「世界中の人々に愛され、役立つ存在でありたい」と願い、新型ホンダ『スーパーカブ50/110』の開発は進められた、とホンダモーターサイクルジャパン企画部商品企画課チーフ荒木順平さんが教えてくれた。
さらにこう言う。
「誕生60年に向け、いまいちど原点に立ち返り、一貫した継承と進化を図りました。スタイリングのテーマは『シンプルで普遍的な日本の風景、カブスタイル』、進化のテーマは『“働き者”をさらなる安心感で支える耐久性、メンテナンスの向上』です」(荒木さん)
新型スーパーカブのデザイン。昔ながらの曲面基調に戻るとともに、現代的に洗練されている。
「乗る人、その周りの人、あらゆる場所や風景との馴染みやすさ。つまり環境との親和性の高さも意識しています。スーパーカブはひとつの工業製品でありながら、あらゆる人、場所、場面に溶け込む“風景の一部”でもあると考えています」(荒木さん)
たしかに、どこにでもスーパーカブはよく馴染む。1958年の初代『スーパーカブC100』を発売して以来、低燃費や静粛性、信頼・耐久性、乗りやすさという機械製品としての優秀さで世界中の幅広いユーザーに高く評価されているが、その愛着の湧くスタイルもまた大きな魅力。
来年2018年に発売60周年を迎える超ロングセラーモデルとなっているが、それは我々の暮らしにさり気なく、深く根づいているからだ。
2012年以降は四角いヘッドライトや角型デザインのメーターパネルを採用してきたが、新型では丸目で愛らしいヘッドライトが復活し、省エネルギーで長寿命なLED式に進化。誕生60周年、世界生産累計台数1億台突破、凄すぎる偉業達成の良きタイミングに、原点回帰のデザインでフルモデルチェンジしている。
荒木さんが言うとおり、新型もまた違和感なく日本の風景に馴染むだろう。間違いない。ほとんどの人が新型であることも気付かないだろう。