【ホンダ シビックハッチバック 試乗】上出来なCセグカー(ただし前後デザインを除く)…島崎七生人

試乗記 国産車
ホンダ シビック ハッチバック
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最初から18インチタイヤが標準のハッチバックは、「タイプR」に優るとも劣らない過激なルックスでもあり、さぞスパルタンなクルマでは…と予測した。が、その思いは嬉しい方向に裏切られた。

新しいクルマだけに、Cセグメントの基準をサラリと超えた、スマートな走りっぷりなのだった。とくに低速からまったくゴツつかず高速になるとフラット感の増す乗り味は安定感があり洗練された印象。奥行き方向がやや太めのグリップのステアリングは、切るとやや重めの操舵フィールだが、場面を問わず手応えがキチンと感じられる。

ワインディングでは前輪を切る/戻すの操作が正確に実行できるのもいい。一部でロードノイズが立つタイヤ(ドイツ製のグッドイヤー)だが、踏面の接地感、操舵時の自然さは、サスペンションの性能と完全にバランスしている印象。後部に大開口をもつハッチバックとは思えない、逞しいほどのボディの剛性感も頼もしい。

搭載エンジンは1.5リットルのVTECターボ(173ps/22.4kgm)でCVTの組み合わせ。しかしスムースに流すにもレスポンスを活かして走るにも、いかなる走り方にも柔軟に対応する。ほとんどの場合、CVT特有のネガは感じないし、「S」モードを選べば、伝わる小気味よいエンジン音を楽しみながら胸のすく走りが堪能可能だ。

室内は前後とも低めのポジション。運転席はメイン部のクッションのストロークとサイド部の張りがバランスよく身体を支え、左右フェンダーの盛り上がりが視界に入る。スタイリング(ひとこと後述)の割に車両感覚は掴みやすく、後方視界も、低いところからしっかりと確保している。後席は頭上空間は欲張っていないが、シートは厚み感のある革表皮と適度なクッション、十分な座面前後長と高さ、適切な背もたれの角度がいい。腰をおろすと僅かだけクルマの中央寄りに着座が促され、その分、ドアまでの距離にゆとりをもたせている。トランクスペースは十分な広さ。前後するがインパネのデザインは、ひと頃のホンダの“昭和な宇宙船ルック”からかなり脱却した。

そしてスタイリング。もちろん気にならないユーザーの思いに水を差すつもりはない。が、あくまで個人的見解でいうと、フロント/リヤエンドのいささか大仰なデザインは、普段使いのクルマとするなら、いささかゴツすぎ、主張しすぎではないか? 時代が違うが『シビック』でいえば、今でも“ワンダーシビック”のハッチバックは最高傑作だと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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