三菱自 加藤CEO「2年間で固定費20%削減」…2020年3月期は3期ぶりの最終赤字

東南アジアで展開される三菱エクスパンダー
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  • 三菱自動車工業の加藤隆雄CEO(参考画像)

三菱自動車工業は5月19日、2020年3月期の連結決算をメディアとの電話会議によって発表した。新型コロナウイルスの感染拡大などにより、純損益は258億円の赤字となった。最終損益の赤字は、燃費不正が発覚した17年3月期以来3期ぶり。

今期(2021年3月期)の業績予想については「新型コロナウイルスの出口は今だ見通せず、足元では適切かつ合理的な予想ができない」(加藤隆雄代表執行役CEO)とし、公表を見送った。

前期のグローバル販売は期末から顕在化したコロナ禍の影響もあって9%減の112万7000台にとどまった。主力のASEAN地域が9%減の29万台となったほか、日本が10%減、欧州が9%減となるなど全地域でマイナスになった。

販売の落ち込みによる営業利益段階での減益影響は505億円にのぼり、このうち「30%以上が新型コロナウイルスの影響」(池谷光司代表執行役CFO)という。また、前期の為替レートは1ドル109円で前々期から2円の円高、ユーロも121円で7円の円高となり、営業損益段階での減益要因は451億円と、円高も重くのしかかった。

この結果、営業利益は88.6%減の128億円と大幅な減益になった。売上高は9.7%減の2兆2703億円だった。電話会議で加藤CEOは前期決算について、「比較的堅調だった当社のコア市場であるASEANが軟調に推移し、さらに新型コロナの感染拡大が世界経済に甚大な影響を与え、収益環境の悪化は想定以上になった」と指摘した。

そのうえで、経営再建に向けて今年度をスタートとする新たな中期経営計画の策定を進めていることを明らかにした。加藤氏は「当社の規模では全方位の拡大は現実的ではない」とし、新たな中計では「選択と集中」をキーワードとしていく考えを示した。市場についてはASEANを中心とする同社のコアマーケットに集中し、それに伴って商品ラインアップも得意分野に特化するなど抜本的に見直す方針だ。

また、過去4年間で固定費が1.3倍に増えるなど体質も肥大化しており、加藤氏は2021年度末までの2年間で「固定費を20%以上削減し15年度水準に戻すコスト改革を推進する」と強調した。

《池原照雄》

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