業界ではEVかハイブリッド(または内燃機関)かといった論争がある。その一方でハイブリッド技術の中でもストロングかマイルドか、という議論がある。プリウスに代表されるストロングハイブリッドと欧州メーカーやスズキなどが採用するマイルドハイブリッドの違いだ。
ストロングハイブリッドは数百ボルトの高電圧でモーターを駆動する。EV走行を見据えたハイブリッド車に多く採用される。欠点は構造が複雑になり重量もかさむ。開発、製造、維持にコストがかかり、本来プリウスクラスの車両にはむかない。
マイルドハイブリッドは48Vの電圧でモーターを駆動する。あくまでエンジンのアシストがメインでEV走行は苦手だ。半面、構造がシンプルで既存部品の流用も可能というメリットがある。
マイルドハイブリッドは欧州では採用が広がっているが、国内でもスズキの採用、マツダがSKYACTIV-Xへの採用示唆など注目が集まっている。そんな日本市場を意識してか、オートモーティブワールド2018では、ボルグワーナーが開発中という48Vマイルドハイブリッド用P2モジュールを展示していた。
P2ハイブリッドモジュールとは、エンジンの出力軸(プロペラシャフト)とトランスミッションの間(クラッチのあと)にモーターを配置する方式のこと。例えばエンジンとモーターを同軸に配置して同じ軸を駆動させるハイブリッドをP0またはP1という。P0はモーターの軸がエンジンにつながり、P1は、クラッチの前で、エンジンの出力軸にモーターがつながっている状態。
P2の特徴はクラッチのあとにモーターが配置されるので、減速時にクラッチを切ればモーターによる回生(発電)効率が最大限に生かせること。
ボルグワーナーのP2ハイブリッドモジュールは、クラッチと一体化され、ハウジングにモーターが取り付けられコンパクトにできている。展示モデルはクラッチとモーターがギアで連結されるタイプ(Off Axis)だが、同社では同軸上にモーターを組み込んだタイプも開発している。
電動化関連では、減速機付きのモーター、EV用のヒーターモジュール、モーターコントローラーが展示されていた。モーターコントローラーはジャガー C-X75にも採用されたという製品(SEVCON Gen5-S9)が展示されていた。410V、100kW出力で6.8kgと同クラスの製品の中では小型最軽量だという。ちなみにC-X75はガスタービンハイブリッド車で、800Nmのモーターが4基搭載され合計で3200Nmというトルクを発生する。SEVCON(2017年にボルグワーナーに買収)のコントローラーはこのトルクを制御する。