【MaaS】バス会社がつくるMaaSアプリ「PassRu」…神姫バス バス事業部 営業課 課長 佐藤匡氏[インタビュー]

【MaaS】バス会社がつくるMaaSアプリ「PassRu」…神姫バス バス事業部 営業課 課長 佐藤匡氏[インタビュー]
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日本の公共交通は欧米と異なり民間企業が支えている。MaaSをきっかけに知った人も多いだろう。悲劇的に捉える人も多い。しかし企業活動であるがゆえに、創意工夫や企業努力により支えられ、じつにユニークであることは世界に誇る点だ。

兵庫県姫路市に本社を置き、1927年から営業を始めている神姫バス。自治体が運営できなくなったバスの譲受や受託により、いまやグループで兵庫県全域のバスをほとんど担っている。バスだけではない。タクシー、観光、住宅、飲食、自動車周辺など自動車輸送、車両物販・整備、不動産、レジャーサービス、旅行貸切など移動や生活にかかわる事業を営んでいる。2018年期の純利益は13憶3,800万円。

神姫バスのように老舗企業で鉄道会社を親会社に持たずに、一部上場し安定的な経営を行っているバス会社は数えるほどだ。そのため業界の特に地域交通なかでも一目置かれる存在でもある。同社の経営理念は「地域共栄 未来創成」だ。

同社は2019年6月3日付けで、コーポレートベンチャーキャピタル「S5(エスファイブ」を設立し5億円を出資した。ベンチャーキャピタル設立はバス会社としては初の取組みだ。S5の5つのSは、1.Society5.0の実現をめざし 2.神姫バス(Shinkibus)および 3.サンブリッジグローバルベンチャーズ(Sunbridge Global Ventures)が 4.スマートモビリティ(Smart Mobility)と 5.スマートコミュニティ(Smart Community)に関連するスタートアップに出資することを表している。

このような精力的な活動を展開する神姫バスも自動運転やMaaSに関する取組みを展開している。神姫バスグループとMaaSについて神姫バスバス事業部営業課課長の佐藤匡氏に聞いた。

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どこでも買える乗車券

---:神姫バスは乗車券に特化したMaaSアプリ「PassRu(パスル)」のサービスを開始しました。その背景は?

佐藤氏:バスのチケットってどうやって買います?窓口で営業時間内しか買えないところがほとんどだと思います。でも、バスは朝から晩まで走ってますし、1日フリー券などのお得なチケットもあるのですが何だか使いにくい。お客様のニーズに応えられていない状況を何とかしたいと思い開発しました。

我々も自社で交通系ICカード「nicopa(ニコパ)」を導入していますが、使えるエリアは当社沿線のみで、観光客にはニコパは不向きです。どこからでも乗車券を買える環境をつくりたいと考えていました。

バス会社ならではのアプリ

---:アプリの特徴は?

佐藤氏:最初は決済と乗車だけ考えていましたが、ちょうどMaaSという概念が出はじめた頃に、検索、予約、そして記録などの概念も意識し、設計しなおしました。バス会社がつくるアプリだからこそ、バス会社視点で使いやすいものになっているかと思います。神姫バスグループで閉じて使うのではなく、どの事業者でも使える開かれたアプリであることも特徴です。連携を広げ大きく育てることで乗車券の領域を超えたサービスに発展させていいきたいと思っています。

MaaSはバス会社を救う?

---:MaaSについてどう考える?

移動は目的でなく手段という点では、MaaSの考え方は基本だと思っています。私はバス会社に勤めているので、公共交通に注目されていることは大歓迎ですが、あらゆる移動手段が垣根なくつながることがもっと重要で、それぞれの役割が自然な流れで分担されていくようになれば、バスの役割も大きいと思っています。当社としては、企業理念にもある「地域と共に栄える」仕組みを、MaaSを通じて実現させていきたいですね。CVCもそのきっかけづくりですね。

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《楠田悦子》

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