より微細なひび割れも測定可能…JR東海がトンネル内部の壁をチェックする装置を改良へ 2020年4月

鉄道 テクノロジー
現行のトンネラスによる作業の流れ。撮影画像と目視の結果を照合して、ひび割れが生じた箇所の図面を作成する。
  • 現行のトンネラスによる作業の流れ。撮影画像と目視の結果を照合して、ひび割れが生じた箇所の図面を作成する。
  • 新しいトンネラスでは、カメラの解像度を上げることで微細なひび割れを検知できるようになり、ひび割れ箇所の程度の自動計測も可能に。また、建築限界の測定も撮影と同時にできるようになる。

JR東海は6月13日、在来線で使用している「トンネル覆工変状検知装置」の機能を向上させると発表した。

「トンネル覆工変状検知装置」とは、「覆工(ふっこう)」と呼ばれるトンネル内側の壁の状態を定期的にチェックする装置で、通称「トンネラス」と呼ばれる。

覆工のチェックはこれまで目視や打音によって行なってきたが、JR東海ではトンネラスを併用することで必要な修繕を行ない、トンネル内部の健全性を維持してきた。

現在のトンネラスは、線路と道路の両方を走行できる保守用車両を使って覆工の状態を撮影し、そこから生成された画像を目視検査の結果と照合し、ひび割れの幅や長さを測定している。

そして、測定結果から作成した図面を、過去に作成された図面と比較することで状態の変化を把握している。

トンネラスは2020年4月に取替が行なわれる予定で、同時に機能向上が図られることになった。設備投資額はおよそ4億3000万円。

新しいトンネラスでは、カメラの解像度を上げることで、ひび割れの幅を現在の1mm程度から0.3mm程度まで検出できるようになるほか、画像により特定されたひび割れの幅や長さを自動計測できる機能が追加される。

また、トンネル内部の表面の凹凸をより高精度に測定できるレーザーを搭載することで、目視や画像では確認が難しかった形状変化がより把握しやすくなるとともに、これまで専用の装置を使って行なってきた建築限界測定(列車とトンネル内側の壁との距離の測定)を、覆工の撮影と同時に行なえるようになる。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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