【月刊MaaSベンチャー】まだ世の中にないキャンピングカーレンタル総合サービスを目指す…ファインシード頼定誠社長[インタビュー]

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株式会社ファインシード/キャンピングカー株式会社 代表取締役社長の頼定 誠(よりさだ まこと)氏
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自動車ビジネスのサービス志向は、レンタカービジネスの車種特化という局地戦でも急成長企業を生み出している。ファインシードは元来の自動車関連企業ではない。頼定社長は数学科出身。IBMや博報堂、ゲームのモブキャストなど経歴と同様に、ビジネスの進め方もユニークだ。そこで頼定社長にキャンピングカーレンタルビジネスの狙いと今後の展望について聞いた。


モビリティビジネスをスマートサービス化し、業界を変えようとするMaaSベンチャーの4人の経営者がその目論見を語ります。詳しくはこちら。

---:ファインシードはいろいろなビジネスを手がけています。

頼定 ファインシードは元々カメラの加工アプリやミニゲームなどのIT会社でした。2014年に買収というかたちで私が参加して以来「世の中にないビジネスを創造しよう」というスローガンを掲げて、さまさまざまな事業を始めました。例えば、農園事業や遺伝子検査事業、ペット事業、防災事業といった具合に10ほどの新規事業を立ち上げました。そのうちの一つがキャンピングカーのレンタル事業です。

---:しかし、手がけている事業はバラバラな感じがしますね。何か狙いがあるのですか。

頼定 確かに周りからもバラバラですねと言われていますが、われわれの中ではつながっているのです。それはターゲットが似ていて、ほとんどの事業が少し生活に余裕のある層をターゲットにしていることなんです。

---:キャンピングカーのレンタルを始めた経緯を教えてください。

頼定 一番大きかったのは私が犬を飼い始めたことです。当時、犬と一緒に泊まれる宿を予約しようと思って電話をしてもいつも満室でした。それで、犬がいる家庭でもキャンピングカーがあれば気軽に行くことができると思ったのです。おそらく困っている人が他にもいて、ニーズがあるのではないかと考え、キャンピングカーのレンタルを始めました。

---:しかしキャンピングカーのレンタルは大手のレンタカー会社も手がけています。

頼定 大手のレンタカー会社はいろいろな車をレンタルしていて、キャンピングカーはその一部としてやっていますが、ファインシードはキャンピングカー専門です。車種も日本の土地柄に合わせたキャンピングカーを揃えています。具体的には、コインパーキングに駐車できるサイズで、女性にも運転しやすい車両です。それに旅行を楽しむレンタル装備品を充実させています。

---:どんな装備品があるのですか。

頼定 例えば、星を見に行く人ためのレンタル望遠鏡、一眼レフ、360度カメラ、扇風機、Wi-Fi機器、全自動麻雀卓という具合です。もちろん、テントや寝袋、テーブル、椅子などもあります。たとえば椅子はアウトドアの高級ブランドSnowPeak製1脚3万円のものを4脚とテーブルもセットで1日2500円など借りやすい値段設定にしてアウトドアをより楽しんでもらえるよう工夫しています。一方、バーベキューセットについては、レンタルはしていません。使用した後に洗うコストまで考えると、スーパーやホームセンターで手頃な値段で購入していただいたほうが良いと考えました。

---:今回、オリジナルのキャンピングカーを作られたそうですね。

頼定 『ロビンソン771』という自信作です。トヨタ自動車の『ハイエース』をベースにファインシードが考えるレンタル専用車をつくりました。元来キャンピングカーはオーナー用に作られており、それをレンタルに流用するのが通常です。しかし、オーナー用とレンタル用では仕様が違うのではないかと考えたのです。2年半のお客さまの意見を基にしてビルダーにつくってもらった結果、収納スペースを減らして居住空間を通常のキャンピングカーよりも広くなりました。ホテルは自宅よりも収納スペースが少なくてもいいという考え方に近いと思います。これからもお客さまの要望を聞いてさまざまな改良を行っていくつもりです。

---:宿泊費が浮くことを考えるとレンタル費用はリーズナブルですね。

頼定 レンタル料は1日2万5000円で、2日目以降は少し安くしてあります。軽自動車ベースのキャンピングカーもありますが、こちらは1日目が1万5000円で、2日以降が5000円になっています。こちらは長期で借りていただける料金設定にしています。


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---:大体どれくらいの期間を借りる人が多いのですか。

頼定 夏休みなどは長く借りる人もいますが、平均すると2泊3日が多いです。客単価にすると、7万~8万円と言ったところです。客層としては小さな子どもがいる30代、40代が中心になります。そのほか、会社の同僚で利用するとか、学生のゼミ旅行などで利用するケースもあります。稼働率については、この7~8月の土日とお盆は95%と非常に高いですが、年間の平均は27~28%になります。冬に借りる人も増えてきています。エンジンを切ってもガソリンを燃焼させるヒーターが装備されているので、夜の車内は暖かいですよ。

---:拠点については、現在どれくらいあるのですか。

頼定 現在、北海道から沖縄まで14拠点ありますが、毎月のように増えています。最終的には60~70拠点にしたいと考えています。拠点の形態は直営とフランチャイズがあり、直営が現在8店となっています。運用しているキャンピングカーは全体で50台ほどで、これを2020年までに500台に増やそうと計画しています。そのうち200台をオリジナルカーのロビンソンにしようと考えています。

---:稼働率を上げるためのキャンピングカーレンタル需要の掘り起こしはどのように考えていますか。

頼定 キャンピングカーをレンタルする方の特徴として、行き先や楽しみ方など無計画の人が意外に多いのです。そこで、その人たちのためにさまざまなサービスを考えています。例えば、オートキャンプ場とのタイアップ、あるいは自前でオートキャンプ場をつくろうとか。そのオートキャンプ場は横にドッグランや畑もつくるなどいくつかの施設を併設したいと考えています。それからキャンピングカー用の「お出かけアプリ」をつくって、レンタルしてくれた人に楽しみ方を提案していきます。

---:その「お出かけアプリ」とはどういうものなんですか。

頼定 例えば、キャンピングカーを止めることができる駐車場、宿泊できる駐車場などはじめての方でもわかりやすい情報を提供していきます。キャンプ場やおすすめスポットの紹介。いろいろな店舗とタイアップし、キャンピングカーを借りて、お出かけアプリを利用すると割引になるといった特典もつけるようにしていきたいです。お出かけアプリには総合的にキャンピングカーレンタルを楽しんでもらうさまざまなサービスを盛り込もうと考えています。

---:今後の展開について教えてください。

頼定 われわれの合い言葉が「ただのレンタカー屋では終わらない」となっています。キャンピングカーのレンタルを核に最終的には「アウトドア総合カンパニー」を目指そうと考えています。そのために、自治体をはじめ、旅行代理店、農家、アウトドアグッズメーカーなどさまざまなところと連携してアウトドアの総合サービスを展開していきたいです。近々、キャンピングカー事業だけを別会社にスピンアウトさせて「キャンピングカー株式会社」という名前で事業を拡大していく計画です。


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《山田清志》

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