【SUPER GT 最終戦】RAYBRIG NSXの山本尚貴&ジェンソン・バトン、GT500ドライバーズタイトルを獲得…ホンダ勢8年ぶり

GT500のチャンピオンに輝いた山本尚貴とジェンソン・バトン。
  • GT500のチャンピオンに輝いた山本尚貴とジェンソン・バトン。
  • 決勝3位、チャンピオンを獲得した#100 NSX。
  • #100 NSXの“チャンピオンゴール”。
  • #100 NSXは予選2位から決勝3位に。
  • #8 NSXがポール・トゥ・ウイン。
  • 左から決勝2位の石浦&立川、優勝の野尻&伊沢。
  • GT500クラスの決勝スタート。
  • #8 NSXはポール発進から優勝する。

SUPER GT最終戦もてぎは11日、決勝日を迎え、GT500クラスはチーム国光のRAYBRIG NSX-GT 山本尚貴&ジェンソン・バトンがドライバーズチャンピオンに輝いた。ホンダ勢の戴冠は8年ぶり。最終戦の優勝はARTA NSX-GTで、野尻智紀&伊沢拓也がポール・トゥ・ウインを達成している。

寒くもなく暑くもなく、最高の秋晴れに恵まれた最終戦決勝日、ツインリンクもてぎ(栃木県)には3万7000人の観衆が詰めかけた。GT500とGT300、両クラスの年間タイトル決定戦となる250kmレース(53周)は午後1時30分過ぎに開戦、GT500は4陣営にドライバーズチャンピオン獲得の可能性が残されての最終決戦である。

そのGT500クラス(出走15台)はレース終盤、ホンダ対レクサスの緊迫した攻防が上位2か所で展開されることとなり、もてぎの観客席は大いに沸いた。ひとつはこのレース(最終戦)の優勝争い、そしてもうひとつはチャンピオン争いの直接攻防である。

優勝争いの方は、ポール発進からの逃げ込みを図る#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀&伊沢拓也/タイヤはブリヂストン=BS)の野尻を、#38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路&石浦宏明/BS)の石浦が追いかける構図。そしてその7秒ほど後方、このレースの3位争いが、ドライバーズポイント同点首位同士のマッチアップだった。逃げる#100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴&J. バトン/BS)のバトンと、追う#1 KeePer TOM'S LC500(平川亮&N. キャシディ/BS)の平川、前でゴールした方がチャンピオンという状況の戦いである。

ホンダNSXにレクサスLC500が僅差まで迫っていった2つの極上バトル(タイヤは4車ともBS)はレースのほぼ最後まで続き、いずれもホンダ勢が執念で逃げ切るかたちで決着した。#8 NSXがポール・トゥ・ウインで今季2勝目、#38 LC500が2位。そして3位を守りきった#100 NSXが2018年のGT500ドライバーズチャンピオンに輝いた(#100はチーム部門タイトルも獲得)。

スーパーレジェンドドライバー高橋国光さんが率いる「チーム国光」の#100 NSX、主戦の山本尚貴は自身初のGT500王座獲得で、今季は全日本トップフォーミュラ(現在はスーパーフォーミュラ)との同一年2冠を達成した。これは2004年のリチャード・ライアン以来14年ぶりの偉業になる。日本人選手としては2003年の本山哲以来。また、2009年F1王者であるジェンソン・バトンはSUPER GTフル参戦初年度での王座獲得、9年越しの変則2冠達成となった。ホンダ勢のGT500ドライバーズタイトル獲得は2010年以来、8年ぶり。

#100 山本尚貴のコメント
「最後にJB(バトン)が踏ん張ってくれたことに感謝しています。あの本山選手以来(の日本人選手による同一年2冠)ということで、夢のような話ですし、言葉では言い表せないくらい、素晴らしい成績を残せたんだな、と感じています。(SFとSUPER GTの最終戦が続いた)この3週間くらいは、自分の体が自分の体じゃないような感じもありました。苦しかったですけど、僕以上に緊張しているチームスタッフもいたでしょうし、彼らのためにも頑張りたいと思って、ここに乗り込んできました。そしていい結果を残せて、これ以上ない幸せを感じています」

#100 ジェンソン・バトンのコメント
「レース前半のナオキのスティント、彼の走りは(今回も)素晴らしかった。自分のスティントはとてもタフだったね。今回はとにかくチャンピオン争いを意識するレースだったので、(直接のライバル #1を抑えきって)チェッカーフラッグを見たときは本当にホッとしたよ。最高なチャンピオンシップだったと思うし、素晴らしいチームに恵まれたことを感謝している。とても嬉しいよ」

それぞれに意味の異なる“2冠”を達成した、山本とバトン。山本は“ホンダのエース”であり、バトンもF1時代にはホンダで優勝した経験をもつなど、ホンダとは特に縁の深いドライバー同士のコンビだ。来季のホンダの4輪レース活動体制は未発表であり、ふたりの来季についても未定ではあるが、新最強コンビ、カーナンバー1を背負っての連覇挑戦に期待したい。また、山本に関しては今季の抜群の成績により、直近3年の諸シリーズの成績によって決まるスーパーライセンス(F1参戦にはこれが必要)の発給条件を満たしたとみられることも付記しておきたい。

最終戦を制した#8 NSXは、#100と#1が7位以下ならばチャンピオンという可能性もあったが、それは叶わなかった。野尻と伊沢は、僅差とはいえほぼ完勝に近いといってもいい内容で勝った喜びと、今季GT500で唯一となる複数勝利をあげながら逸冠した悔しさが相半ばする心情をレース後に語っている。「来年は自分たちがタイトルを獲れるよう、また頑張りたいと思います」(伊沢)。

最終戦4位、惜しくも王座には届かず、連覇を逃した#1 LC500。予選ではポイント同点首位の#100 NSXが2位だったのに対し6位と出遅れた格好だったが、決勝で#100の真後ろまで迫った走りは流石だった。平川は「(逆転のために)タイヤ無交換の可能性も考えていました」と語り、「悔しいという言葉では言い表せないくらい悔しいです」。言い表せない、という比喩が新王者山本と(は違う用途で)重なったが、このタイトルのもつ大きさと、そこにかける選手たちの気持ちの大きさを感じるところである。来季奪冠に向けての前王者の捲土重来も楽しみだ。

最終戦のGT500クラス決勝5位は#19 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資&山下健太/ヨコハマ=YH)、6位には#6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也&F.ローゼンクヴィスト/BS)が続いた。日産勢最上位は7位の#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R.クインタレッリ/ミシュラン=MI)。なお、関口雄飛にドライバーズタイトル獲得の可能性が残っていた#36 au TOM'S LC500(中嶋一貴&関口/BS)は最終戦を予選15位、決勝13位で終えている。

2019年もSUPER GTシリーズは国内7戦とタイ1戦の計8戦で争われる。人車ともレベルの高い戦いのなか、各レースもチャンピオンシップも、また接戦となる可能性が高いだろう。来季のSUPER GTは4月13~14日に岡山国際サーキットで開幕する。

《遠藤俊幸》

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