パナソニックCFO「テスラ事業は第3四半期トータルで黒字化を達成した」

パナソニックの梅田博和CFO
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パナソニックは2月3日、2019年度第3四半期(2019年4~12月)の連結業績を発表した。それによると、売上高が5兆7556億円(前年同期比5.4%減)、営業利益が2406億円(同17.8%減)、当期純利益が1781億円(同2.6%増)だった。

また、10~12月の連結業績は売上高が前年同期比8%減の1兆9112億円、営業利益が同3%増の1004億円、当期純利益が29%増の772億円で、梅田博和CFOは「売上高は減収になったものの、営業利益と純利益は事業ポートフォリオ改革による構造改革費用を事業売却益でカバーして増益になった」と評価した。

その中でオートモーティブ事業は売上高が前年同期比7%減の3662億円、営業損益が59億円悪化して65億円の赤字となった。それについて梅田CFOは「円筒形車載電池は増収増益になったが、市況の減速などによる車載機器の減販影響や角形車載電池の固定費増加などによって減収減益になった」と説明した。

ただ、テスラ向けの車載電池を生産している北米のギガファクトリーは「第2四半期の時に下期には単月黒字化を目指すと言っていたが、第3四半期トータルでの黒字化を達成することができた」(梅田CFO)という。

これはテスラの『モデル3』の生産が軌道に乗り、それに合わせてパナソニックの丸形車載電池の生産が増加し、ボリュームが増えたことによって量産効果が出てきたためだ。これで、赤字を垂れ流してきたテスラ向け事業にメドがついたと言っていいだろう。

「ギガファクトリーの稼働状況は12月末の段階で、年間換算にして30ギガワットまできた。3月末には32ギガワットまで立ち上げていこうと考えている」と梅田CFOは話し、2020年度には黒字化の定着を目指す。

ただ、テスラ向け事業には暗雲も立ちこめている。というのも、車載電池の世界最大手CATLがテスラ向けに電池を供給することになったからだ。なんとか黒字化を達成してこれからというときにパナソニックの独占供給が崩れてしまったのだ。

2019年度の通期業績見通しは、売上高7兆7000億円(前年比3.8%減)、営業利益3000億円(同27.1%減)、当期純利益2000億円(同29.6%減)と、11月公表値を据え置いたが、予断を許さない状況になっている。新型肺炎の影響を織り込んでいないためだ。

春節によって中国の全事業所が休業し、2月3日からの稼働を予定していたが、新型肺炎で稼働時期を2月10日に延期したのだ。この稼働予定も新型肺炎の現状を見ると、厳しいと言わざるを得ない。

「稼働時期が延びるならば、家電やデバイスなどに影響をすることになるだろう。基本は中国政府や地方政府の方針に則って対応していくことになる」と梅田CFOは話していた。

《山田清志》

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