お値段1億5000万円の超高級ボート『イグザルト43』に試乗! 「洋上の迎賓館」の乗り心地

船舶 テクノロジー
ヤマハ・イグザルト43
  • ヤマハ・イグザルト43
  • ヤマハ・イグザルト43
  • ヤマハ発動機 執行役員 マリン事業部本部長・臼井博文氏
  • ヤマハ発動機 執行役員 マリン事業部本部長・臼井博文氏
  • ヤマハ発動機 執行役員 マリン事業部本部長・臼井博文氏
  • ヤマハ発動機 マリン事業本部 商品企画部・大川典之氏
  • ヤマハ発動機 デザイン本部 フロンティアデザイン部・並木育男氏
  • ヤマハ・イグザルト43

ヤマハ発動機は15日、ザ・クルーズクラブ東京にてプレミアムボート『EXULT43(イグザルト43)』の試乗会を開催した。イグザルト43は同社が展開するプレミアムボートシリーズのフラッグシップモデル。お値段はなんと1億4700万円! ヤマハ発動機の全商品のなかで最高金額である。

試乗会に先駆けて行われた商品説明会で、ヤマハ発動機執行役員マリン事業部本部長・臼井博文氏は、過去の販売実績のデータを紹介。2017年の売上高は3238億円を記録し、2018年は3270億円を予想しているそうだ。臼井氏は、「国内外のマリン事業は好調で、リーマンショック前を上回っている」と語る。

さらに商品開発を行ったマリン事業本部 商品企画部の大川典之氏は、「富裕層を中心に高額商品が人気。より高級な商品を求める声が数多く出ていた」と、イグザルト43を開発に至った経緯を説明。イグザルトシリーズが誕生したのは2008年。いままでに「イグザルト36」、「イグザルト38」、「イグザルト45」の3製品が発売されており、シリーズ累計で100隻を販売している。イグザルト43は、これらのオーナーが待ち望んだ一隻なのだろう。

「インテリアのコンセプトは“洋上の迎賓館”」と語るのは、デザインを担当したデザイン本部フロンティアデザイン部・並木育男氏。「EXULT(イグザルト)」とは「上質な歓び」を意味する英単語。イグザルト43は安全性や性能だけでなく、この名前の通りに随所に高級感を得られるデザインを重視して作られたと言う。具体的には素材に高級木材の「シカモア」をふんだんに使い、メインサロンのテーブル天板には「西陣織り」の職人がカーボンで「昼夜斜紋」の柄を再現した。

もちろん外観もインテリア同様に注力している。大海原で目立つデザインにするため、クジラやシャチを連想させるシルエットの美しさにこだわって設計されている。デッキ(甲板)とハル(船体)とのつなぎ目が側面にないインテグレーテッドデザインは、製造に高度な技術が必要。強度とデザイン性を両立させるために苦労したそうだ。

説明会が終わり、いよいよ試乗会がスタート。報道陣が案内された桟橋に向かうと定員15名のイグザルト43が停泊していた。並木氏の言葉のとおり、見た目がかっこいい! 角のない流線型の船体は、確かに巨大海洋生物のようだ。

いざ乗船! 船体後部アフトデッキから船内に入ると、大きな扉のなかにメインサロンが広がる。室内には大型の本革ソファーにラウンジチェア、テーブルが置いてあるのに、まだまだ空間に余裕がある。しかもメインサロンの奥にはIHクッキングヒーターと電子レンジ、冷蔵庫付きのキッチンを完備。

メインサロン最前部の操縦席の横には、階下につながる階段。ワクワクしながら下に降りると、そこは寝室とトイレがふたつずつ用意されていた。しかも片方のトイレにはシャワールームまでついている。寝室の窓は水面ギリギリの高さのため、寝ながら波を見られるのが楽しい。魚やイルカと並走したら、どんな景色が見られるのだろうか……、などと想像しようとしたが、1億5000万円を貯める方が先だということにすぐ気づいた。

メインサロンを後にして、再びアフトデッキに移動。今度は階段をあがって、最大10人まで入れるフライングブリッジ(FB)に登る。そこに上がると開放感抜群の景色。ウインドシールドは極限まで低くしてあるため、視界を遮らずに海を見られる。フライトデッキにもふかふかのソファーが「U字型」に並んでおり、仲間と会話がしやすい設計になっているそうだ。

フライングブリッジ前方の操縦席で操船してくれたスタッフに話を伺うと、イグザルト43はとても操作しやすいと語る。スロットルを倒しただけで、500馬力相当のエンジンボルボペンタ「IPS500」を3基搭載したイグザルト43は、最高速度35ノットで水上をバリバリ進む。ものすごく速い!

操縦席を覗き込むと、12インチモニター2台からなる「ボルボグラスコクピットシステム」に目がとまる。モニターには現在の船の状態がひと目でわかるように、データや地図が表示されていた。GPSを搭載しているため、ポイントを指定すれば海流に流されることなく同じ位置で停泊を続ける。

おもしろかったのは接岸・離岸時に使うジョイスティック。このスティックをひねったり倒したりすると、船体をその場で360度回転させたり、平行移動が可能になる。実際にジョイスティックを倒したら船がススッと真横に移動し、接岸がしやすそうだった。

報道陣をもっとも驚かせたのは「アンチ・ローリング・ジャイロ」。これは船内に格納されたジャイロを使って船体の揺れを抑制する装置。波のある沖まで出て試してもらったら、さすがに完全に揺れないわけではないが明らかに揺れが低減した。船酔い防止にかなり効果的だろう。

船内を見学し、スタッフの解説を聞きながらのクルージングは、約1時間で終了した。ヤマハ発動機の技術の粋を結集して作られた商品だということは十分に理解できた。1億5000万円の価値のある魅力的な商品だ。

《佐藤隆博》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集