ZMPが全国初の遠隔型自動運転システム公道実証実験を開始

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自動タクシーが走行する様子。運転席には人が座っていない
  • 自動タクシーが走行する様子。運転席には人が座っていない
  • 遠隔監視の様子。ハンドルとペダルが見える。
  • 実証開始のイベントは科学未来館で行われた
  • ZMPは今回の実験をプレレベル4と位置付ける
  • 今回の実験のシステム構成図
  • 自動タクシーの潜在需要
  • 2020年東京五輪での商用化を目指す
  • 自動タクシーに試乗する猪熊副知事

ZMPは12月14日、遠隔型自動運転システムの公道実証実験を開始した。東京のお台場地区で、運転席にドライバーがいない状態で公道を走行するものだ。全国初の公道での実証実験となる。

ZMP代表取締役社長の谷口恒(たにぐちひさし)氏が挨拶に立ち、「ZMPは昨年9月から、お台場で有人の自動運転実証実験を続けてきた。交通量の多いお台場で、1年にわたり経験を積み、運転席に人が座らない状態で実証実験を行うことになった。関係各位のご指導、ご協力に感謝します」と述べた。

今回の実験については、谷口氏は「プレレベル4」と考えていると説明した。運転免許を保有している人間が、車両のカメラで撮った映像を遠隔地で監視しており、ハンドルとペダルを操作できる状態にあるからだという。

「無人運転は歴史上初めてのことなので、最初はAIに任せるのではなく、人を配置した状態で、1人1台を見る状態で開始する。今後安全を確認し、段階を経てレベル4に進めていきたい。遠隔で監視する側も、今後は免許のない人になり、そして無人になり、AIが100台1000台を監視するという方向に向かっていく」

また今後の目標について、2020年の東京五輪での商用サービス開始を挙げた。

「ZMPでは自動タクシーと呼んでいる。コンセプトは、運転できない人が安心して乗ることができること、手ごろな価格で使いやすいこと。東京五輪に向けて商用化する。お台場、有明、羽田、東京駅の間をつないでいきたい。(既存の)タクシーと自動タクシーは相互補完の関係だ。短距離や深夜早朝など、ドライバーの負担になるところは自動タクシーが、長距離はドライバーが担当するという棲み分けをしたい。タクシーは東京で約1万台、全国でも6万台弱が車庫で休眠している。これらを自動タクシーに入れ替える潜在需要があるとみている」

来賓として東京都副知事の猪熊純子氏が挨拶に立ち、「2020年に向けて、臨海羽田地域を日本の最先端技術のショーケースとして発展させていきたい、という狙いがある。自動運転は、成長戦略として、また渋滞や事故、人手不足の解消など、社会課題の解決に大きなポテンシャルを持っている。東京都としても全力で支えていきたい。実験が成功に終わることをお祈りします」と説明した。

また猪熊副知事は自動タクシーに試乗し、「スムーズに走り、車線変更などもこなしていた。ブレーキが強めにかかるのが気になったが、安全側に振っているとのこと。安心して乗ることができた」と感想を述べた。

また、ZMPと自動タクシーで提携する日の丸交通代表取締役の富田和孝氏が挨拶し、タクシー業界の危機感を強い言葉で訴えた。「なぜタクシー会社が自動運転を手掛けるのか。いちばん大きな課題は人手不足だ。都内でもドライバーが高齢化しており、増え続けるインバウンドの需要に対応できるのか。公共交通機関としての役割を果たし、白タク問題をはねつけていきたい。その危機感のあらわれだ。全国のタクシー会社が採用難に苦しんでいる。タクシー業界は、自動運転に関心を持ち、一緒に取り組んでほしい。1日も早い導入に向けて取り組んでいく」

[編集部注]一般公道における遠隔制御型自動運転は、同日に愛知県幸田町でも実施された。日本初は同日で2カ所。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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