伝統のマン島TTレースが閉幕して約1か月後の7月3日、1963年の同レースで日本人初の優勝を飾った伊藤光夫氏が逝去した。82歳だった。
伊藤光夫氏は1959年から1969年にかけて、スズキの社員ライダーとして二輪車世界ロードレース選手権をはじめとした国内外のレースに参戦。1963年にマン島TTレース(50ccクラス)で日本人として初めて優勝するなど、輝かしい成績を収めてきた。
レース引退後もスズキのレース活動に携り、レース車両の開発、世界に通用する技術の向上、後の世界チャンピオンとなるケビン・シュワンツなど優秀なライダーの育成に加え、長きにわたりMFJの技術委員を務めるなど、スズキのみならず日本の二輪車のレースの普及、発展に貢献してきた。
その功績を称え、日本のモータースポーツの後世に伝える歴史として、日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)が 設立した「MFJモーターサイクルスポーツ殿堂」の第1回の殿堂顕彰者に選出された。
スズキは、伊藤光夫氏の逝去について、「偉大な功績とモータースポーツにかけた情熱に敬意を表するとともに、謹んで哀悼の意を表します」とコメントしている。