ブリヂストン「S22」がモトラッド誌で最高評価を獲得! 公道最強の称号を得たスポーツラジアルの進化に迫る

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ブリヂストン MCタイヤ開発部 MCタイヤ事業部 直需販売ユニット駐在 課長代理 大力 崇弘氏
  • ブリヂストン MCタイヤ開発部 MCタイヤ事業部 直需販売ユニット駐在 課長代理 大力 崇弘氏
  • 一新されたトレッドパターン、カットが増えたことでウェットグリップの向上にも寄与している
  • S21モデルと比較して、進化した点を徹底解説
  • BATTLAX HYPERSPORT S22のサイドウォール
  • ライディング時にタイヤがどのように働いているのかを教えてくれた
  • モーターサイクルジャーナリスト 佐川 健太郎氏
  • S22のトレッドパターン、“刀”をモチーフとした溝が特徴的なデザイン
  • モトラッド誌のタイヤテストで最高評価を獲得している

ブリヂストンの「BATTLAX HYPERSPORT S22(バトラックス ハイパースポーツ エスニイニイ)」は公道におけるスポーツ性能を極限まで追求した最新スポーツタイヤである。2019年春に登場して以来、好調なセールスを続けるなど市場からの反響も上々だ。

その「S22」が今回、世界的に有名なドイツの二輪専門メディア「モトラッド」誌のテストによりナンバーワン評価を獲得した。その理由は何なのか、ブリヂストン本社を訪れ「S22」の開発を担当したMCタイヤ開発部の大力さんに話をうかがった。

公道でスポーツライディングを楽しめるタイヤ

BATTLAX HYPERSPORT S22の開発担当 大力さんにインタビューBATTLAX HYPERSPORT S22の開発担当 大力さんにインタビュー

「S22」とはどんなタイヤなのか。大力さんによると、「背景をお話しすると、2015年にサーキットユースを考慮したハイエンドモデルとしてRSというカテゴリーが新たに追加されました。そこで、とにかくハイグリップという人にはRSを奨めるとして、公道での使用が主となるスポーツ系モデルはどういう位置づけにするか再定義が必要になりました。「S22」は初中級レベルでスポーツライディングに興味ある方からレース経験者のようなエキスパートの方まで、ワインディングで安心感をもって楽しめるタイヤ、というコンセプトで開発しました」とのこと。車種的にはスーパースポーツを中心に上はメガスポーツから下はミドルクラスのネイキッドなども含め幅広くカバーしつつ、間口が広くオールラウンドな性能を目指したという。

ドライとウェットの総合で最高評価を獲得

今回「モトラッド」誌が行ったテストとはどのような内容だったのだろうか。最新タイヤテストは同誌が毎年行っている企画で、今年は欧州にあるブリヂストンのテストコースが舞台に選ばれた。今回はスポーツ系タイヤをテーマにドライとウェットでテスト。公平を期するために基本的にひとりのテスターが1台のバイクですべての銘柄を1日でテストする形式をとる。持ち点はドライが150点、ウェットが100点の合計250点満点で、各メーカーが持ち寄った銘柄に対して多面的に評価していく。エントリーしたのは世界的に名の知られた6ブランドで、モトラッド誌のチーフテスターが評価を行った。

続けて、大力さんは「嬉しいことに「S22」がトータル230点で全銘柄中トップに。特にドライのハンドリングが高得点で、加えてウェット性能を両立させていることが高評価のポイントになったようです。評価項目としては、冷間性能、ハンドリング、ライントレース、応答性、直進安定性、旋回安定性、グリップ性能、立ち上がりのトラクション、ブレーキコントロール性など専門的で多岐にわたっています。彼らが行っているテストは非常にシビアなもので、タイヤの限界付近までプッシュして評価します。逆に言うと、評価項目によってはそうしたシビアなコンディションでないと違いが出てこないんです。だから、記事中にも『テストしたすべての銘柄は問題ないレベルにある』と前置きがありました。ただ、ユーザー心理としては高いお金を出して買うものなので、その僅かな差を見極めたいと思っているはず。今回、権威あるメディアで太鼓判を押されたことには大きな意味があると思います」とのこと。

