格安航空会社(LCC)ピーチは10月27日、成田空港での利用をこれまでの第1ターミナルからLCC専用の第3ターミナルへ移動。第一便となる大阪(関西空港)が出発するのに際して記念セレモニーが開催され、新調したピンク色の“ビッグハンド”で乗客を見送った。
ドリンクやお菓子でおもてなし「Share Happiness Morning」
ピーチは2018年3月、同じANAを親会社に持つ格安航空会社(LCC)バニラエアとの経営統合を発表。同年12月にはピーチがバニラエアの路線継承を明らかにし、10月1日にはピーチとしては初めて成田~奄美路線に就航。10月27日にはバニラ・エアとして最後のフライトを終えたところだ。
成田空港第3ターミナルからのピーチ第一便となったのは、大阪(関西空港)へ向かうMM312便。セレモニーは出発する163搭乗口付近で行われた。まず午前6時半からは「Share Happiness Morning」と名付けられたモーニングサービスが乗客向けに振る舞われ、ここにはピーチ代表取締役CEOの井上慎一氏が先頭に立ってコーヒーやドリンク、お菓子などでもてなした。このサービスはとりあえずこの日だけのサービスとなっていたが、ピーチによれば乗客の反応次第で継続するかどうかを判断することにしているという。
セレモニーは午前7時よりスタートし、挨拶にはピーチ代表取締役CEOの井上慎一氏が立った。井上CEOはまず「Share Happiness Morning」について、「これまでご利用頂いた方も、初めてご利用頂く方も、ピーチをこれからもよろしくお願いします、という思いを込めて提供した」と述べた。さらに今回の成田空港でのスタートについて井上CEOは、「今夜からはピーチとして成田からの最初の国際線が、台湾の高雄と台北への第一便が飛ぶ。12月からは石垣島への就航を予定しており、“空飛ぶ電車”ピーチにとって成田は関空と並ぶ拠点空港になる。引き続き安全運行に留意しながら、これからも成田空港発のフライトを充実させていく」と今後へ向けた抱負を語った。
その後は井上CEOをはじめ、関係者が搭乗口へ移動。ピーチに合わせて新調したピンクの“ビッグハンド”で乗客とタッチしたり、ビッグハンドを振ったりして乗客を見送った。予定では出発を消防車による放水アーチで機を見送ることになっていたが、この日は他の着陸機にトラブルが発生したとの連絡を受け中止。井上CEO以下、スタッフが搭乗口隣の窓から“ビッグハンド”を振る中、147名の乗客を乗せたMM312便は8時55分、予定より20分ほど遅れて大阪(関西空港)へ出発した。
井上CEO「首都圏で路線を増やし、アジアのリーディングLCCへと成長したい」
この後、ピーチの井上CEOが記者団の質問に答えた。成田を利用するピーチはどんな航空会社になりたいかとの質問には「首都圏マーケットに足を踏み入れたことで、非常に期待値が高い空港だ。これから便数もどんどん増やしていき、首都圏の人たちが便利と思う路線を増やしていきたい」と回答。また、認知度向上については「これまで首都圏では路線数が少なかったが、今回の統合で路線数も増えており認知度は少しずつ上がっていくと思う。合わせてドラマなどとのコラボを通じて認知度を高めていく努力もしていきたい」と述べた。
来年3月にバニラと正式統合するのあたっては「これまでの首都圏を中心としていたバニラエアと、関西を拠点としていたピーチがスクラムを組み、新たなスタートを切ることができた。これまで通り安全運行を堅持しつつ、アジアのリーディングLCCへ向けたシナリオをきっちり描くことが今ある課題だ。(具体的な成長戦略としては)事業規模を拡大すると同時に新しい需要を創造していく」と述べた。中距離路線への対応は「来年末に(長距離型の)A321LRが入ってくるので、従来の飛行時間4時間を超えることが可能となる。これで新たな展開ができることを楽しみにしている」とカバレッジの広がりに期待を寄せた。
第1ターミナルから第3ターミナルへ移ったことに対しては「第1では国内線だけだったが、第3では国際線も合わせて扱える。ターミナルの利用コストも下がるということで映ってきた。その意味ではメリットが大きくデメリットはない」とした。
この日の夜にはピーチとしては初めてとなる成田からの国際線が就航。18時50分には成田~台湾・高雄線のMM635便が、同日20時40分には成田~台湾・台北(桃園)線のMM627便が飛び立ち、いずれもピンクの“ビッグハンド”による乗客の見送りを行った。