JR北海道は11月14日、千歳線新札幌駅(札幌市厚別区)構内で11月9日に発生し、国土交通省運輸安全委員会から重大インシデントに認定された線路支障事故に関する詳細を明らかにした。
この事故は12時40分頃、新札幌駅構内下り線の白石方に設置されていた第1出発信号機が突然倒れ、上り線を支障したもので、50km/hで構内に進入してきた札幌発苫小牧行き2760M列車(3両編成)が、倒れた信号機を200mほど手前で発見し10mほど手前で常用ブレーキにより停車した。
これにより千歳線は一時運行を見合わせたが、全信号機の点検を終了した後の15時31分に順次再開したという。しかし、その後もダイヤが混乱し、回送列車17本を含む128本の列車が運休し、旅客列車は最大3時間2分の遅れを出した。
倒れた信号機は国鉄時代の1980年に設置されたもので、高架橋のコンクリート基礎部分にアンカーおよびボルト8本で固定されていた。状態は設置当時から変化はなく、アンカーごとボルトが基礎から抜けていたことが確認された。気象庁の発表では、事故現場は9時頃に最大瞬間風速が15m以上になっており、事故直近では18~19m程度に達していたことが明らかにされている。
信号機の検査は、年1回、外観や信号機機能を中心に行なわれており、直近では6月11日に実施。9月6日に発生した北海道胆振東部地震の後も点検されたが、いずれも異常はなかったという。
復旧作業は11月10日未明に終了し、同日から国土交通省運輸安全委員会による原因調査、11月12日には鉄道総合技術研究所による原因調査が行なわれた。また、JR北海道では同種の工法で設置された高架線および橋りょう上の信号機149ヶ所を点検。新札幌駅と千歳駅の高架線ではアンカーやボルトによる補強を行なった。