実はブリヂストンは2012年にも「S20」でトップを獲得した実績がある。その優れたDNAはS21を経てS22へと受け継がれたわけだ。

パターン改良でライダーの“ヒヤッ”を緩和

BATTLAX HYPERSPORT S22、フロント(左)、リア(右)BATTLAX HYPERSPORT S22、フロント(左)、リア(右)

優れたアドバンテージを生む「S22」の秘訣について技術的な側面を見ていこう。まずはニューデザインのパターンについて。「S22ではパターンを一新しました。目的のひとつはウェット性能向上のためで溝比率を高めています。特にセンターからショルダー部にかけては前作「S21」を大きく上回っています。そこは雨天のコーナリングで使うことが多い中間バンク部分。スポーツタイヤに求められるウェット性能とは何かを追求しました」

S22のトレッドパターン、“刀”をモチーフとした溝が特徴的なデザインS22のトレッドパターン、“刀”をモチーフとした溝が特徴的なデザイン

パターンはトレッド剛性にも深く関わってくる部分。特に滑ったときの過渡特性が大事で、単に排水性を上げるだけでなく溝比率を最適化することで、ライダーが最もヒヤッとする“バイクが倒れ込もうとする動き”を緩和することができるのだとか。

低温域から確実なグリップを生む微粒径シリカ

また、樹脂配合の工夫により、すべての温度帯でグリップ性能を高めることができた。とりわけ低い温度域からのグリップの立ち上がりが早く、グリップ性能自体も上がっている。実は筆者自身、昨年末に国内で行われた「S22」のメディア向け試乗会に参加しているが、そのときも「これはいける!」と実感した。ハイグリップタイヤは冷間時にはまったくグリップしない、という従来の常識とは異なる感触にとても驚いた記憶がある。特にフロントの接地感が高く、それはウェットでも同じだった。何というか、溶けて貼りつくのではなく、コンパウンドで路面を捉えている感じがしたのだ。大力さん曰く、それが配合の妙だそうだ。

BATTLAX HYPERSPORT S22の開発担当 大力さんにインタビューBATTLAX HYPERSPORT S22の開発担当 大力さんにインタビュー

具体的にはタイヤのコンパウンドはカーボンブラックとシリカという2種類の素材が含まれているが、「S22」ではシリカの粒径を小さくして細かく入れ込んでいる。シリカ自体は白い粉で砂のようなものだが、親水性があり、微粒径にして表面積を広げることで凝着力を高めているとのこと。高速回転しているタイヤは、よく言われる“消しゴムを押し付ける”というよりも“路面に対して投げつける”イメージに近いのだとか。路面のこまかい表面にゴムを食い込ませていくイメージかもしれない。

タイヤと路面の接地状態を可視化、滑りのメカニズムを徹底解析

ULTIMAT EYE(TM)による、タイヤの滑り域の可視化イメージ

ブリヂストン独自のシミュレーションシステム、ULTIMAT EYE(TM)(アルティメット アイ)についても聞いてみた。これはタイヤと路面との接地状態を可視化するシステムで、接地面での粘着域と滑り域などが色分けされて手に取るように分かる。仕組みとしては、直径2メートル程度の巨大な金属製のドラムが高速回転する表面に無数のセンサーが埋め込まれ、接地面にかかる圧力とタイヤが発する力を計測。バンク中を想定して、あらゆる条件でタイヤが接地する瞬間の“踏んで蹴り出す”という連続の動きを再現することができるという。実際の画像でも、接地面の輪郭に沿って滑り域が現れるエリアが「S22」は従来の「S21」に比べて小さくなっていることが分かる。つまり、グリップを有効に使えることでサーキットではタイムアップにつながるのだ。

