【公道で自動運転 試乗】高速道路で巧みに合流、驚いた! 日産プロパイロット

自動車 テクノロジー ITS
日産が公開した最新の自動運転実験車両
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  • 日産が公開した最新の自動運転実験車両
  • LiDARを使ったレーザースキャナーは前後に6個装着
  • ルーフには周囲360度を検出するためにカメラを4つ搭載した
  • 後方をセンシングするLiDAR(中央部分)
  • 直近の状況を把握するカメラも装着
  • 道路のネットワークを高精度に示すHDマップを誘導に使う

日産自動車は、10月26日より2020年以降の実用化を目指した、最新の自動運転実験車両の公道テストを開始。その車両での体験走行会を11月6~7日、メディア関係者向けに実施した。

実験車両はインフィニティ『Q50』(=日産『スカイライン』)をベースとしたもので、新世代のプロパイロット技術を搭載し、目的地をナビゲーションで設定するだけで一般道と高速道を含んだ公道上を自動運転走行する。

車両には12個のソナー、12個のカメラ、9個のミリ波レーダー、6個のレーザースキャナー、高精度(HD)マップを搭載。これらを組み合わせて使用することで、車両の周囲360度の状況をリアルタイムで把握できるようになり、交通量の多い交差点や高速道路での合流など複雑な道路環境でも自動運転で滑らかに走行できるものとした。

体験走行会が行われたルートは、東京都江東区の豊洲市場前付近一般道を起点とし、湾岸線有明ランプから首都高速に入り、中央環状線(C2)の船堀橋ランプから退出して再び戻る合計で約24km。ここで日産の技術者1名を含む計3名が乗車して実験走行はスタートした。スタートはステアリングに用意された「ProPILOT」のスイッチを押すだけ。あとはステアリング操作を含め、ブレーキやアクセル操作のすべてを自動で走行できる。

走り出してすぐに感じたのは、走行するフィーリングがまるでドライバーが運転しているかのように自然だったことだ。車線内のトレースにしても、加減速にしても、その動きにまったく違和感がない。なかでも驚いたのは高速道路への合流だ。側道でしっかり加速して本線へと向かい、車両が過ぎ去った後ろにスッと入る。システムが自動でやっているとは思えない。

高速道路上では車線内を揺るぎなく安定して走行し、設定した車速と道路状況を判断して自動的に車線移動も行う。車線移動時は「左車線に移動します」とアナウンスがあるので、勝手に動いているような不安もない。そんな中であっと言う間に目的地である首都高C2船堀橋ランプに到着。ここで信号が変わった後にUターンをするのだが、その時もシステムがすべてコントロールし、ドライバーは座っているだけ。こんなところまで自動化が進んでいるとは、まさに驚きと言うほかはない。

この体験走行会で対応してくれたのは、日産自動車の電子技術/システム技術開発本部の飯島徹也氏。日産の自動運転開発ではすっかりお馴染みとなっている方だ。飯島氏によれば「ここまで安定した走りができる最大の理由はHDマップの搭載」と話す。HDマップにはクルマが走行するべきルートが埋め込まれており、「これに従って走行していればクルマは一切迷わない走りができる」というわけだ。

中でも驚いたのが高速道路への合流だ。これまで速度差を合わせてクルマが自動で合流するのは技術的にもかなり難しいとされてきたはずだが、今回の実験車両はそれをいとも簡単にやってのけた。

飯島氏はこれについて「やっていることは人間と同じ。合流時にターゲットとするクルマを見つけ、車速を合わせてその後ろに入る。後続車が続いて入れそうになかったら、さらにそのクルマの後ろに入るよう判断を瞬時に行っている」のだと話す。しかし、今まではこれが簡単にはできなかった。実験で立ち往生するクルマが続出していたのだ。

今回の試乗でこれらの制御を見る限り、間違いなく自動運転のトップに位置しているということを実感できた。センサー類をてんこ盛りにした実験車両ではあるが、少なくとも今まで試乗してきた実験車両のどれよりも制御に秀でている。

それでも解決すべき課題はヤマのようにある。それは一般道交差点での右折もそう。飯島氏は「交差点での右折を安心してできるためには車両だけの制御では限界がある。(路車間通信ができる)インフラの整備は絶対に必要だ」と話す。

夢が現実になる日が近づいた。この日の体験試乗でそれを実感した次第だ。

《会田肇》

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