【ボルボ V60 T6 新型試乗】「電動感」なく、どこまでいっても優等生である…中村孝仁

PHEVがシステムとしての主流になる

初めてプリウスに乗った時のような“感動的静かさ”は

ブレーキフィール以外に死角はない

ボルボ V60 T6 インスクリプション
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PHEVがシステムとしての主流になる

2017年、ボルボは販売する全モデルに電気自動車、プラグインハイブリッドもしくはマイルドハイブリッド車をラインナップすると公表した。今年はその2019年である。

9月の時点でこの約束はまだ果たされていないが、電動車が着実に増えていることは間違いない。今回試乗した『V60 T6』もその1台である。このクルマ、いわゆるPHEVで、ガソリンの給油口を車体後半部右側に。そして電気の充電ソケットを車体前半部左側に持つ。ただし、この充電口で充電できるのは200V電源のみ。いわゆる急速充電には対応しない。勿論PHEVであるから、充電しなくても電気がなくなればエンジンで発電することも出来る。

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走行モードはピュアと呼ばれるエコ運転用モードに始まり、デフォルトのハイブリッドモード、そしてパフォーマンスをフルに発揮させたい時のパワーモードと、個別の設定が可能なインディビデュアルモードがあり、センターコンソールの大きなディスプレイによってそれを切り替えることが出来る。この他にコンスタントAWDという、電動4WDならではのモードも備わるが、これはシーズンが限定されるだろう。

いずれにせよ世界的に電動化の流れは最早止められないし、かといっていきなりピュアEVの世界は見えてこない。それに燃料電池だってまだまだ一山二山先にありそうだから、当分はこのPHEVがシステムとしての主流になるのではないかと思う。

初めてプリウスに乗った時のような“感動的静かさ”は

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とにかく、フロント左側の給電口が唯一のPHEVたる証で、それ以外は通常のガソリンエンジン車と何ら変わることがなく、実際に運転しても日頃から特に走りに注意を払わないような一般の人には、それがガソリンエンジン車なのかPHEVなのかは判別不明。事実、我が女房殿も「これ、ハイブリッドなんだよ」と言っても答えは「あら、そうなの」で終わり。

ハイブリッドモードにしておくととりあえずバッテリーがある限りは電動走行を優先するから、アクセルの踏み込み量さえほどほどにしておけば、ずうっと電動走行している。だからとても静か…なのだが、それでも生まれて初めてハイブリッド『プリウス』に乗った時のような感動的静かさが実感として湧かないのは、この20年ほどでクルマが劇的に進化して、内燃機関車でも抜群の静粛性を持つクルマが出てきたことや、アイドリングストップによって、車両が止まるとエンジンが止まってしまうなど、静かさへの演出が多くなって来たためなのだと思う。

自宅に充電設備のない我が家としては、電気で走りたいがためにどうしても無駄に電気を残そうとして時々チャージモードを使おうとするのだが、当然のことながらガソリンの使用料は増えるわけで、このあたりがどうしても本末転倒だと感じてしまう。PHEVの良いところは充電不可のハイブリッド車と比べてバッテリーの搭載容量が大きく、それ故に長距離を電動で走れるところにあると思うのだが、やはりどうせ買うなら自宅に充電設備を備え、夜間電力を使って安上がりに充電が出来るようにしてから欲しいなと思ってしまう。 

ブレーキフィール以外に死角はない

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正直なところ、走りの質はガソリン車と比べてどこが違うの?という印象。勿論電動で走るわけだから、その点は大いに違うのだがどうも違いを見出せないというのが偽らざるところ。例えば三菱『アウトランダーPHEV』やホンダ『アコード』のように、ここ一番という時にはガソリンエンジンも走りに加担するが、普段は発電に専念して黒子になるようなシステムの方が、より電動車を実感できると感じるわけである。

車両重量はガソリンエンジン車と比較して300kg以上重い。それだけにどっしり感やフラット感ある乗り心地はより強くなっているはずなのだが、どうも基となるV60の出来が良いためか、その違いすら見出すことが出来ない。どこまで行っても良いクルマ、優等生なのである。

ひとつだけガソリン車とは少し違うな、と感じたのがブレーキフィール。回生ブレーキを備えるハイブリッド車の多くが、ブレーキフィールにガソリン車との違いを感じさせるが、V60 T6も例外ではなく、若干踏み始めが重い。それに聞き具合にリニアリティがないこと。これを除けば、V60 T6に死角はない。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

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