【フィアット 500X 新型試乗】バッサリと切り倒したデビュー時から大きく進化した…中村孝仁

バッサリと切り倒したデビュー時

「プリミティブ」だった部分は大きく改善された

いっそ「500」とは決別した方が…?

フィアット 500X 新型
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バッサリと切り倒したデビュー時

フィアット『500X』が日本でデビューしたのは2015年だから今から4年前。当時試乗して案外バッサリと切り倒した記憶がある。

今回、恐らくはデビュー以来最大の大きな変更を受けたモデルが新たに投入された。と言っても外観はほとんど変わっていない。例えば前後バンパーが変わってヘッドライトが一新されたとあるが、そもそも旧型があまり見かけることが少ないので、ふむふむ、そうなの?というレベル。


大きな変更の大半は、実はエンジンにある。従来は1.4リットルのマルチエアターボユニット。それが今回は新世代となるファイアフライターボユニットになった。オリジナルはブラジルで開発されたエンジンだそうだが、その趣旨はパワーアップと排ガス対策にある。

というわけで従来の1.4リットルと比較して、排気量は下がっても11ps、20Nmの増加を見ており、それぞれ151psと270Nmとなった。古い1.4リットルと見比べてみると、エンジンルームはエアダクトの取り回しが全然違う事が目に付く。

省かれたものもある。それはドライブモードセレクター。従来はオート、スポーツ、トラクションの3つから選べるセレクターが装備されていたが、それがあったと思しき位置には、Xをあしらったエンブレムが付いていた。

「プリミティブ」だった部分は大きく改善された


冒頭バッサリ斬り倒したと書いたが、それは当時かなりプリミティブと感じたトランスミッションの出来とブレーキ性能なのだが、まず6速のDCTから話をすれば、ズバリ、大きく改善されている。

当時は個体固有の特性の可能性を指摘したが、今回のモデルはそうしたギクシャク感はほとんど無く、DCTとしての出来栄えはベストとは言わないまでも、かなり高評価を与えることが出来るレベルである。もう一つのブレーキに関してだが、俗にカックンブレーキと称するゲインが突如立ち上がる傾向にあったものなので、特に低速時に扱いづらかった。それが今回は全くそんな兆候を見せず、少なくとも4年前にプリミティブだと評した部分は完全に解消されていた。

次に新しいエンジンである。元々マルチエアの時も評価が高くスムーズで良く回るエンジンだと感じていたが、今回はパワー的にはそれを上回るわけだし、トルクも拡大しているから、よりパワフルになっているのは間違いないのだが、残念ながら4年前の記憶などとっくの昔に吹き飛んでいるので、旧型との比較は無理。しかし、最近乗ったほぼ似たようなレベルの性能を持つ4気筒と比較した場合、こちらの活発さというか、高回転を好むエンジンキャラクターが目に付いた。

そんなわけだから、燃費についてはまああまり期待しない方が良いかもしれない。一応WLTCモードで総合13.5km/リットルとされている。ライバルにはまだJC08の数値しか表示されていなかったので比較にはならないが、JC08よりおよそ20%ほど落ちるというのがWLTCの相場のようだから、それを当てはめると実はほとんど差はなかった。まあ、500Xに関しては長距離の試乗をしていないので、燃費に関しては何ともいえない。

いっそ「500」とは決別した方が…?


当時ゴムの上に乗っているような乗り心地という表現をした乗り心地は、結構締まった好ましいものに変貌していた。乗り心地が良いかと聞かれたら「まあ、そこそこに」と答えるレベルであるが、空気圧の高すぎるタイヤの上に乗っている印象は皆無。適度にコツコツとくる、案外スポーティーな印象に大変身だから、これも大いなる改善と表したい。

それはともかくとして、日本におけるフィアットの販売は6000台ほどで、実はその大半が『500』だ。500Xではなく500。そして500Xの販売はというと年間でだいたい1000台ほどだという。

だいぶSUV味を出したエクステリアと何よりも4ドアで大きめのボディは間違いなく実用性という点で売れているチンクェチェントこと500を凌いでいるのだが、500という名前から想像するに、きっと可愛らしさに欠けることが売れない理由なのでは?とも思うから、いっその事500と決別して別の名前で売ったらいいのにとも思ってしまう。

因みに現行モデルから4WDの設定はなくなり、4WDが欲しければ同じプラットフォームの兄弟車、ジープ『レネゲート』をお買いなさい、ということらしい。


■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める

《中村 孝仁》

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