【トヨタ クラウン 新型試乗】クルマは若返ったが果たしてユーザーは…諸星陽一

試乗記 国産車
トヨタ クラウン 新型(2.0 RS)
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15代目となる新型『クラウン』。あまりに長い歴史はユーザーの年齢層を押し上げ、今やその平均年齢は70歳を超えるという。今回のフルモデルチェンジは、ユーザー層の若返りという大きな役割もになっている。

新型クラウンは先代同様に全幅1800mmのボディが与えられた、全長、全高には若干の変更があるが基本的には同サイズを踏襲したとしたみていい。1800mmという全長は日本の道路事情、駐車場事情に合わせた数値でクラウンはこれを破らないのが暗黙の了解となっている。

もっともパワフルなパワーユニットはV6・3.5リットルのハイブリッドで、299馬力のエンジンに180馬力のモーターが組み合わされる。この組み合わせはゆったりとした印象。クルマがゆったりと走りながらも、ここぞというときにアクセルを踏み込むとグイッとクルマが前に進み力強い加速を披露する。

中間スペックとなるのは2.5リットル直4のハイブリッド。エンジンが184馬力、モーターが143馬力のスペックで、クラウンとのマッチングがもっともいい印象。3.5リットルハイブリッドが力強い加速だとすれば、2.5リットルハイブリッドは鋭い加速、絶対的な速さでいえば3.5リットルなのだろうが、エンジンとして軽快さを持っているのは2.5リットルだ。

2リットルターボは245馬力と1リットルあたり100馬力を超える高性能エンジンだが、どちらかというとエンジンを回して走るタイプ。確かにスポーティなのだが、もうちょっとトルクに厚みが感じられると、フィーリングがよくなるだろう。

シャシー性能は高く、引き締まった走りが可能。ステアリングを切っていくとスッとフロントが向きを変え、ググッと横Gがかかりながらコーナーを抜けて行く。非常に安定していて安心できるコーナリングなのはもちろん、クルマの動きが手に取るようにわかる。とくに2リットルモデルに採用されている可変ダンパーのAVSはスポーツS+で走った際にキッチリしたハンドリングをさらに上のものにしてくれる。欲を言えば、もっと硬くなれば、エンジンを高回転で回しながらの走りが楽しくなる。2リットルターボにはさらに硬い足まわりと高回転を維持できるプログラミングが必要だろう。

コネクティッドはDCMと呼ばれる通信機を搭載し、つねにクルマがネットに繋がっているという状態。トヨタはすでにオペレーターサービスによってナビの目的設定やホテル予約などを可能にしているが、その機能を拡大。事故が起きやすい交差点の通知や浸透の待ち時間案内なども行われる(対応交差点の場合)。車両情報も発信され、警告灯点灯時の対処方法や整備時期のお知らせなども行われる。もちろん、万が一の事故時に自動的に緊急通信を行うヘルプネットも装備。

2018年6月26日に発表された15代目クラウンは発表後1か月にあたる2018年7月25日現在で月販目標4500台の7倍近くとなる3万台を受注している。立ち上がりのよさは歓迎すべき事柄だが、クラウンは新型が出るたびに先代からの乗り換えが多い車種。この乗り換えが受注台数の大半ならば若返りはできていないことになる。ちなみに前回2012年フルモデルチェンジ1か月後の様子は、月販目標4500台に対し、受注約2万5000台と似たような状況であった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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