ライディング時にタイヤがどのように働いているのかを教えてくれたライディング時にタイヤがどのように働いているのかを教えてくれた

また、S22のライディングフィールについて、「滑りがマイルドだとライダーは怖さを感じにくいものです。先ほどのパターンの話にも関わってきますが、失われるグリップが急激だとライダーは怖く感じます。たとえば、アルティメット アイでコーナー立上り加速を再現した時に、加速条件で滑り域が大きく増えるタイヤは怖いんですけれども、その変化が少なければ車両挙動はマイルドで、ライダーは安心感をもつことができます」と大力さんは話す。

ULTIMAT EYE(TM)は元々F1やMotoGP用タイヤの開発に使われていた技術だったが、「S21」から市販タイヤにも活用され「S22」開発にも大きな力を発揮した。最新バージョンではたとえば、鈴鹿サーキットのS字コーナーでのタイヤと路面の接地状態までも再現できるそうだ。

路面温度ひと桁前半からアクセル全開もあるEWC

鈴鹿8耐で8年連続ブリヂストン装着チームの優勝、2019年大会では「Kawasaki Racing Team Suzuka 8H」が26年ぶりの優勝を果たした鈴鹿8耐で14年連続ブリヂストン装着チームの優勝、2019年大会では「Kawasaki Racing Team Suzuka 8H」が26年ぶりの優勝を果たした鈴鹿8耐の2019年大会で優勝した「Kawasaki Racing Team Suzuka 8H」

今年の鈴鹿8耐ではブリヂストンがサポートするチームが1位から8位まで独占し、14年連続で勝利を重ねている。F1やMotoGPの公式サプライヤーであったことも含め、モータースポーツのトップカテゴリーで培われた知見やノウハウは市販タイヤにどう生かされているのだろうか。

「もともとアルティメット アイはF1用タイヤの開発のために作られましたが、単にサーキットタイムを上げるだけでなく、4輪タイヤでは運動性能を低下させず転がり抵抗を減らして燃費や耐久性を高める目的にも活用しています。最近はEWC(世界耐久選手権)用のレースタイヤの開発にも活躍していますね。EWCはある意味、MotoGPなどより条件が厳しい。例えば真夏の鈴鹿8耐は路面温度が60度以上の中で使用されますが、EWCの24時間レースでは路面温度がひと桁前半の温度域になることも。セーフティカー入って冷え切ったところからの全開走行もあるわけです。こうした過酷な条件下でも常に安定したパフォーマンスを発揮できることがレースでも重要ですし、公道では安全や安心感につながります。もちろん、その技術は「S22」にも生かされています」

安心感をもってパフォーマンスを引き出せることが理想

BATTLAX HYPERSPORT S22の開発担当 大力さんにインタビューBATTLAX HYPERSPORT S22の開発担当 大力さんにインタビュー

最後に理想のタイヤ像について大力さんに聞いた。「バイクで風を切って走る爽快感は格別なものがありますよね。大人の趣味としてのスポーツライディングを安全に楽しめるようにサポートし、心の健康に貢献するのが二輪タイヤのミッションかと。気持ちよく走れるのが理想のタイヤと思っています。技術的なところでは、高性能化するバイクに合わせてタイヤも進化し続ける必要がありますし、絶対的なグリップ性能も上げ続けるしかない。その中でユーザーが安心してパフォーマンスを引き出せるタイヤが求められるでしょう。バイクも電子制御化が進んでいますので、タイヤとしても制御との親和性がポイントになってくる。たとえば、タイヤが滑り出したときにグリップが急激に落ち込まない、ライダーが安心して乗りこなせるタイヤとか。制御が高度になるほど限界域でのコントロール性などもますます重要になってくると思いますね」

マシンとともに進化し続けるタイヤ。その中で「S22」が現時点で最高峰レベルの公道用スポーツタイヤであることは嬉しい事実だ。何故ならその恩恵を受けられるのは我々ライダーなのだから。

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《佐川健太郎》

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース個人」オーサー。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

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