コンチネンタルが目指す“シームレスモビリティ”とは…日本拠点での開発もアピール

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コンチネンタル事業説明会(東京モーターショー2017)
  • コンチネンタル事業説明会(東京モーターショー2017)
  • コンチネンタル シャシー&セーフィティー部門 無人運転プロジェクト責任者のアンドレ・ホーム博士
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ドイツ部品大手のコンチネンタルは、東京モーターショー2017において事業説明会を開催。シャシー&セーフィティー部門 無人運転プロジェクト責任者のアンドレ・ホーム博士が、同社の自動運転に対する取り組みについて説明した。

コンチネンタルは、メガサプライヤーとよばれる部品メーカーの一角で、世界でも3本の指に入る。同社の事業領域は、自動運転向けのセンシングデバイスや、コネクテッドカー向けの車載デバイスなどのほかにも、電装部品やタイヤなど幅広いが、今回は自動運転の領域に関する説明会となった。

2018年に公道での無人走行を目指す

ホーム氏は冒頭で、現代の交通に関する課題について、「交通安全・渋滞などのストレス、時間の有効活用、高齢化社会の移動」の3つを定義し、自動運転技術によってこれらの課題をどう解決していくかが重要とした。

そのためのアプローチとしてコンチネンタルでは、「未来のモビリティは、クルージングショーファー(高度に自動化されたパーソナルモビリティ)、無人運転(ロボキャブ)、自動駐車などの技術によって、“シームレスモビリティ”になっていく。この3つのテーマに分けて研究開発を進めている」と説明した。

そのうちまず1つめのテーマ、“クルージングショーファー”の研究開発の進捗についてアピールした。

「2017年のフランクフルトモーターショーにあわせて、クルージングショーファーのデモ走行を実施した。テスト車両で、(人間の運転で)高速道路に乗った後に自動運転に移行し、レーン変更や、高速道路路線の乗り換えをスムーズにこなすことができた。クルージングショーファーの機能は2018年、高速道路からその先へ進化させていく。まずは郊外の田舎道をカバーしたい。

そして2018年以降は、ヒューマナイズドドライビングをテーマに、人間の運転と同じようなふるまいをし、トラフィックの流れの中に自然になじむように走らせたい。また、天候が荒れている状況であっても走ることができるようにしたいと考えている」(ホーム氏)。

続いて2つめのテーマ、無人運転について説明がなされた。ホーム氏は無人運転を「ロボキャブ」、つまりロボットのタクシーと表現した。

「無人運転については、フランスの『イージーマイル』の車両にコンチネンタルのデバイスを搭載し、デモ走行をした。ドイツにあるコンチネンタルの敷地の中で、多数の参加者を載せて、トラブルなく走行することができた。2018年に向けて公道での走行を目指す」(ホーム氏)。

イージーマイルの車両は、都心部を低速で走行する10人乗り前後のマイクロバスで、運転席が無い。日本のDeNAが、無人走行バスの実証実験に利用している車両でもある。

そして最後の自動駐車については、「いわゆるバレーパーキングを無人化すること。駐車場に入ってくるところから無人で走行し、自律的に空き枠を見つけて自動駐車する。こちらもコンチネンタルの施設内で実験走行をしている。」と説明した。

つづいてホーム氏は、日本での開発状況について言及。同社はこのところ日本国内の拠点の拡充を図っており、先日も横浜の新社屋が公開された。

「ご存知の通り、日本には有力な自動車メーカーが集まっている。コンチネンタルの技術を搭載した車両で、高速道路2万kmのテストを実施した。北海道の紋別のテストセンターでも開発を進めている。SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)自動走行システムのフィールドテストにも参加している」とアピールした。

強みはLIDARの開発力

プレゼンテーションに続いて、質疑応答のセッションが設けられた。

----:自動運転のセンサー類に関して、他のメガサプライヤーとの相違点は何か。

ホーム氏:センシングテクノロジーに関してあらゆる技術、製品を持っており、包括的なアプローチを取れることが強みだ。長年の実績もあり、力がついてきている。LIDARについては、自動車メーカーから高い評価を得ている。

LIDARを大量生産品として市場に出せるのがコンチネンタルの強みだ。現在、高解像度の3D Flash LIDARの開発に注力している。またカメラについても、ステレオカメラを持っており、BMWに供給実績がある。ステレオカメラは距離測定もできることが特徴だ。

総じて、コンチネンタルには長い経験があり、解析技術も含めてあらゆるデバイス、ソリューションを提供することができる。

----:3D Flash LIDARの実用化時期は。

ホーム氏:SOP(量産開始)は2020年初頭になる見込みだ。自動運転技術の開発ロードマップを実現するために、自動車メーカーからは強い要望がある。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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