小林可夢偉がファンに“投票”を呼びかけ…フォーミュラE香港大会で「ファンブーストを頂けたら嬉しいです」

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ファンブーストはフォーミュラEの特徴的要素のひとつ(写真は2016/2017シーズン)。
  • ファンブーストはフォーミュラEの特徴的要素のひとつ(写真は2016/2017シーズン)。
  • 初参戦に向け、メディアセッションに臨んだ小林可夢偉。
  • 初参戦に向け、メディアセッションに臨んだ小林可夢偉。
  • 2016/2017シーズンのフォーミュラE。
  • 2016/2017シーズンのフォーミュラE。
  • フォーミュラEの参戦ドライバー層はハイレベル。F1やWEC、SFの経験者も多い。左からハイドフェルド、バード、ローゼンクヴィスト、ベルニュ、ディ・グラッシ(写真は2016/2017シーズン)。

12月2~3日に香港で開催されるフォーミュラEの2017/2018シーズン開幕2連戦に参戦する小林可夢偉は22日、都内でのメディアセッションにて、ファン投票で決まる「ファンブースト」の使用権についてユニークな見解を交えつつ、「頂けたら嬉しいです」と語った。

電動フォーミュラレースである「フォーミュラE」にはいくつか独特な要素があるが、そのひとつがファンブーストだ。これはファンのSNSでの投票によって3人の使用権取得ドライバーが決まる、レース中の一時的なパフォーマンスアップシステムである。

ファンの支持を得て、使用することができればレース展開を有利にできる可能性が高いファンブースト。ただ、このファンブーストに関して可夢偉はユニークかつ論理的な見解を示した。

「ファンブーストを使うとバッテリー温度が上がって、あとで大変になることがあるらしいんです」

可夢偉は今年6月のベルリン戦に出向き、フォーミュラEを実地視察済み。今回の参戦陣営である「MS & AD アンドレッティ」(本拠は英国)にも、参戦準備のために既に合流をしている。そして「レベルが高い」と評するフォーミュラE参戦ドライバーには「同世代の元僚友やライバルも多い」ため、彼らからの情報収集も積極的に行なっているのだが、そのなかでそういう話を得たという。

そのため、ドライバーからは「ファンブーストはもらえなくてもいいんだけど」というような声も可夢偉は聞いたそうだ。しかし、ファンブーストには別の意味もあり重要、との意を可夢偉は話す。

「僕がファンブーストを頂けたら、『日本もフォーミュラEに興味がある』ということを示せると思います。いつか日本で初の公道レース(フォーミュラEは公道開催が基本)をやるための手助けになると思いますので、みなさんに投票をしてもらって、僕がファンブーストを頂けたら嬉しいです。ただ、頂いたのに使わなかった場合は怒らないでください(笑)」

実に可夢偉らしい、冷静な分析に基づきつつも、ウィットに富み、さらには大局的なところまで睨んだ投票依頼である。ぜひ、ファンのみなさんには清き一票をお願いしたい。

フォーミュラEといえば、現在は航続距離の関係でレース中にマシン乗り換えという独特な要素もある。ピットレーン内にいる最低時間が決まっているため、猛烈に急ぐ必要はないのだが、これについては既に練習済みという可夢偉、「落ち着いてやれば問題ないかな、と思いました」。世界耐久選手権(WEC)では時に「25秒程度でドライバー交代しなければならないこともある」。それに比べれば「正直、余裕でしたね」とのことだ。

フォーミュラEは、F1やスーパーフォーミュラに比べて絶対的な速度域は高くない。だが可夢偉は、参戦ドライバーたちへの事前リサーチを通じ、フォーミュラEならではの難しさも既にかなりのレベルで掴んでいる。

「200km/h程度の速度と侮っていると大変で、実際に乗ったら400km/hに思えるらしいです。システム的にドライバー任せの部分も大きいので、とんでもなく難しくて忙しいマシンみたいですね。コースもF1とかの市街地と違って、かなりデコボコしていますから」

新たな挑戦に向けて、「バッテリーの扱いについてのノウハウや、あのマシンについてのドライバーとしての“引き出し”は確実に増やせると思います。そこでチャレンジできることは楽しみです」との意気込みも語る可夢偉。今回は香港大会(17/18シーズン第1&2戦)のみの参戦で、先々については未定だが、「香港では(その後の)参戦オファーをもらえるくらいにいい結果を出したい」と意欲的だ。もちろん、他の参戦カテゴリーとの「バランスを見て」という条件が付くため、結果だけで可夢偉のフル参戦が実現するわけではないが、まずは好成績が期待される。

なんとも楽しみになってきた、可夢偉のフォーミュラE初参戦レースウイーク。香港2連戦は12月2~3日に開催される。

《遠藤俊幸》

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