車両提供で支援…九州北部豪雨で日本カーシェアリング協会が軽自動車を募集

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日本カーシェアリング協会の石渡さん
  • 日本カーシェアリング協会の石渡さん
  • 提供されたクルマには協会のロゴが入る。
  • 提供されたクルマには協会のロゴが入る。
  • 久留米市の拠点にはすでに集められたクルマが名義変更の手続きなどを待っていた。
  • 今回筆者も軽自動車の提供のために久留米を訪れた。距離は過走行ながら、1年ほど車検を残すこのクルマ。少しでも役立てばいいと思う。

発生から間もなく一か月が経とうとしている九州北部豪雨。東日本大震災復興でクルマを通じて活動している一般社団法人日本カーシェアリング協会は、今回の九州北部豪雨でもいち早く被災地と連携。復興のために全国から軽自動車の寄付を募り、引き渡しも7月25日から始まった。

募集のあった軽自動車を被災地に届けるために、日本カーシェアリング協会の現地拠点のある福岡県久留米市を訪れた筆者。協会の石渡さんにお話を伺った。

「洪水で流されたり水没したクルマはとても多いです。一方で、クルマへの依存度も大きい地域。クルマがないと生活に支障をきたします。軽自動車は、本部のある宮城県石巻から11台、さらに新たな寄付でもう10台ほどが集まりました」と石渡さんは話す。

今回は「車検が3か月以上残っている軽自動車」が募集されている。その理由に関して「災害時は特に軽自動車が重宝されます。小さいこと。これが何よりもユーザーにやさしい。クルマを必要としている人にはお年寄りも少なくありません。そんな状況で、道幅も気にせず、誰でも簡単に扱える軽自動車は優位性を発揮します。台数が少ないのですがトラックは人気が高いですね。そして登録のしやすさもポイントです。クルマを当局に持ち込まず、実印も使わずに名義変更ができるのは大きいですね」と話す。

クルマを集めて、それを必要としている人たち、コミュニティとマッチングさせることは日本カーシェアリング協会の大切な仕事だ。しかし、石渡さん、クルマの向こうに「人」を強く感じると話す。「なぜ私たちが九州北部豪雨でも拠点を設けて、クルマを届けようと思ったかというと、熊本地震で被災され、私たちのカーシェアを利用された方から、大変な状況なのでまたクルマを集められないか、という相談を頂いたことが始まりでした。クルマのやり取りの間に立っていますが、皆さんの人生や気持ちに触れることが少なくありません」と話していたのは印象的だった。

集められた軽自動車は、9月末までは無料で貸し出し、その後は、格安でレンタルされる。「避難生活にクルマが必要、急場をしのぐためのクルマを提供するということで、まず私たちがお手伝いしておりますが、最終的には、地域に合った形でシェアの仕組みができて、そこにバトンタッチしていければ理想的ですね」と石渡さんは話してくれた。

今回筆者が届けたクルマは、東京都大田区の自動車販売店アウトレーヴが、納車待ちや修理預かりの際に代車で使用していたクルマだ。「こうしたことで少しでも役立ててもらえれば。かなり距離は走っていますが、車検は一年くらい残っているクルマがちょうどあり、普段走る分には問題もなかったので、カーシェアリング協会に相談しました」と、アウトレーヴでは話す。

実際に被災地域に行ってみると、すでに復旧された地域がある一方、ようやく作業に手が付けられた地域や、寸断されたままの鉄道がある。「クルマがあることで、活動が始まり、地域交流が継続できます。日常と別に復興があるのではなく、並行して復興していかなければならない状況を考えると、クルマの必要性は小さくない」石渡さんはと話す。

《中込健太郎》

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