春闘2019…トヨタは昨年下回る総額1万0700円に、日産はベア満額の3000円

トヨタ自動車本社(参考画像)
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  • 日産グローバル本社 (c) Getty Images

自動車業界の2019年春季団体交渉は3月13日、経営側から回答が提示され、自動車メーカー各社は6年連続で賃金改善(ベースアップ)の実施が決まった。ただ、ベア額では2018年実績を下回る回答が相次いだ。

自動車メーカーの交渉では、トヨタ自動車が今年から、産業内での格差是正の一助としてベアの要求額を非公表とした。トヨタ労組は、組合員平均でベアのほか、賃金制度維持分(定期昇給に相当)、手当てなどを合わせ1万2000円の要求とした。日産自動車など他社は、4年連続の同じ要求額である3000円のベアを求めていた。

大手3社の回答によると、トヨタは昨年実績である1万1700円を1000円下回る1万0700円となった。ベア額は昨年に続いて公表していない。今年は事業環境などに危機感をもつ経営側と、一律の配分を重視する労組との溝がなかなか埋まらず、回答日まで詰めの交渉が続く厳しい展開となっていた。

独自の交渉形態をとっている日産自動車では組合員の「平均賃金改定原資」として昨年と同額の9000円(うちベア相当分は3000円)が要求され、満額回答となった。日産のベア満額回答は、同額の3000円で決着した昨年に続いて2年連続。カルロス・ゴーン前会長の逮捕による社内の動揺を収め、社員の頑張りを促す経営側の狙いも見える。

ホンダのベア回答は1400円で、昨年の1700円を下回った。19年3月期の連結決算は純利益、営業利益とも減益見通しとなっており、業績の悪化を織り込む格好となった。ホンダの経営側は「競争力の観点から更なるベースアップは慎重に見極めなければならない。一方で、会社の体質強化の取り組みも着実に進んでおり、もう一段引き上げていくためには、人への投資が一定必要と判断した」とコメントした。

一方、3社の年間一時金は、6.7か月分の要求だったトヨタが夏季分として120万円のみを回答し、冬季分については秋の労使交渉で決めるという異例の展開となった。年間6.6か月分で妥結した昨年は夏季が133万円、冬季が110万円だったので、年間分で昨年実績を上回るのは極めて難しくなった。

日産とホンダはいずれも満額回答になった。米国事業の不振などによる業績悪化で要求を下げていた日産は5.7か月(昨年実績5.8か月)の回答。また、ホンダは6.3か月(同6.2か月)と3年連続で前年を上回る回答が提示された。

《池原照雄》

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