神戸製鋼・長府製造所で、管理職を含む従業員が不適合品を報告せず

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不適合品の検証で、検査データを報告しなかった出来事を「誠に残念」と語った梅原尚人副社長
  • 不適合品の検証で、検査データを報告しなかった出来事を「誠に残念」と語った梅原尚人副社長

神戸製鋼所が20日夜、東京都内のホテルで緊急会見を開き、同社が行う自主点検に反して従業員が過去の不正を隠していたことを公表した。本社に設置した相談窓口へもたらされた匿名情報によって、10月19日に判明した。

「誠に残念。品質管理はちゃんとやっていこう、信頼が大事だと社長以下、いろんな形で直接対話で頑張ってきた中での問題。正直に過去の不正を出して(顧客と)話している最中で起こったことは非常に残念」と、体調を崩した川崎博也社長に代わって登壇した梅原尚人副社長が述べた。ただ、全社をあげた不適合品の検証の中で、こうした事実が見つからなかったことは、神鋼の深い混乱を見せつける形となった。

山口県下関市にあるアルミ・銅事業部門の長府製造所(押出工場)で、管理職を含む従業員複数人が関与。2016年9月~17年8月に製造された基準を外れた寸法の不適合品の品質検査データを、現場の自主点検、本社ものづくり推進部が実施した緊急監査の中でも報告しなかった。不適合品はアルミ押出品だが、対象となる数量は不明。どのような完成品に使われたものかは、顧客と協議中であることを理由に明らかにしなかった。

一連の行為について、神鋼は自主点検における妨害行為として「社内規定に則り厳正な処分を行う」と対外的な方針は示したが、「抜き取り検査でチェックした中ではヒットしなかった。見つからないようにしたのか、たまたま見つからなかったのかは今後の調査」と、山本浩司常務執行役員の歯切れは悪い。

梅原副社長からは調査主体の見直しも飛び出した。社内設置の「品質問題調査委員会」が主導してきた調査や対策について、外部委員だけで外部調査委員会を構成し、そこに託す。「外部委員だけというのがポイントで、客観性や透明性を加える」と新味を出したが、人選や具体的な運営方法を問われると「考え中」(梅原氏)と、苦しさをにじませた。

《中島みなみ》

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