日産 西川社長「去年の状態に戻すことはできた」…完成検査不正問題の影響で

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日産自動車の西川廣人社長は5月14日に横浜市にある本社で開いた決算説明会で、2017年に発覚した完成検査不正問題の影響について「少し時間はかかってしまったが、去年の状態に戻すことはできた」との認識を示した。

西川社長は「販売台数でみると2016年度に対して2017年度は結果的に増加になっている。ただし2017年度の前半、新型『リーフ』を出すまでの間、非常に好調だった。その段階ではかなり販売を伸ばせるとみていた。それが残念ながら(不正問題発覚で)10月、11月に出荷停止という状態になり、少し販売がスローダウンしてしまった」と、2017年度の国内販売を振り返った。

続けて「2018年度の目標台数は2017年度に当初想定していた計画をオーバーして買って頂けるのではないかという台数になっているので、そういう意味では少し時間はかかったが戻ってきているといえる」と分析した。

日産の2017年度の国内販売台数は前年度比4.8%増の58万4000台だった。一方、この日に公表された2018年度の国内販売計画は同5.3%増の61万5000台を見込んでいる。

さらに西川社長は「工場も完成検査の部分をきちんとした上で、ようやく正常化をしてきている。ただしその部分である程度お金をかけて工場のオペレーションを万全なものにしているので、それに伴うコスト増はある。これは必要経費なので2018年度の中にも入っているというのが今の状態。総括すると少し時間はかかってしまったが、去年の状態に戻すことはできた。これから先さらにお客様に評価を頂いてもっと伸ばしていくという段階につけたかなと思っている」とも述べていた。

また西川社長はロボットタクシーやカーシェアリングといった新たなモビリティサービスについて「2018年度の後半には少し具体的な、第一段階のメドみたいなものをご案内できればいいかなと思っている」との考えも披露した。

西川社長は「新しいモビリティサービスに対してクルマを供給する側としての利益をどれくらい取るのかということ、モビリティサービスのところでどれだけリターンを取っていくのか、ここは性格の違う仕事なので、今までのクルマを売って粗利を取るということにこだわらずに、そこは将来的に大きくなるかもしれないモビリティサービスの利益というのを良く見ながら仕事をしていきたい」と指摘。

その上で「モビリティサービスで我々は、さほどノウハウを持っているわけではない。ただしハードウェアとしてみた場合に電動化と自動運転は、そのプログラムをさらに進化せていく上で非常に親和性の高い。従ってモビリティサービスの方であまりノウハウがない分、クルマが進化していく部分でやや我々の強みが増えていくということがあるので、そういう部分を生かしながら、ノウハウを持ったパートナーと一緒に仕事を開拓しているのが今の状態。今年度後半にはもう少し具体的な、第一段階のメドみたいなものをご案内できればいいかなと思っている」と述べた。

日産は「Easy Ride」と名付けた無人運転車を活用した交通サービスでディー・エヌ・エー(DeNA)と共同で実証実験を3月から開始したほか、ルノーおよび三菱自動車のアライアンスメンバーとともに中国で電気自動車を使ったライドシェアサービスで滴滴出行(ディディチューシン)と将来的な協業について覚書を交わしている。

《小松哲也》

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