【トヨタ カムリ 試乗】そもそもセダン復権の必要はあるんだっけ?…岩貞るみこ

試乗記 国産車
トヨタ カムリ 新型
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狙うはセダン復権である。バブル崩壊に前後して登場したミニバンブーム以降、そして日本では受け入れられないと言われていた5ドアが、『プリウス』で成功したあとは、すっかり主役の座を奪われたままの日本のセダン。こんなはずではないとジリジリ巻き返しを狙っているのは知っていたが、まさか『カムリ』がその手を挙げるとは。

セダンでしか出せない美しさを追及したカムリ。顔はともかく(好みの問題)、ヒップラインは清楚でしかも力強い。横に一本筋が通った印象のシンプルなものなのに、今までに見たことがない新鮮さと安定感を醸し出している。

運転席に座りハンドルを握ると、明らかに手ごたえが違う。ずしりと重いのだ。軽くすいすいと走れるハイブリッドかと思いきや、手と腕に力をこめろ、意思を持って乗ってくれと要求してくる。ハンドルをきると、大柄なボディの鼻先がくいっと行きたい方向に素直に向いていく。期待値を超える反応のよさに、ちょっとがんばりすぎなんじゃないかと戸惑うくらいだ。

足回りは丁寧な作りこみで、ごつごつ感もバタバタしたところもなくしっとりとした乗り心地。17インチと18インチを乗り比べると、17インチのほうが凹凸へのあたりがソフトで、全体のバランスがとてもよく感じる。

そしてインテリア。曲線を大胆に使い、女性受けするアンビエントライトや、キラキラ車内照明などを採用。ただ、カーナビを装着した場合、時計がカーナビ画面中にちんまりとしかなかったり(おばさんには見えにくい)、シート表皮がもう一声、質感が欲しいと思ったり(その場合はレザーパッケージを選ぶという手もある)、リアシートの背もたれは心地よいカーブを描いていて背中のラインにぴたりと沿ってリラックスできるけれど、そのまますっと手を伸ばした先のパワーウィンドーのスイッチ周辺のプラスチックがやたらちゃちいのは、改善していただきたい部分である。

でも、カムリがこんなに本気で走りと美意識を高めてくるとは思わなかった。セダン復権は本気なのだ。……。あれ? でも、そもそもセダンって復権する必要あるんだっけ。世の中の人は、復権して欲しいと思っているのかな。どうなんでしょう?

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。

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