車載”危機”でパイオニア株が急落---時代遅れのカーナビなど[新聞ウォッチ]

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2018年5月16日付

●東芝4年ぶり最終黒字(読売・8面)

●ウーバー、成長一辺倒脱却なるか「鉄の街」で学ぶ企業変革(朝日・7面)

●石油元売り、原油高大手3社増収増益(産経・10面)

●「都電バラ号」運行、31日まで(産経・22面)

●ディーゼル車通行規制の波、ベンツの街変革迫られ(東京・6面)

●自動運転に任意保険、損保各社、対人事故を補償、商用化へ環境整備(日経・1面)

●自動運転トヨタ提携、データ分析のアルベルトと(日経・12面)

●エールフランス低空飛行、仏政府「消滅の危機」スト影響、人件費も重く(日経・12面)

●銘柄診断、パイオニア一時10%安、車載機器、先行き懸念(日経・18面)

●機械式駐車場事故防げ、国交省、管理者向け点検リスト(日経・34面)

ひとくちコメント

国内自動車メーカーの2018年3月期連結決算は、トヨタ自動車やスズキが売上高と最終利益が過去最高を更新するなど、各社とも総じて好決算だった。だが、自動車向けに供給する車載機器メーカーの経営状態は悪く、苦戦を強いられているようだ。

このうち、カーナビなどを手掛けているパイオニアの株が東京株式市場で急落したという。きょうの日経がマーケット総合面で取り上げているが、一時、前日比18円(10%)安の160円と、2013年10月以来の安値を付けたそうだ。

パイオニア株急落の要因は、2019年3月期の連結業績予想が、売上高3800億円(前期比4.0%増)に対し、営業損益が50億円の赤字(前期11億9400万円の黒字)に転落する見通しで、経営の先行きを不安視する売りが膨らみ嫌気されたとみられる。

新興国市場での売り上げ増でカーエレクトロニクス事業の伸長を見込むなど、売上高は増加する見通しだが、自動車向けのカーナビなどの償却費が増加することに加えて、自動運転などに関する開発費が増加することから赤字に転落すると予想。記事では、カーナビなどは通常、5年程度前から開発をしているが「機能が時代遅れになり、追加の開発費がかかっている」との小谷進社長のコメントを紹介している。

パイオニアの記事とは別にきょうの日経の投資情報面には、後付けのカーナビ向けに地図やシステムを提供する昭文社の黒田茂夫社長の「決算トーク」が取り上げられている。

それによると、「軽自動車に純正ナビが付く時代になった」と指摘しながら、スマホの地図アプリの普及も逆風で「新規事業の育成に力を入れる」と決意を新たにしたという。

パイオニアも昭文社も経営トップの話からは「スピード感」がキーワードとなっているようだ。日進月歩、カーナビなどの車載機器が進化して情報満載になるのは結構なことだが、音声データの入力やタッチパネル式などに慣れるまでに時間がかかる“時代遅れ”の自動車ユーザーも、相変わらずハンドルを握っていることも忘れないでほしいものだ。

《福田俊之》

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