[サウンドシステム構築論]パワーアンプ内蔵DSPで内蔵パワーアンプシステムを楽しむ

パワーアンプ内蔵DSPの一例(ミューディメンション・DSP-680AMP)。
  • パワーアンプ内蔵DSPの一例(ミューディメンション・DSP-680AMP)。
  • ミューディメンション・DSP-680AMPのサウンドチューニングソフトの設定画面。
  • DSP内蔵パワーアンプの一例(JLオーディオ・VX600/6i)。
  • JLオーディオ・VX600/6iのサウンドチューニングアプリの設定画面。

カーオーディオの楽しみ方は人それぞれ。システムの形もまた人それぞれだ。純正ナビを中心としたお手軽仕様から外部パワーアンプを用いるハイエンドシステムまで多種多様に選択肢が存在している。当特集では、その1つ1つについて、利点や楽しみ方のコツを紹介している。

第3回目となる今回は、“パワーアンプ内蔵DSP”を核とする「内蔵パワーアンプシステム」について考えていく。

“パワーアンプ内蔵DSP”を用いれば、詳細な音調整が可能な本格システムを合理的に構築できる!

最初に、“パワーアンプ内蔵DSP”を用いて構築する「内蔵パワーアンプシステム」が、どのようなクルマ、そしてどんなユーザーに向いているのかを解説する。

これが向いている車両とはズバリ、「メインユニットを交換しずらいクルマ」だ。そしてこれが向いているユーザーとは、サウンドを緻密に制御できるシステムを合理的に完成させたいと考えるユーザー」である。

それぞれについて、どういうことなのかを詳しく説明していこう。

ところで、好きな音楽を誰にはばかることなく大きな音で聴ける車室内は、リスニングルームとして最適な空間であるのだが、実は、音響的なコンディションは良好とは言い難い。狭いがゆえに音が反射や吸収の影響を受け周波数特性が乱れがちとなり、また、聴取位置が左右のどちらかに片寄るのでステレオイメージを感じ取りづらい。

しかし“DSP(デジタル・シグナル・プロセサー)”を用いると、それら弊害に対処できる。

なお、“DSP”には3タイプが存在している。1つは前回に紹介した「ハイエンドナビに内蔵されているもの」、2つ目は「単体DSP」、そして3つ目がこの「パワーアンプ内蔵DSP」だ。

で、「ハイエンドナビ」は、メインユニットが交換しづらい車種には向かない。一方「単体DSP」は、これを核としてシステムを構築するともろもろが大がかりになりやすい。しかし「パワーアンプ内蔵DSP」をセレクトすれば、メインユニットの交換は不要となり、かつ、別途外部パワーアンプを用意する必要がないので省スペース&低予算でシステムを構築できる。ゆえに、「メインユニットを交換しずらいクルマ」と、「サウンドを緻密に制御できるシステムを合理的に完成させたいと考えるユーザー」に向いている、というわけなのだ。

手頃なタイプからハイエンド機まで多彩。嗜好に合わせて最適なモデルが選び放題!

ところで、ひと口に“パワーアンプ内蔵DSP”とは言ってもタイプはさまざまある。そしてそれぞれで、利点と向き不向きが異なってくる。

タイプは主に3つある。1つは「小型でリーズナブル」なタイプ。これはすなわち、メインユニットを換えにくいクルマに向けて、「手軽に“DSP”を導入できるように作られたもの」と言っていい。なので、グローブボックスに入れられるほどの小型化が成されたモデルもあったりする。ただし、内蔵パワーアンプのパワーは小さめだ。実用レベルで問題はないが、メインユニットの内蔵パワーアンプと同程度というものもある。

2つ目は、「内蔵パワーアンプがパワフルなタイプ」だ。このタイプは、“DSP”と“外部パワーアンプ”の利点を両得できることがメリットである。トルクフルにスピーカーをドライブでき、そうでありながらもインストールはしやすい。多くのモデルがシート下に収められるサイズに仕上げられている。1つ目のタイプと比べて価格は高めになりがちだが、合理的により本格的なシステムを構築できる。

3つ目は、「パワーアンプが高性能なタイプ」だ。このようなタイプは、パワーアンプの設計にこだわりが満載されていて、ゆえに“DSP”が付属物という位置付けとなっている。ただしそうは言っても“DSP”も負けず劣らず高機能だ。というわけでこのタイプは、「ハイエンドシステムを合理的に構築したい」という人に向いている。

“パワーアンプ内蔵DSP”に対するニーズは年々高まっている。なので製品のバリエーションも年々増えてきた。手軽なモデルから高級機まで幅広くラインナップされている。嗜好に応じて最適なモデルが選び放題、という状況だ。

楽しみ方の幅も広い。思い思いのやり方で「内蔵パワーアンプシステム」を満喫できる♪

続いては、“パワーアンプ内蔵DSP”を用いた「内蔵パワーアンプシステム」ではどのような楽しみ方ができるのかを解説していく。

ポイントとなるのは、「ソースユニットに何を使うか」、だ。

選択肢は主に3つある。1つ目の選択肢となるのは言うまでもなく、「純正メインユニット」だ。ほぼすべての“パワーアンプ内蔵DSP”には“ハイレベルインプット”が備えられていて、「純正メインユニット」のスピーカー出力を接続できるようになっている。スピーカー出力からは「純正メインユニット」の内蔵パワーアンプで増幅された後の信号がアウトプットされるのだが、“ハイレベルインプット”があればその増幅された信号を微弱な状態へと戻せるのだ(純正オーディオが複雑な仕様になっている場合には、接続が困難となるケースもある)。結果、「純正メインユニット」のオーディオ機能がそのまま使える。選曲等の操作もやりやすい。

音質にこだわろうとするのなら、“DAP”を繋ぐという選択肢も浮上する。“パワーアンプ内蔵DSP”の多くはデジタル入力を備えているので、そのような機種を選べば“DAP”をデジタル接続でき信号制御を効率的に行える。さらには、“ハイレゾ音源”を楽しみたい場合にはこれに対応したモデルを選べば、カーオーディオシステムの“ハイレゾ化”も成し遂げられる。

また、手持ちのスマートフォンに大量の音楽が格納されていると言うのなら、それをソースユニットとして使うと便利だ。そう考えた際には、Bluetoothに対応した“パワーアンプ内蔵DSP”を選ぶと◎。スマホ内の音楽をワイヤレスで受け取れる。

というわけで、“パワーアンプ内蔵DSP”を核とする「内蔵パワーアンプシステム」を構築すると、高いサウンドチューニング能力を手にしつつ、音楽の楽しみ方の幅を広げることも可能となる。しかも、やり方次第ではハイレベルなHi-Fiシステムも構築できる。思い思いのやり方で、“パワーアンプ内蔵DSP”による「内蔵パワーアンプシステム」を満喫しよう。

今回はここまでとさせていただく。次回は外部パワーアンプを用いる“パッシブシステム”について解説する。乞うご期待。

《太田祥三》

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