三菱電機 自動車向け安心・安全ライティング技術を公開。2020年以降実用化を目指す

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三菱電機は、クルマからの光を路面に投影することで、後退時やドア開けを周囲の歩行者や車両に伝えることで、事故を未然に防ぐ安全技術を開発、一部メディアに公開した。これら技術は東京モーターショー2017で見ることが出来る。

今回公開された技術の特徴は大きく3つある。1点目はクルマの動きが分かる表示デザインと、それを気づきやすい路面へ照射する際の位置。次にセンサーと連動し、人の動きに合わせて点灯を開始する技術。最後は路面とクルマ本体のボディライティングの併用により、遠くにいる歩行者や他の車両に自車の動きを通知するものである。

これら技術を組み合わせることで、周囲のクルマや歩行者が自車の動きをこれまで以上に察知可能となり、安全・安心をもたらすことが目的だ。そのポイントとしては、照射面積の大きい表示や、どの角度から見ても誤解を生まない図形が挙げられる。

◇後退時、気づかない歩行者への安心・安全確保

その技術を使うことで、大きく2つの安心・安全を生み出す。そのひとつはクルマが後退する際などに、そのクルマに注意を払っていない歩行者へ、路面の大きな表示により注意喚起を促すことだ。

「従来の後退灯はすぐ傍しか明かりが点かないので、歩行者でスマホを見ながら歩いているとなかなかクルマが後退することに気づきにくい。そこで、今回開発したライティングでは、路面に図形を描くことでスマホを見ながら歩いてくる歩行者にでも分かりやすくなり、事故を未然に防ぐという効果をもたらす」と説明するのは、同社デザイン研究所産業システムデザイン部車載情報機器グループマネージャーの松原勉氏だ。

また、昼間は気づきにくいという懸念から、「ボディにライティングを付けることで(開発車両ではリアガーニッシュに路面と同様のデザインを表示)、クルマが後退することを伝える」という。夜間でもこの組み合わせにより、より早くクルマが後退することを伝えることが可能となる。

◇ドア開け時の周辺注意喚起

もうひとつは、夜間のクルマのドア開けシーンで、後方から来る歩行者や自転車等に注意喚起を図るものだ。具体的には、路面に照射された表示とボディに表示されている内容を併用することで交通参加者へ注意を促す。

「乗員がドアを開けようとドアノブに手を差し伸べると、ドアが開くというライティングがドアノブから路面へ照射される。ドアノブの横にも後ろに伝えるライティングが入っており、後方から接近する自転車やバイクなどにもいち早く伝えることが可能だ」と松原氏。

後退時の注意喚起と同様に、「昼間でもドアが開くことを伝えるために、ボディの後ろに注意喚起のマークを表示することで、ドアが開くことを周囲に伝えられる」と述べる。

◇2020年以降の事業化を目指す

三菱電機デザイン研究所産業システムデザイン部長の籠橋巧氏は、自動車向け安心・安全ライティング技術について、「光で図形を描きクルマの動きを周囲に分かりやすく伝えて安心・安全・快適な車社会の実現を寄与したいと考えたものだ」と話す。

そして、提案の背景について、「歩行者の交通死亡事故の約6割が夜間に発生しており、この対策は非常に強い社会の要請と捉えている。現在の車両はクルマの挙動が歩行者や他のクルマからは分かりにくく、周囲とのコミュニケーション技術の向上が求められていることから開発を行った」と述べた。

現在の技術は、「法規適合範囲内での照射を目指しており、2020年以降の事業化を目指している」と籠橋氏。「路面に照射する見やすい図形と、それを補完するボディライティングも合わせて交通参加者への注意喚起を行うことが、他社が提案しているものと違う点だ」と説明。

今後としては、「まずはカーメーカーへの提案を通じて一般のユーザーのクルマへ普及を図ることを狙っているが、ドアノブのハンドルに埋め込んだり、リアではセンサー類と同じ様な大きさで組み込めるようになったので、アフターマーケットでも十分適用できるのではないかと期待している」とし、多方面での提案を考えているとした。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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