ポルシェ タイカン、開発は最終段階に…最新プロトタイプの画像を公開

開発は世界30か国で実施。延べ走行距離はおよそ600万km

極端な条件下での電動パワートレインの信頼性を入念に確認

ドイツ・ニュルブルクリンク北コースを仮想走行できる開発プログラムを導入

ポルシェ・タイカンの開発プロトタイプ車
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ポルシェは3月28日、9月に公式発表を予定しているポルシェ初の量産EVスポーツカー、『タイカン』(Porsche Taycan)の市販モデルの最新プロトタイプの画像を公開した。開発テストは最終段階に入った、としている。

タイカンは、4ドアのEVスポーツカー。そのパワートレインには、最大出力600ps以上を引き出す永久磁石シンクロナスモーター(PSM)を2基搭載する。動力性能は、0~100km/h加速が3.5秒以下、0~200km/h加速も12秒以下のパフォーマンスを備える。

また、タイカンではこのパフォーマンスに、EVでは前例のない連続的な出力レベルを付加する。ポルシェによると、これにより、性能を損なうことなく幾度ものジャンプスタートを連続して行うことを可能にするという。

1回の充電での航続は、500km以上。また、800Vの電圧を持つ最新の急速充電システムに対応しており、ポルシェによると、わずか4分間の充電で100km走行分のバッテリー容量を充電できるという。

開発は世界30か国で実施。延べ走行距離はおよそ600万km

タイカンは現在、量産に入る前の最終テストの段階にある。北極圏からわずか数kmの距離にあるスカンジナビアでは、雪と氷上でのドライビングダイナミクスの確認が行われた。

また、南半球の南アフリカでは、パフォーマンスに関するテストを実施した。中東のドバイでは、暑い気候下での耐久走行を行い、極端な条件下においてバッテリーの充電性能をテストしている。これらの開発テストは世界中で実施されており、世界30か国の気温は、マイナス35度からプラス50度の範囲となる。

極端な条件下での電動パワートレインの信頼性を入念に確認

タイカンはポルシェ初の市販EVだが、エンジン搭載のスポーツカーと同じ厳格なテストプログラムを行う。優れた性能を発揮することに加えて、あらゆる気候条件での日常使用で、常に最適な性能を保ち続けることを確認するのが狙いだ。ポルシェによると、バッテリーの充電や極端な条件下での電動パワートレインや室内の空調制御など、EVにはとくに厳しい条件が求められるという。

すでに、タイカンの開発プロトタイプは、延べ走行距離がおよそ600万kmに達する。そのうち200万kmは耐久走行試験に充てられた。テストは、アメリカ、中国、アラブ首長国連邦(UAE)、フィンランドを含む世界30か国で実施。空気の湿度は20~100%、標高は海抜85~3000mだ。世界中の10万以上の充電技術がテストされ、開発にはテストドライバー、技術者、エンジニアなど、およそ1000名が携わっている。

ドイツ・ニュルブルクリンク北コースを仮想走行できる開発プログラムを導入

また、タイカンの開発では、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースを「バーチャルドライブ」できるプログラムを取り入れた。ドイツ・ニュルブルクリンク北コースは1周20.8kmだ。狭いコースに荒れた路面、次々と現れるコーナーなど、厳しいサーキットとして知られ、多くの自動車メーカーが新車開発の舞台として、ニュルブルクリンク北コースで走行テストを行っている。

ポルシェはタイカンのプロトタイプ車両が完成するまでの間、ニュルブルクリンク北コースで仮想テスト走行を行った。ポルシェによると、これによって開発期間の短縮や効率化が可能になったという。

すでに、タイカンの仮想プロトタイプは、ニュルブルクリンク北コースを1000万km以上、バーチャルに走行した。ポルシェによると、ニュルブルクリンク北コースで実車が8分弱のタイムを達成する上で、重要な電気エネルギーマネージメントにとくに重点を置いたという。

《森脇稔》

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