イレギュラー運用の交差点で衝突、乳児が死亡…駅伝で規制

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駅伝のコースとなっていて、警官が手信号で交通整理を行っていた交差点で出会い頭衝突が発生した。双方の4人が死傷したが、高齢者運転のクルマが手信号による指示を看過した可能性が高いとみられる。

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21日午後0時45分ごろ、鹿児島県霧島市内の市道で、交差点を進行していた乗用車と軽乗用車が出会い頭に衝突する事故が起きた。この事故で乗用車に同乗していた乳児が死亡している。

鹿児島県警・交通規制課と霧島署によると、現場は霧島市国分野口北付近で片側1車線の直線区間。交差点には信号機が設置されているが、当日は現場の交差点が「県下一周市郡対抗駅伝競走大会」のコースとなっており、走者の通過が約10分後に迫っていたことから、同署員による手信号での交通整理が行われていた。軽乗用車側は赤信号の状態となっていたが、前走する左折車2台に続くようにして交差点を直進していったところ、青信号の状態で左方向から交差進行してきた乗用車の側面部に衝突した。

衝突の弾みで乗用車は横転小破。助手席に設置されたチャイルドシートに着座していた生後6か月の女児が車外に投げ出される状態となり、横転したクルマの下敷きとなってまもなく死亡。運転していた同市内に在住する37歳の女性も打撲などの軽傷を負った。軽乗用車を運転していた同市内に在住する87歳の男性と、同乗していた84歳の女性も打撲などの軽傷を負い、近くの病院へ収容されている。交差点周辺には駅伝の観覧者もいたが事故に巻き込まれた人はおらず、駅伝も競技が続行されている。

駅伝のコースは乗用車側が進行してきた道路(対向車線側)となっており、事故当時は乗用車側の信号機が青表示で固定。軽乗用車側は赤表示で固定し、「駅伝走者よりも先行することになる左折車のみ」を警官が手信号で誘導していた。直進や右折など、コースを跨いで塞ぐ車両は交差点を通過させないという規制をしていたが、軽乗用車は手信号を看過して交差点へ進入し、出会い頭衝突につながった可能性が高いとみられる。

現場で交通整理をしていた30歳代の男性巡査部長は「直進車は止めるつもりだった」と供述しており、警察では誘導に怠りがなかったかどうかを含め、事故発生の経緯を詳しく調べている。

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「駅伝の走者を優先して通行させる」というイレギュラーな運用をしている中で発生してしまった痛ましい事故となった。

事故を起こした軽乗用車側の信号機は赤表示で、交差点に進入することはできない状態となっていたが、走者の通過直前までは「走者よりも先行することになる左折車だけは通行可能」として、警官の手信号によって誘導していた。軽乗用車は左折車2台に続いて交差点へ進入したが、左折ではなく、そのまま直進していったことで交差車両との出会い頭衝突につながった。

左折車も含め、交差側を完全に止めていたならば事故は起きなかったかもしれないが、規制の影響を最小限に留めるという思いもあったのだろうか。

《石田真一》

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