日産 内田社長「想定下回る販売が一番の原因」…通期営業利益を850億円に下方修正

決算を発表する日産の内田誠社長
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日産自動車は2月13日、2020年3月期の第3四半期(4~12月期)連結決算を発表した。米国での販売再建による台数減や為替の円高などで営業利益は前年同期比82.7%減の543億円と大幅な減益になった。通期予想は第2四半期時点に続いて下方修正した。

第3四半期のグローバル販売は、6%減の369万7000台だった。海外は中国(1~9月実績分)が市場の落ち込みより減少幅が少ない0.4%減の109万台と堅調だったが、米国での販売正常化に取り組む北米は10%減の128万台と低調だった。日本は軽自動車が伸びたものの新モデルに乏しい登録車は苦戦し、全体では7%減の38万台だった。

営業利益段階での損益影響は、販売減や構成比の悪化など販売活動関係で1276億円の減益要因となった。さらに、原材料費の上昇や為替の円高、規制対応費用などの項目で計1349億円の減益要因が発生した。また、電動化や自動運転技術といった将来に備える研究開発費の増額や生産費用も計370億円の利益圧迫要因となっている。売上高は12.5%減の7兆5073億円、純利益は87.6%減益の393億円だった。

通期のグローバル販売計画は従来比で30万台(5%)少ない524万台に下方修正した第2四半期時点に続き、さらに19万台(4%)少ない505万台に下方修正した。北米をはじめ全地域で減少させている。通期業績予想も、第2四半期に続いて下方修正し、営業利益は従来比650億円減額の850億円(前期比73%減)、純利益は450億円少ない650億円(80%減)に見直した。期末配当は見送り、今期の配当は第2四半期末の10円のみとなる。

記者会見した内田誠社長は、通期の業績修正について「何と言っても販売台数が想定を下回ったことが一番の原因だ。固定費の削減等はできているが、更に踏み込んだ削減計画を作っている」と語った。新型肺炎による通期事業への影響は織り込んでいない。

新型肺炎の国内での影響に関しては、14日と17日に日産自動車九州で一部生産を停止するほか、日産車体湘南工場と日産車体九州で計画していた一部の休日出勤を取りやめる。内田社長はこの減産分については今年度内に「挽回生産する」と述べた。停止している中国の各工場の生産については2月17日以降と、20日以降の2段階での再開を見込んでいると説明した。

今後の業績については「足元の状況を踏まえると20年度も多少厳しい状況となる。(同年度の回復には)少し時間がかかると思っている」と語った。一方で、「各地域でコアの新モデルを投入していくので、課題である販売モデルの平均車齢も改善される」と指摘した。再建を進める米国事業に関しては「量から質への転換が進んでいるが、時間を要す」と、なお道半ばとの認識を示した。

《池原照雄》

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