【マツダ アクセラセダン ディーゼル 試乗】自動車としての愉しみは値段の差以上…中村孝仁

試乗記 国産車
マツダ アクセラセダン 15XD(ディーゼル)
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ディーゼルエンジンによって新境地を開いたマツダ。今のところ純粋なセダンでディーゼルエンジンを搭載するモデルをラインナップするのは、日本メーカーではマツダだけである。

『アクセラ』には、これまで2.2リットルディーゼルはセダンにも搭載されていたが、新たに1.5リットルモデルも加えられ、ディーゼルラインナップがさらに拡充された。勿論エンジンとしてはこれまでも『デミオ』に搭載されていた「15XD」と同じものだが、チューンは若干異なっており、デミオが最大トルク250Nmとされているのに対し、アクセラ用の15XDは、270Nmを発揮する。つまり、『CX-3』に搭載されているものと同じ、ということだ。

この最大トルクこそ、ディーゼルの肝であり、冒頭「乗るならやっぱりディーゼル」と謳った根拠でもある。今回は、事前に1.5リットルガソリン搭載車をおよそ2週間900km走らせた後に、この新ラインナップである15XDに試乗してみた。その結果から言って前述のような印象になるのである。

ガソリンの同グレードと比較

ざっと数値の比較をしてみよう。まずお値段であるが、ガソリンの1.5とディーゼルの1.5を同じグレードで比較すると、およそ30万円弱、ディーゼルの方が高い。一方で、燃費はと言うと、JC08モードでは20.4km/リットルのガソリンに対し、ディーゼルは21.6km/リットルと若干上回るが、現実はと言うとガソリンの900km走行後の総燃費が13.9km/リットルであったのに対し、ディーゼルは走行距離が短く、一般道が多かったという悪条件下でも、250km走行後に15.6km/リットルを記録した。

最大トルクの差は、ガソリンが144Nm/3500rpmであるのに対し、ディーゼルは270Nm/1600~2500rpmと圧倒する。車両重量の差はガソリン1270kgに対しディーゼル1360kgと90kg差。因みにデミオは1130kgとグッと軽い。

とまあ、こうして見てもディーゼルのトルクフルさがやたらと目立つわけである。

装備も実に充実している。マイナーチェンジが施されたアクセラは、「アドバンストスマートシティーブレーキサポート」や「AT誤発進抑制制御」「車線逸脱警報システム」「先進ライト」、車両側方および後方の危険認知をサポートする「ブラインドスポットモニタリング」と「リアクロストラフィックアラート」が全車に装備された。 この他360度ビューモニターも初採用され、加えて気に入っているアダプティブLEDヘッドライトや、寒い時に重宝するシートヒーター、ステアリングヒーターなどは標準装備である。

乗っていて楽しいのはディーゼル

さて、2週間乗ったガソリン車について一言。日常生活するうえで、近距離のみの移動というのなら、十分に満足の行く性能を有していると思うが、高速を使っての長距離移動や、ドライブで山道を走行しようとすると、このパフォーマンスには物足りなさを感じてしまう。特に回転が上がるとエンジンの唸りも大きくなって、決して心地よく乗っていられるとは言い難い。

これに対してディーゼルは、元々高回転は回らないし、トルクレンジを見ても2500rpmで最大トルクのピークを過ぎるから、基本的にはそれ以上回す必要性はまず感じないし、そこまで回れば十分にパワフルかつ力強い加速感が得られる。グイグイと引っ張る様はガソリンとは比較にならないほど。

ただ、燃費だけで価格差を取り戻すのは難しい。年間1万km走ると想定して計算すると、地域にもよるだろうが軽油とガソリンの価格差を30円とした場合、1年で差額は2万9525円程度となるから、取り戻すには10年もかかることになる。だから盲目的にディーゼルを薦める気はないが、自動車としての愉しみを考えた場合、その差はお値段以上のものがあって、やはり乗っていて楽しいのはディーゼルなのである。

余談ながら、これが2.2リットルディーゼルとなると、愉しさもより増大するが、お値段も15XDよりさらに40万円近く高くなる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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