春闘2018、一時金要求に業績差…自動車メーカーの交渉始まる

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自動車メーカーの2018年春闘は2月14日に一斉に労組から要求が提出された。ベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分の要求は5年連続。要求額は、各社とも3年続けて同じとなった3000円で、自動車総連の統一要求基準に揃えた。

一方、年間一時金の要求(年間月数)は18年3月期の業績予想などを反映し、以下のようになった。

◇乗用車メーカー7社の一時金要求
企 業 18年要求 17年妥結
トヨタ 6.6か月  6.3か月
日 産 5.8か月  6.0か月 
ホンダ 6.2か月  5.9か月
スズキ 6.0か月  5.8か月
マツダ 5.4か月  5.3か月
スバル 6.0か月  6.2か月
三菱自 5.5か月  5.0か月+5万円

乗用車メーカー7社のうち、昨年の妥結水準を上回る要求としたのはトヨタ自動車、ホンダ、スズキ、マツダ、三菱自動車工業の5社となった。これらのうち、トヨタ、ホンダ、スズキの18年3月期の連結決算予想は純利益ベースで過去最高見込みとなっている。

また、マツダと三菱自も今期業績が増益予想となっており、昨年の妥結を上回る要求とした。三菱自は一昨年の軽自動車の燃費不正問題による業績悪化から立ち直りを見せており、今年の要求は同問題が発覚する前の16年春闘の水準に戻した。

これに対し、日産自動車は5.8か月分と昨年の妥結実績(6.0か月分)を下回る要求となった。同社の今期連結純利益は米国の法人税減税に伴い、トヨタなどと同様に最高となる予想だが、国内工場での完成検査不正に伴うリコールなどの費用が900億円発生している。営業利益予想は24%の大幅減益で2期連続の減益となることからも、労組は要求水準を引き下げた。

また、同様に完成検査不正による費用が発生しているSUBARU(スバル)も6.0か月(5.0か月+1.0か月)と、満額回答だった昨年の実績(6.2か月)から要求を引き下げた。

各社の労使は、3月14日の集中回答日に向けて交渉を本格化するが、会社側は固定費増につながるベアについては昨年同様に慎重だ。電動化をはじめ自動運転やコネクテッド技術の開発競争など、自動車産業を取り巻く環境が激変して厳しさを増すなか、ベアの高水準な回答は極めて難しい情勢となっている。

《池原照雄》

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