【ITS世界会議2017】デンソー、サイバーセキュリティやAIによる本線合流を紹介

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サプライヤーとしては広めの出展だったデンソー
  • サプライヤーとしては広めの出展だったデンソー
  • AIによる合流や車線移動を体験できるシミュレータ
  • 先行車との車間を開けるとクルマが車線内に入ってくる
  • 合流しようとする車線をターゲットにすると、合流できそうな車間を探し出す
  • 合流できそうとAIが判断すると車線移動を始める
  • HUDを使って新たなHMIを提案するシミュレータ
  • センシングによって検出された対象物をHUDに実像に重ねて表示した
  • サイバーセキュリティとして4層にわたる多層防御システムを提案

日本最大手のサプライヤーであるデンソーは、10月29日~11月2日に、カナダ・モントリオール市で開催された「第24回ITS世界会議モントリオール2017」に出展。多層防御システムによるサイバーセキュリティ技術や、自動運転に向けたAIによる走行判断技術などを紹介した。

自動運転時代に入ると自動車は様々なタイプのリスクを抱えることになる。たとえば、外部から指示系統に侵入してクルマをコントロールしたり、誤った情報をドライバーに伝えたりもする。デンソーはこうした事象に対し、対策の異なる4つの層で多様な攻撃から人とクルマを守る多層防御システムを提唱している。

その4つの層とは、外部接続の認証機能、攻撃をクルマの中と分離するゲートウェイ機能、車載LANをよりセキュアにする認証機能、そしてECU対策の4つだ。これらを駆使して、攻撃の脅威レベルに合わせ、セキュリティレベルを適正水準に設定。さらにセキュリティのアップデートや万が一のインシデント対策として15年にわたる研究成果が活かせるという。

興味深かったのはHUD(ヘッドアップ・ディスプレイ)とAR(拡張現実)技術を組み合わせ、ドライバーの見落としを未然サポートするというものだ。一例として、夜間走行時はヘッドライトに照らされない対象物は視認できず見落とすことも少なくない。これを別のセンサーで検知し、その存在をHUDで浮かび上がらせることでドライバーへ知らせるのだ。会場ではシミュレータを使ってその効果を体感できるコーナーも用意された。

この技術が有用なのは何も夜間だけにとどまらない。昼間であっても混雑した市街地で使えば効果は大きいはず。先進運転支援システム(ADAS)や自動運転技術の開発が進化によって“HUD不要論”も出て来ているが、デンソーはこの活用法を発展させることで、「HMIのベース機能としてHUDの重要性はさらに高まっていく」とする。

デンソーはAIによって本線へ合流する技術を再現するシミュレータも出展した。自動運転では車線変更や合流などでの操作判断は極めて重要な機能の一つ。その中核となるのがAIだ。AIが周囲の状況を判断することで、最適なタイミングを推し測って合流していくのだ。シミュレータでは、本線を走る自分が先行車との車間を詰めたり離したりする中、左側から合流車が入ってくるシーンで再現された。

先行車との車間を詰めれば合流車は、本線に入るのを中止して次のタイミングを狙う。一方で、譲る気持ちで車間を開けると合流車はそのまま本線へと入ってくる。この当たり前のことがシステムで自動化するのが実はとても難しいのだ。デンソーは、この技術を積み上げてよりスムーズな本線合流や車線移動を実現したい考えだ。

《会田肇》

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