優勝、トロロッソ2位という結果のみならず、内容面でも「メルセデスのPUと対等に戦えた」という実感を得た浅木氏(既報参照)。だが、このブラジルGPは比較的高地での開催といえ、シーズン全体を眺めてみても空気が薄くなる高地で強い傾向が感じ取れるところは確かにあった(ブラジルGP開催地インテルラゴス・サーキットは標高約800mとされる。約2300mといわれるメキシコGPほど影響は大きくないだろうが、高地の部類だ)。

そうなると課題はある意味で明確。「今年は平地(標高が高くない開催地)でもメルセデスPUに追いつくことを(具体的な)目標にして開発をしてきました。それが達成できているかどうかは、開幕してから分かることだと思います」とも浅木氏は語る。

今季開幕戦と第2戦が開催されるオーストリアのレッドブルリンクは昨季1勝目の地で、インテルラゴスよりは低いはずだが、ここも高地の部類に入るだろう。まずは“得意コース”で開幕ダッシュを決めて、その後、シーズンが進むなかであまり標高の高くないところでも目標達成の証明となる好成績を、という流れに期待したい。

ホンダ総力体制での躍進、特にHondaJetの力が具体的に活かされていることは昨シーズン中も話題になっていたが、浅木氏の経歴もレース一辺倒ではなく、かつてはN-BOXの開発責任者を務めるなどしてきた人物。そんな浅木氏は、現代F1PUから量産車への技術の結びつきという部分では、まず「高効率のモーター」という要素を挙げる。レースと量産車の関係には乖離した印象も抱きがちだが、「内燃機関100年の歴史に比べて、まだ本格的な意味での歴史が浅いEV等は、F1ともより近い関係で開発をやっていけると思います」。

今年は残念ながら日本GPの開催がないことが確定済み。「やむを得ないことですが、残念です」と語る浅木氏は、こんな心情も吐露する。「日本の企業ですから、やはり頑張っている姿を日本のみなさんに(鈴鹿で直接)見てもらいたいという気持ちは当然あります」。開幕から当面は無観客開催ともなるが、まずは間接的なかたちのみであっても、例年同様にホンダスピリッツを世界中に示してゆく。

コロナ禍によって今季は様々な変化が生じる。「同じコースでの連続開催があることに関してはエネルギーマネージメントのシミュレーションは1回で終わりますので、そういう部分では負担が軽くなるところもあるかと思います。ただ(開幕から10週で8戦と)連戦が続きますから、やはりロジスティクスや現地スタッフの疲労といった面が大変になってくるでしょうね」。

コロナ禍への対応によるPU関連の規定変更により、「今年のエンジンは開幕戦オーストリアにもちこんだ仕様で固定してシーズンを戦うことになっています。(PUを構成する各コンポーネントをシーズン中に)何基使っていいかはレース数によって変わってきますから、そこは(全体カレンダーが未決な現段階では流動的で)ダメージコントロールの作戦を含めてこれから決まってくることになりますね」。レース開催数等の依然として不確定な要素に引き続き影響を受けつつの戦いになるのだろう。

ちなみに本来なら今季のホンダは「スペック1、2、3と進化していく予定でした。中止になった3月の豪州GP(当初の開幕戦)にもちこんだものがスペック1で、もともとこの時期のオーストリアGPは順調ならスペック2で戦っていたと思います」。

この約3カ月は実戦がなかっただけでなく、ファクトリー閉鎖という決まりを守る期間も含まれていたのだが、スペック1からの前進は遂げている。「実際にオーストリアにもちこむのはスペック1.1と呼んでいるものですね」。“2”ではなく“1.1”とはいえ、「1年での進化の3分の1くらいは(スペック1から)伸びていると思います」。このスペック1.1が今季のホンダの年間ベース仕様ということになるようだ。

なお、ホンダには最近、サイバー攻撃を受けたというニュースもあったが、これによるF1への直接的影響はないとのこと(ここは浅木氏でなく広報部が代弁)。

今回のオンライン会見にはホンダF1の山本雅史マネージングディレクターも最後に登場し、「今年はひとつの大きい節目の年かな、と考えています。2月のバルセロナ合同テストでも日々充実していました」と、当初のスタートラインについた時点で近来最高の手応えがあった旨を強調している。「チャンピオン争いをして、年末にはみなさんが笑顔になれるよう戦っていきたいと思います」。

2020年F1開幕戦は7月3~5日にオーストリア・レッドブルリンクにて開催される予定。現代トップチームの一角であるレッドブルと組んで2シーズン目、第4期活動6シーズン目にして初めて本格的に王座獲りへとチャレンジできそうなホンダF1、その戦いぶりはやはり今季最大の注目ポイントとなる。

《遠藤俊幸》

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