4月とは思えない日差しで、気温こそ25°前後の記録だが、熱中症が懸念されるほどの体感温度になった29日のJNCC第3戦。
数あるラウンドのなかでも、今では珍しい牧場をベースとしたオフロードコースで、ワイルドなモトクロスコースから、小川にウッズとセクションに富むもの。最大限にその良さを活かした今回のコースどりは、過酷と表現すべきものだったかもしれない。特に、渋滞を避けるために、あまり難しいセクションを作らない傾向にあるXCだが、今大会では日本のエンデューロ界を代表するランカー、鈴木健二ですら失敗してしまうヒルクライムがあった。
レースの口火を切ったのは、開幕からこれで3連続のホールショットとなる石戸谷蓮。「BetaのRR2Tは、始動性がよくて百発百中出ることができる」とコメント。これに、中島敬則や小池田猛、渡辺学らがついていくオープニングラップ。鈴木は1コーナーで引っかかってしまい、AAクラス最後尾からの追い上げを強いられた。
石戸谷の蓋が外れると、中島と小池田がグイグイと後続を引き離す展開に。小池田は様子を見ながら2周目にはトップに立つと、前戦より乗り換えたKTM 350EXC-Fとアメリカ仕込みのスピードで圧倒。この時点で離されてしまうと、ライバル達にはもう対抗手段が無くなってしまうほどだ。にも関わらず、非情なまでに1周につき2分前後速いラップを刻んでいく小池田。
2位争いは、中島と追いついてきた渡辺に絞られた。3周目には渡辺が中島をパスするが、数周にわたって中島が食らいつき、渡辺のペースで4位以下を引き離すことに。4位争いは、石戸谷と小林雅裕。しつこく食い下がった小林を振り切れず、石戸谷はラスト2周で小林を前に出してしまい、そのままチェッカー。
1位小池田、2位渡辺はいつも通りの結果だが、中島は初の3位獲得。「難しいセクションが多い日野でいつも練習しています」とのことで、難易度の高かった広島をしっかり攻略できたようだ。次戦の鈴蘭から、JNCCスキー場コースへ移る。ダイナミックな自然と向き合う中盤戦からも目が離せない。
【JNCC 第3戦】広島で繰り広げられた、過酷なクロスカントリー[詳細画像]