リニア中央新幹線「静岡県は反対していない」…鉄道被災にも言及した10月25日の国交相会見

台風21号の影響で第六久慈川橋梁の橋桁が流出した水郡線袋田~常陸大子間。赤羽大臣自身も水郡線の被災状況を視察したという。
  • 台風21号の影響で第六久慈川橋梁の橋桁が流出した水郡線袋田~常陸大子間。赤羽大臣自身も水郡線の被災状況を視察したという。
  • 浸水した長野新幹線車両センターの北陸新幹線車両。赤羽大臣は電源設備なども含めて新幹線関連施設の浸水対策を早急に取りまとめるとしている。

赤羽一嘉(あかばかずよし)国土交通大臣は、10月25日に行なわれた大臣会見で相次ぐ台風で被災した鉄道について記者の質問に答えた。

台風19号の影響で全30編成のうち10編成が浸水被害を受けた北陸新幹線については、「利用者の皆さまに多大な御迷惑をおかけしてきたことは、大変遺憾であると考えています」と陳謝。その上でJR東日本に対して、なぜ車両を待避させることができなかったのかを検証するよう指示したことを明らかにした。

浸水車両が滞留していた長野新幹線車両センターでは電源設備なども被災したことから、全国の鉄道事業者に対して浸水対策についての緊急点検を指示し、とくに新幹線については早急に対策をとりまとめるとしている。

また、台風19号では、橋梁が流された長野県の上田電鉄など、財政基盤が弱い地域鉄道の被害も大きかったことから、記者からは現在の鉄道軌道整備法の補助スキームでは負担が重すぎるのではないかということが事業者側から出ていることが指摘された。

ちなみに、被災路線の早期復旧などを目的とした鉄道軌道整備法は、もともと赤字の鉄道事業者の復旧事業に限って適用されていたが、2018年にはJR東日本など黒字事業者の路線であっても、復旧費用が被災路線の年間収入を上回った場合や、被災路線が過去3年間赤字であった場合などを条件に復旧費用の一部を補助するように改められている。

これに対して赤羽大臣は「経営状況が脆弱な鉄道会社についての支援というのは1つ大きな課題だと思っています」と述べ、この点をしっかり検討していく考えを示した。

大臣自身は、現在、常陸大宮駅(茨城県常陸大宮市)と安積永盛駅(福島県郡山市)との間が不通となっている水郡線を視察したとしており、「被害の大きい路線の早期復旧に向けて、今、第3セクター鉄道などへは、鉄道運輸機構や鉄道総合技術研究所による技術支援を行っている」と述べた。合わせて、道路管理者や河川管理者といった関係機関との連携や調整が円滑に図ることができる支援を行なうことも明言している。

このほか、鉄道関連では大井川の水量減少をめぐって静岡県が県内での着工を認めていないリニア中央新幹線について言及した。

10月24日に国交相の藤田耕三事務次官と川勝平太静岡県知事が会談したことに触れ、「知事からは、静岡県はリニアについては反対するものではない、また、国が行司役として関与する形で、三者による調整の場を設けることについてよろしくお願いしたい、との話があったとの報告を受けております」と述べ、国交相としての今後の対応を、鉄道局を中心にしっかり行なっていく考えを示している。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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