アイシンの注目はドライバーの感情を読み取る技術…CES 2019

i-mobility TYPE-C
  • i-mobility TYPE-C
  • i-mobility TYPE-C
  • 完全自動運転シャトルでのソリューションを提案
  • 100KWクラスのeAxle。小型EVなどに利用可能
  • 150KWクラスのeAxle。SUVのEVなどに利用可能
  • 10KWクラスのeAxle。電動四駆のリアアクスルなどに。
  • 50KWクラスのeAxle。SUVなどの電動四駆のリアアクスルなどに。

自動車部品メーカーのアイシングループは、アメリカ・ラスベガスで開催されたCES 2019にグループとして出展。体験型コンセプトカー「i-mobility TYPE-C」を初公開した。

このコンセプトカーは、自動運転レベル3、および完全自動運転、両方のシーンにおけるアイシンのソリューションをアピールするもの。同社が高いシェアを持つパワースライドドアや、空気によってシートのサポートを調整するニューマチックシート(レクサスなどに採用)、同社が以前から手掛けているドライバーモニターシステムなどの利用イメージが提示されている。

僅かな表情の動きを読み取る

同社広報部戦略企画グループの富田勝巳グループマネージャーは、ドライバーモニターシステムについて「僅かな表情の動きから感情を読み取る技術があります。乗員がリラックスしているのか、あるいはカリカリしているのかを読み取って、その感情に応じてニューマチックシートが乗員をマッサージしたり、車室内空間の色を変化させたり、という提案をしています」と説明した。

また今回のCESでは、多くの部品メーカーから自動運転シャトルのコンセプト展示がなされており、中には将来のシャトル生産を示唆するものもあったが、アイシングループのi-mobility TYPE-Cについては、「このような次世代の車両に対しては、大開口を実現するためのスライドドアや、バッテリーユニットの搭載を想定したプラットフォーム、あるいはインホイールモーターの研究もやっています。またボディ骨格・ドアフレーム・バンパーなどの鋳造技術、電動化ユニットの技術もあります。ただ、今のところは量産を想定したものではなく、個別の技術のアピールということになります」(富田氏)と述べた。

電動化を下支えする技術力

またアイシンと言えば、電動化ソリューションにおいても存在感のあるメーカーだ。CESの会場には、昨年10月のパリモーターショーで初公開したFF1モーターハイブリッドトランスミッションを持ち込み、展示した。

これは、シトロエン『DS7』に採用されたハイブリッドトランスミッションで、8ATのトルクコンバーター部分にモーターをビルトインしたものだ。

「基本的に8ATのユニットと同じ形なので、自動車メーカーとしては(エンジン仕様とハイブリッド仕様の)設計を共通化できる部分が多く、少ない開発工数でハイブリッド化ができること、また、同じ生産ラインで流せることがメリットです」(富田氏)

そのほかにも電動ユニットの展示は充実しており、現行『プリウス』のリア用「eAxle」に採用されているユニットや、ピュアEV・FCVのフロントアクスル用の大パワーユニットや、アイシン製のモーターに、デンソー製のパワーコントロールユニットを組み合わせた試作コンポーネントも揃った。

富田氏は、「アイシンとしても本気で電動化に取り組んでいかなければならないと考えており、4月にデンソーと新会社を起ち上げるのも、そういった意図の現れです」と言及した。

クルマの電動化への社会的要請は、世界的に高まっている。自動車メーカーの電動化を下支えするアイシングループの技術力と豊富な実績が見られる展示となっていた。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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