【システム構築術研究】内蔵アンプシステムB編

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「パワーアンプ内蔵DSP」の一例。アークオーディオ・DSP8 Universal(税抜価格:10万円)。
  • 「パワーアンプ内蔵DSP」の一例。アークオーディオ・DSP8 Universal(税抜価格:10万円)。

カーオーディオシステムにはさまざまなタイプが存在している。スピーカーを交換するにとどめる手軽なタイプから、大量のユニットを投入するようなヘヴィなタイプまで、楽しみ方の幅は広い。

それを踏まえ今回の短期集中連載では、どのようなシステムタイプがあるのかを明らかにしながら、それぞれでの楽しむべきポイントや満喫するためのコツを解説しようと試みている。今回はその第3回目として、「内蔵アンプシステムB」編と題し、「パワーアンプ内蔵DSP」を用いるシステムをフィーチャーする。

■「パワーアンプ内蔵DSP」があれば、手軽に「DSP」を核とするシステムを構築可能に。

近年、「パワーアンプ内蔵DSP」の人気が高まっている。その理由は何なのかというと…。

最大の理由は、「DSP」の必要性が浸透してきたから、であろう。車内は好きな音楽を好きな音量で聴くことができる絶好のリスニングルームであるのだが、その反面、音響的なコンディションはあまり良くない。良くないポイントは2つある。1つは、容積が狭く、その中で“反射”と“吸収”の影響により音響特性が乱れがちとなること、もう1つは、左右のスピーカーから等距離の場所にリスニングポジションを取れないこと、以上だ。

しかしながら「DSP」を用いると、それらへの対処が可能となる。「イコライザー」によって特性の乱れを補正することができ、「タイムアライメント」によって擬似的にすぺてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せる。

もちろん、スピーカーの性能がどうか、しっかりとした取り付けが行えているか否か、が重要であり、「DSP」はそれらの不利や不備を補えるものではない。なので“万能”ではないのだが、しかし、車内の音響的なコンディションの不利に対処できる意味は大きい。ゆえに「DSP」の使用率は上がっている。

で、手軽に「DSP」を導入しようと考えると…。「パワーアンプ内蔵型DSP」は頼りになる。これさえ導入すれば、「DSP」を核とするシステムを容易に構築することが可能となるからだ。ゆえに、「パワーアンプ内蔵DSP」の人気が高まっているのである。

■「純正メインユニットを外したくない」場合には、「パワーアンプ内蔵DSP」でキマリ。

ところで、「DSP」を核としたシステムを“手軽に”構築しようとしたとき、選択肢は2つある。1つが前回に解説した、「高度なDSPを内蔵するメインユニット」を導入する作戦(今回はこれを「内蔵アンプシステムA」と呼んだ)であり、もう1つがこの、「パワーアンプ内蔵DSP」を使う作戦(今回はこれを「内蔵アンプシステムB」と呼んでいる)である。

さて、「A」と「B」との選択の分かれ目は何なのだろうか。

それは、「純正メインユニットが交換できるか否か」だ。もしも愛車の純正メインユニットが取り外せないのなら、選択肢は「B」に絞られる。

または、「純正の見た目を変えたくない」、もしくは、「純正の使い勝手を変えたくない」と考えたときにも、選択肢は「B」となる。

現状はむしろこのように、積極的に「B」が選ばれる傾向が強い。「メインユニットが換えられない」ということではなく、「換えたくない」と考えるユーザーが増えてきている。

このようなニーズを踏まえ、「パワーアンプ内蔵DSP」は今、さまざまな製品が開発されている。音質を優先したハイグレードモデルから、手軽に導入できるリーズナブルなモデルまで、さまざまなタイプがリリースされ、選択肢がますます増えてきた。結果、「パワーアンプ内蔵DSP」人気がさらに高まることともなっている。

■“ソースユニット”として「DAP」を使うことがメインならば、「内蔵アンプシステムB」が合理的。

また、「ポータブル・デジタル・オーディオ・プレーヤー」や「スマホ」を“ソースユニット”として活用する人が増えてきていることも、「パワーアンプ内蔵DSP」人気が高まる要因の1つともなっている。それがメインの“ソースユニット”となるのであれば、“ソースユニット”までもを内蔵している機種を導入する必要はなく、「パワーアンプ内蔵DSP」を選んだほうが合理的だ。

とはいえ、「市販メインユニット」にもメリットがいくつかある。1つ目は、「インストールがセンタークラスターパネル内で完結できること」だ。「パワーアンプ内蔵DSP」も小型モデルが多く、シート下にインストールできるものがほとんどではあるが、「市販メインユニット」の場合はシート下を活用する必要すらない(一部、パワーアンプが外部ユニットになっている機器を除く)。システムをミニマムに収めようと考えれば、「市販メインユニットを用いた内蔵アンプシステム」のほうが有利だ。

また、「市販メインユニット」を使う場合には、システムを発展させることも可能だ。対して「パワーアンプ内蔵DSP」の場合は、システム完結型のタイプが多い。後々のシステム発展を視野に入れるならば、選ぶべきは「市販メインユニット」、ということになる。

■楽しみ方のコツは「チョイス」にある。熟慮を重ねてベストを選ぼう。

さて、「パワーアンプ内蔵DSP」で構築する「内蔵アンプシステムB」においての、楽しみ方のコツとは…。

さまざまあるが、重要なのは2点。1つは「チョイス」、もう1つは「サウンドチューニング」だ。

先ほど記したように、「パワーアンプ内蔵DSP」を用いる場合、そこからシステムを発展させるケースは少ない。つまり、どの「パワーアンプ内蔵DSP」を選ぶかで、すべてが決まってしまうのだ。

であるので、自分がどのようなシステムを組みたいのか、例えば、フロントスピーカーを3ウェイにする可能性はあるのか否か、サブウーファーを追加する可能性はあるのか否か、追加するならばどのように鳴らしたいのか等々を見極めた上で、製品選びを行う必要がある。他のユニットを選ぶとき以上に、熟慮を重ねよう。

そして「パワーアンプ内蔵DSP」は、高度な調整能力を備えたモデルが多い。それを使いこなせるかどうか、がすなわちコツとなる。

調整はプロに任せればOKだが、敢えて自分でやってみても楽しいものだ。もしも自分でも調整を行う場合には、そこは楽しみどころともなり、かつ、製品を活かし切れるか否かの分岐点ともなる。気合いを入れてこれに取り組み、楽しみながら最大の効果を引き出していただきたい。

今回の解説は以上だ。手軽であり、かつ、本格派でもあるこの「内蔵アンプシステムB」。インテリアの見た目を換えずにカーオーディオを満喫しようと思ったら、当システムはなかなかにおすすめだ。ご参考にしていただきたい。

なお次回からはいよいよ、「外部パワーアンプ」を使用して構築するシステムについての解説に突入する。お楽しみに。

内蔵? パッシブ? マルチ? 『システム構築術研究』その3「内蔵アンプシステムB」編

《太田祥三》

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