【スズキ ジムニーシエラ 新型試乗】今度のシエラ、売れるんじゃない?…中村孝仁

試乗記 国産車
スズキ ジムニーシエラ 新型
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軽自動車の『ジムニー』に対し、小型車枠のモデルが『ジムニーシエラ』と呼ばれることはご存知の通り。これまでは年間およそ4万台の総販売に対し、ジムニー1万5000台、シエラ2万5000台というのが、アバウトな販売比率であったそうである。

といってもこれ、グローバルでの話で、国内に目を向けると1万5000台というジムニーのほぼ全量が国内で、2万5000台というシエラの販売の限りなく全量に近い数値が海外での販売。つまり、ジムニーシエラの国内販売は、ほとんどなかったのである。だからそれは販売目標にも表れていて、今回のモデルでもジムニーが年間1万5000台を目標にしているのに対し、シエラはたったの1200台。それが発売開始わずか2週間で、シエラの受注は3600台に達したというから、今回はシエラも相当に国内販売が期待できそうな雰囲気なのである。

シエラの人気が何故今高いのか?察するに見た目ではないかと思うわけである。大胆な樹脂色をそのまま残したワイドフェンダーが、ジムニーに比べて如何にも高そうな安定感を醸し出している。車幅は軽の制限を受けるジムニーの1475mmに対して、シエラは1645mmだから、実に170mmも幅広い。全長も大型バンパーを採用しているから、ジムニーよりも155mm長い。もっともこれ、先代と比べるとこれでも全長は50mm短くなっているのだが、前述した全幅に関しては先代比+45mmだから、如何にワイドに見えるかはお解りだろう。ただし、室内に関しては、残念ながら小型枠といえどもボディ自体が基本的に共有だから、サイズは同じ。やはり小型車としては狭いわけである。

最大の違いはエンジン。K15Bと呼ばれるエンジンは、日本国内では今のところシエラにしか搭載がない新しいエンジンで、排気量も先代の1.3リットルから1.5リットルに拡大し、パワーも88psから102psにアップしている。車重も若干増えてはいるが、ほとんど性能には影響しないレベルだから、確実にパフォーマンスはアップしているはずだ。

シエラがジムニーに対して明らかに勝っている点は、オンロードをドライブしている時の車両の落ち着き感。流石に170mmも幅が広いと、安定感は顕著に違う(因みにトレッドでは前後ともに130mm)。残念ながら、今回の試乗でシエラをドライブしたのはオンロードのみ。それも4ATでの試乗であった。オフロードに関していえば、バンパーが大型化されたことによって、若干アプローチアングルとデパーチャーアングルがジムニーよりも劣る数値となっている。それに40kg~50kgほど重いから、それなりに差は出ると思われる。

ただ、オンロードに関しては、間違いなくシエラが上だ。そしてもう一つ顕著に違いを感じたのが乗り心地である。ジムニーは伝統的に16インチホイール/タイヤを装着するのに対し、シエラの方は15インチを装着している。どちらも扁平率は80であるから、タイヤの肉厚分シエラが有利。幅に関してはジムニーの175に対し、シエラは195を装着するわけだから、グリップ力に関してもシエラが有利。まあ単純にタイヤの肉厚分乗り心地が良いわけでなく、新たに採用した縦方向に柔らかいマウントゴムの採用もジムニー同様、大きな効果を上げていることは間違いない。

1.5リットルの新エンジンは、常用スピード域においてはスムーズで快適である。しかし、少しパンチが欲しい時に、その常用域から踏み込んで加速をさせたい場合、気持ちトルク不足を感じた。まあ、欲を言えばきりがないレベルの不満である。というわけでオンロード主体に走ろうという人は、少しランニングコストが必要でも、シエラがお勧め。樹脂色そのままのオーバーフェンダーは、予想以上に迫力と存在感を増すから、同じ形をしていても、シエラの方が偉そうに見える点もお薦めだ。
スズキ ジムニーシエラ 新型(左)とジムニー新型(右)
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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