120周年でモデルチェンジ、パリモーターショー2018開催概要発表

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パリモーターショー2018
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  • パリモーターショー120周年記念イベント
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今年で120周年を迎える世界最古のモーターショー、パリモーターショー2018の概要が発表された。今年は名称も“ル・モンディアル・ド・ロートモービル”から、“ル・モンディアル”へと変えるとともに、大きく構成等を変更しての開催となる。

◇リニューアルして0年目としてスタート

パリモーターショーは1898年に初開催されたので今年で120周年だ。最初の3年間はシャンゼリゼ大通りに隣接したチュルリー公園で開催。その後、同じくシャンゼリゼに近く、特に文化イベントなどが開催されるグラン・パレに移り、1962年以降は現在のポルト・ド・ヴェルサイユ見本市会場での開催となっている。

「120年という歴史のあるモーターショーだが、今年はリニューアルし“0年目”と考えている」とは、パリモーターショー代表のジャン=クロード・ジロ氏の弁。

まず一般公開日の短縮だ。これまでは3回週末を含む期間での開催だったが、他の見本市と足並みをそろえるため2回の週末とし、一般公開期間は10月4日から14日までの11日間。一方、10時から20時までの一般開催時間とともに、22時までの夜間開催日を6日間設ける。プレスディは10月2日と3日で、モーターサイクルは3日がプレスディとなる。

また「来場者の若返りも図るとともに、女性にももっと参加してほしい」ということから、10月4日はレディースナイトを開催。「自動車産業の中で重要ポストについている女性のトークショーなどが予定されている」。また、「新しいエネルギーや自動運転なども進歩しているので、そういった動きにも女性に積極的に関わってほしいことからこのイベントを設けている」とジロ氏はいう。

◇モーターサイクルショーも同時開催

奇数年に開催しているモーターサイクルショーを今年から同時開催する。ジロ氏は、「入場券も(自動車と)共通なので同じ価格で両方見られる。モーターショーには100万を超える来場者があるが、バイクやスクーターに関心がある方たちは必ずしも見本市に足を運ぶ方ばかりではない。見本市は別世界のように思ってなかなか出かけない方が多いので、そういった方も気軽に来られるようにしたい」と述べる。

◇新たな2つのイベントを開催し、ビジネス面での成果も期待

自動車とモーターサイクルの見本市と同時に2つの大きなイベントを開催する。ひとつは“モンディアル・ドゥ・ラ・モビリテ”。モビリティをテーマとするB to Cのイベントで、一般公開もするので10月4日から14日までの期間での開催で、公共交通や電気自転車など、広い意味でのモビリティをテーマとしている。「例えばカーシェアリングを通じて自動車も一種の公共交通の手段と化しているのでそういった企業や、駐車場を探すなどモビリティに関する様々なスマホ用のアプリなども紹介していきたい」と話し、こういった事業者等のブースも出展予定だ。

もうひとつは“モンディアル・テック”で、こちらは業界向けB to Bのイベントで、「多くのスタートアップ企業も参加する」という。

モンディアル・テックは10月2日から6日まで開催。ジロ氏は、「自動車メーカー、部品メーカーなどがその技術を紹介できる場でもあり、また、スタートアップ企業と本格的なビジネスの話が出来る環境も整える」という。これは、「世界のイベントでスタートアップ企業が参加するものを見てきたが、なかなか本格的なビジネスベースの話し合いをするのが難しい環境だと感じた」と述べる。例えば、「隣に競合他社がいるなどで機密性の保持もしづらいケースが多い。そこで、プロフェッショナル同士がビジネスの話を出来る環境を整えた。例えば日本の会社が1時間自分たちのためだけにスタートアップと出会える時間が欲しいということであれば、その時間を確保する。そして実際にビジネスや契約に結びつけられる環境を整備する」と語った。

◇VIP客も誘致

もうひとつ、新たな試みとして“リミテッド”と称する、スーパーカーとラグジュアリーゾーンを展開する。「パリモーターショーは100万人以上の来場者を数えるが、どちらかというと一般向けのイベントで、なかなか超高級車のユーザーは足を運ばなかった。今回はそこも変えていきたい」とジロ氏。このゾーンでは一般来場者も展示車を見ることが出来るが、「ホールの内側にプライベートスペースを設けた。そこには自動車だけでなくモードやジュエリー、美食といった世界を展開しVIPのお客様を迎える特別なスペースとする」という。

このラウンジはVIPの顧客を招待したいという企業向けにも貸し出す。ジロ氏は、「既に300人くらいのVIP顧客を招待したいという大きな金融グループからの申し込みもある。パリ市内のレストランや会議場に顧客を招待するよりも、超高級の自動車に囲まれた環境で顧客をもてなしたいという意向だ」とした。

◇120周年を記念し350台が大パレード

さて、パリモーターショー120周年を記念し大パレードがパリ市内において、9月30日に開催される。「1898年から最新モデルまで、イノベーティブなクルマやバイクが350台参加する」という。開催場所は、「コンコルド広場からスタートしたい」とコメント。

また、「スタート地点には舞台を設けプロのジャーナリストを配置し1898年から現在に至るまでの様々なクルマやバイクの技術的な解説をしてもらう予定。ルノーやスクータープジョーも120周年なので、このパレードに大々的に参加する」とジロ氏。そして、「パリ市内で開催するのでパリ市民はもちろん観光客も楽しんでもらえるイベントだろう」と述べた。

この会場ではエコカーのテストドライブも行われる予定だ。「ポルト・ド・ヴェルサイユへ行ってチケットを買わなくても、エコカーの試乗が出来るようなイベントも用意する。ここでは世界の各メーカーが提案する電気、水素、ガス、ハイブリッドなどのクルマをパリ市内で試乗出来ると同時に、技術的な解説も聞けるようにしたい」と話す。

最後にジロ氏は、「新しく生まれ変わった“ル・モンディアル”は、展示会場から外に飛び出して新しいイベントなども盛り沢山に開催する予定だ。自動車に限らず従来の見本市はイノベーションが必要な状況にある。もっと参加者が様々な体験できるような内容や、扱うテーマもバラエティに富んだものにしていかなければならない。単にクルマを見せるというだけでは成り立たないと考えている」と現状を述べ、大きく構成を変えたパリモーターショーへの期待を語った。
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《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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