コロナで変わる物流業界、物流センターの人員を50%減にする会社も…Hacobu取締役COO坂田 優氏[インタビュー]

コロナで変わる物流業界、物流センターの人員を50%減にする会社も…Hacobu取締役COO坂田 優氏[インタビュー]
  • コロナで変わる物流業界、物流センターの人員を50%減にする会社も…Hacobu取締役COO坂田 優氏[インタビュー]

デジタル化がまったく進まない日本の物流業界であったが、2020年に世界で流行している新型コロナウィルスによる影響で、急激にデジタル化が進んできている。コロナで変わる物流について、株式会社Hacobu(Hacobu)取締役COO坂田優氏に聞いた。

坂田氏は、6月30日開催のオンラインセミナー【コロナ時代のMaaS/DX/物流~Hacobu、ZMP、MONETの戦略~】に登壇し、コロナで変わる物流業界のこれからとHacobuの戦略について講演する。

Hacobuは2015年6月に設立したスタートアップで、「運ぶを最適化する」というミッションを掲げ、業務がアナログなまま残っているBtoBの物流業界をデジタル化する取り組みを進めている。具体的には、物流現場の課題を解決するためのアプリケーションを開発し、物流情報プラットフォーム「MOVO(ムーボ)」の上で提供を行っている。株主には、大和ハウス工業、アスクル、ソニー、日本郵政、日野自動車、三井不動産が名を連ねる。

無人の自動運転トラックが走る土台をつくる

---:物流の現場はアナログと言われますが、どのような状況ですか。

坂田氏:物流業界は、紙ベースで動いています。紙の配送指示書が送られてきて、ドライバーは紙の納品書をもってトラックで配送しています。トラックと紙がセットになって動いていて、荷主は商品とトラックがどこを走っているのか管理が出来ていません。デジタル化が進んでいそうな大手企業ですら、物流センターは紙ベースの業務が中心で労働集約型になっています。また、物流センターへのアポイントも商習慣として無いため、ある一定の時間にトラックが集中して長蛇の列を成すなど、待機問題と言われている現象もあります。

その他にも、GPSでトラックの位置情報の管理が出来ている欧米と比べると、日本は非常にデジタル化が遅れていると言えます。

Hacobuの代表取締役CEOの佐々木が、前職で携わったコンサルティングのプロジェクトで、物流業界の現場が非常にアナログであることに驚き、デジタル化を進めて物流業界を変えたいとHacobuを設立しました。

トラックの自動運転化は将来的に進んでいくでしょう。2030年頃までには高速道路の上では自動運転化が出来る可能性も高いと見ています。しかし、物流業界のデジタル化が進まない限り、本当の意味での自動運転の仕組みは確立できません。このまま紙ベースでの業務を続ければ、ドライバーがいない状態では自動運転トラックは使えないでしょう。物流業界のデジタル化を進め、無人の自動運転トラックが走る土台をつくっていきたいと考えています。

物流業界には第三者の仲介役が必要

---:物流業界のデジタル化が進まない理由は?

坂田氏:メーカーや小売が主体となって、公共性の高いオープンな物流プラットフォームの仕組みを作ろうとしてもうまく行きません。競合する企業は顧客データなどを採られてしまうのではないかと考え、恐怖心から参画できないからです。

第三者が仲介役として、物流業界をデジタル化する必要があります。これまでは、その役割を担う第三者が不在だったのではないでしょうか。

それをHacobuが担っていきたいと考えています。公共性を担保するためにも、株主からガバナンスを利かせることや、独立したアドバイザリー・ボードを持つことは重要です。

また、Hacobuはデータを独占しません。自社のプラットフォーム「MOVO(ムーボ)」は、”シェアリング・ロジスティクス・プラットフォーム”だと考えています。運送、メーカー、流通の各会社が利用する他社システムとMOVOがAPIで連携出来るようになっており、プラットフォームに蓄積したデータを共有したり利活用したり、物流全体を最適化出来るようにアーキテクチャーを作っています。

コロナという黒船到来で、デジタル化が進みはじめた

---:コロナショックで物流業界に起こった変化は?

坂田氏:コロナ前は、労働集約型から抜け出せず、昭和平成の働き方のままであったと言わざるを得ません。また、デジタル化を通じて労働時間の短縮などを推進する「ホワイト物流」という動きがありましたが、一つのきっかけにはなっていたものの、推進力としてはもうひとつでした。

それが、コロナショックにより急激に物流の現場でデジタル化推進が考えられ始めています。100人、200人と多くのスタッフが働き労働集約型になっていた物流センターにコロナ感染者が出てしまったことも大きな要因です。物流センターで働く人員を半分にすることを掲げる企業も出てきています。

このようなニーズに対して、Hacobuが提供するソリューションは非常に親和性が高く、導入する企業が増えています。

---:MOVOの商品を詳しく教えてください。

坂田氏:現在のアプリケーションは大きく分けて4つ。トラック予約・受付を行うバース管理、他には、動態管理、流通資材管理と配送依頼サービスです。物流現場の課題は山積みなので、今後も矢継ぎ早にアプリケーション開発は行っていく予定です。

現在、物流センターからの引き合いが増えているのが、バース管理(MOVO Berth)です。システムを導入し、出入りするトラックにバースと呼ばれる荷物の積み下ろしをする場所の予約をしてもらうことにより、トラックの荷積み・荷下ろしの平準化ができ、混雑する山(ピーク)を作らないようにするだけで、30%もの業務の効率化につながった事例もあります。

1兆円の物流コストの削減が出来る

---:デジタル化をDXへとつなげていくためには?

坂田氏:日本の中ではロジスティクス(兵站)は軽視されがちで、非常に根深い問題だと捉えています。物流データを活用し、全国の物流センターや工場の状況を横ぐしで刺して考えれば、最適な物流ネットワークを構築するなど改善が図れるでしょう。また物流コストを見える化することで商品開発や調達方法も変わってくるでしょう。このような視点でデジタル化からDXにつなげるためには、経営層がロジスティクスを経営課題だと捉える必要があると考えています。

荷主から物流事業者に支払われている総額が年間で約25兆円です。物流がDXされれば、物流コストが1兆円単位で削減出来るのでないかと考えています。日本の物流コストは他国と比べて高いと言われており、デジタル化・DXにより消費者に対して安く、そして安定的に商品を供給出来るようになります。一方、企業としては、物流コストが削減でき、新しいことに投資出来るようになるでしょう。

地産地消の可能性

---:地産地消も社会課題に挙がっています。改善できそうですか。

坂田氏:スーパーのバイヤーが商品を買い付ける時に、物流コストが現在見えていません。どこから来て、どれくらい物流コストがかかっているのか、分からないのです。野菜は冷蔵設備で運ぶ場合はコストが高く、物流コストが見える化出来ると、近くにある良いものを買おうというインセンティブになるでしょう。

坂田氏が登壇するオンラインセミナー【コロナ時代のMaaS/DX/物流~Hacobu、ZMP、MONETの戦略~】はこちら

《楠田悦子》

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